CT

CT検査とは?流れ・時間・費用・造影剤の副作用を技師が徹底解説

この記事でわかること

  • CT検査の所要時間と当日の流れ
  • 造影剤の副作用と確率
  • 検査前の注意点(服装・食事・持ち物)
  • 費用の目安(3割負担の場合)

技師歴10年以上の筆者が、患者さんからよく聞かれる疑問に答えます。


【結論】CT検査の基本情報まとめ

項目内容
検査時間5〜15分(種類による)
痛みなし(造影剤使用時は注射のみ)
費用(3割負担)単純CT: 5,000 〜 6,000円
造影CT: 10,000円 前後
服装検査着に着替え(金属類は外す)
食事制限単純CT: なし(撮影部位によってはあり)
造影CT: 6時間前から絶食(施設毎で差あり)

CT検査とは

CT(Computed Tomography)検査は、X線を使って体の断面(断層)を撮影する検査です。

できること

  • 脳出血・脳梗塞の診断
  • がんの発見と進行度の確認
  • 骨折の詳細な評価
  • 肺炎や肺がんの診断
  • 腹部臓器(肝臓・腎臓など)の異常検出

MRI検査との違い

  • CT:X線使用、検査時間 5〜 15分、ペースメーカー可(ただし条件があり)
  • MRI:磁気使用、検査時間 30〜 45分、ペースメーカー不可(ただし条件があり)

検査の種類と所要時間

単純CT(造影剤なし)

検査時間: 5〜10分
対象部位: 頭部、胸部、腹部、骨盤など
用途: 脳出血、骨折、肺炎など

造影CT(造影剤あり)

検査時間: 15〜20分
対象部位: 全身(目的に応じて)
用途: がん検診、血管評価、臓器の詳細検査

造影剤を静脈注射することで、血管や臓器がはっきり映ります。

心臓CT(冠動脈CT)

検査時間: 25〜30分
対象部位: 心臓の血管
用途: 心筋梗塞のリスク評価


※心臓CTは少々特殊な検査であるため、別途詳細ページをご用意しています

→ 心臓CT検査について詳しく見る(近日公開予定)

検査当日の流れ

受付〜検査終了まで(標準的な流れ)

1. 受付(所要時間:5分)

  • 診察券・予約票を提出
  • 造影CTの場合は同意書を提出

2. 問診・説明(所要時間:5分)

  • アレルギー歴の確認
  • 造影剤使用時は副作用の説明

3. 着替え(所要時間:5分)

  • 検査着に着替え
  • 金属類(時計、アクセサリー、ブラジャーなど)を外す

4. 検査室へ移動(所要時間:1分)

5. 検査実施(所要時間:5〜15分)

  • 検査台に仰向けに寝る
  • 造影CTの場合は点滴を確保
  • 「息を吸って、止めてください」の指示に従う
  • 撮影

6. 検査終了・着替え(所要時間:5分)

7. 会計(所要時間:5〜10分)

トータル所要時間の目安

  • 単純CT: 30〜40分
  • 造影CT: 45〜60分
  • 心臓CT: 60〜90分

※緊急検査が入ると、待ち時間が延びることがあります


造影剤について

造影剤とは?

ヨード造影剤を静脈から注射する薬剤です。腎臓から尿として排出されます。

造影剤を使うメリット

  • 血管がはっきり映る
  • 腫瘍と正常組織の区別がつきやすい
  • 炎症の範囲がわかる

造影剤なしでは見つからない病変もあります

体が熱くなる現象

造影剤注入後、体が熱く感じますが、これは正常な反応です(20〜30秒で消失)

患者さんの感想:

  • 「お風呂に入ったみたい」
  • 「下半身がカーッとした」
  • 「おしっこ漏らしたかと思った」(実際は漏れていません)

副作用の確率

軽度の副作用(100人に2〜5人)

  • 吐き気、かゆみ、発疹
  • 基本的に治療不要

重度の副作用(1,000〜4,000人に1人)

  • 呼吸困難、血圧低下、意識障害
  • 治療が必要

死亡に至るケース(10万人に1人)

  • 極めて稀

※喘息の既往がある人は副作用リスクが約10倍高い

遅延性副作用

検査後、数時間〜数日後に症状が出ることがあります

  • 発疹、かゆみ、頭痛、吐き気

→ 症状が出たら検査を受けた病院に連絡してください

造影剤が使えない人

以下に該当する方は造影剤を使用できない場合があります:

  • 腎機能が低下している人
    → 検査前に血液検査でクレアチニン値またはeGFR(推算糸球体濾過量)を確認
  • 喘息の既往がある人
    → 医師に必ず申告
  • 過去に造影剤でアレルギーが出た人
    → 前回の詳細を医師に伝える
  • 糖尿病薬(ビグアナイド系)を服用中の人
    → 検査前後2日間の休薬が必要(詳しくは医療機関へ相談してください)
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある人
    → 胎児への影響を考慮
  • 授乳中の人
    → 検査後48時間は授乳を控える(念のため)

費用の目安

保険診療(3割負担)の場合

検査の種類費用
単純CT5,000 〜 6,000円
造影CT10,000円 前後
心臓CT15,000円 前後

※初診料・再診料・診察料は別途かかります
※医療機関や検査内容により異なります

自費診療(人間ドックなど)

  • 単純CT:15,000〜30,000円
  • 造影CT:30,000〜50,000円

検査前の注意点

服装について

脱ぐ必要がある部位

  • 胸部CT
  • 腹部CT
  • 骨盤CT

理由: ボタン、ファスナー、ブラのホック、ベルトの金具が画像に映り込むため

そのままでよい部位:

  • 頭部CT(ヘアピン・ネックレスのみ外す)

外すもの

  • 時計
  • ネックレス、ピアス、指輪
  • ヘアピン、ヘアゴム(金属製)
  • メガネ、入れ歯(検査部位による)
  • 補聴器
  • カイロ、湿布(検査部位による)

食事について

単純CT: 特に制限なし
※撮影部位や症状によっては制限がある場合があるので、必ず受診する医療機関に相談してください

造影CT: 検査6時間前から絶食
※水・白湯は検査直前まで飲んでOK
※撮影部位や症状によっては制限がある場合があるので、必ず受診する医療機関に相談してください

持ち物

  • 診察券
  • 保険証
  • 予約票
  • 造影CT同意書(造影検査の場合)
  • 紹介状(他院からの紹介の場合)
  • お薬手帳

検査後の注意点

造影剤を使った場合

水分を多めに摂取してください

  • 目安:いつもより500ml多く
  • 造影剤は尿として排出される(6時間で80%、24時間でほぼ全量)

※心臓・腎臓疾患で水分制限がある方は主治医の指示に従ってください

生活制限

特にありません

  • 車の運転:OK
  • 入浴:OK
  • 飲酒:OK(適量)
  • 仕事:OK

※心臓CTでβブロッカーを使用した場合は、ふらつくことがあるため注意

検査結果

  • 緊急の場合: 30分〜1時間
  • 通常: 数日〜1週間

医師が画像を読影(診断)してから結果が出ます。


よくある質問FAQ

Q1. 痛みはありますか?

A. 検査自体に痛みはありません。造影剤を使う場合は注射の痛みのみです。

Q2. 閉所恐怖症でも大丈夫?

A. CTはMRIより開放的です。トンネルも短く、顔は外に出た状態です。どうしても不安な場合は事前に申し出てください。

Q3. 被ばくが心配です

A. 1回のCT検査の被ばく量は5〜30mSv(ミリシーベルト)です。健康影響が出るとされる100mSvを超えることはほぼありません。診断のメリットが被ばくのリスクを上回ると判断された場合のみ検査を行います。

Q4. 子どもや高齢者でも受けられますか?

A. 可能です。ただし

  • 小児:じっとできない場合は鎮静剤を使用することも
  • 高齢者:腎機能の確認が必要(造影CTの場合)

Q5. 妊娠中でも受けられますか?

A. 胎児への影響を考慮し、緊急時以外は避けます。妊娠の可能性がある場合は必ず申し出てください。

Q6. 造影剤の副作用が心配です

A. 副作用の多くは軽度(100人に2〜5人)で治療不要です。重度の副作用(1,000〜4,000人に1人)に対しては、医師・看護師・技師が連携して迅速に対応する体制を整えています。

Q7. 検査中に動いてしまったら?

A. 画像がブレて診断できなくなる可能性があります。その場合は撮り直しになります。どうしても動かざるを得ない場合(咳、痛みなど)は、インターホンで伝えてください。

Q8. 検査室で一人になるのが不安です

A. 放射線被ばくから技師を守るため、操作室に移動します。ただし:

  • ガラス越しにずっと見ています
  • インターホンで常に会話できます
  • 心電図モニターで状態を確認しています

決して「放置」ではありません。

Q9. MRIとCT、どちらが良いですか?

A. 検査目的によります:

CTが得意:

  • 骨折の評価
  • 肺の病変
  • 急性期の脳出血
  • 検査時間が短い

MRIが得意:

  • 急性期の脳梗塞
  • 脳腫瘍の詳細
  • 脊髄の病変
  • 軟部組織のコントラスト
  • 被ばくがない

医師が目的に応じて選択します。

Q10. 前日の食事は普通でいいですか?

A. 単純CTは制限なし。造影CTは検査6時間前から絶食ですが、前日の食事は普通で大丈夫です。

※撮影部位や症状によっては制限がある場合があるので、必ず受診する医療機関に相談してください


CT検査を安心して受けるために

この記事では、CT検査の基本的な情報を網羅しました。

検査は「未知」だから不安になります。でも、流れを知っておくだけで、当日の緊張は大きく和らぎます。

もっと詳しく知りたい方へ

実際の検査室で何が起きているのか、技師目線での「本音」を別記事にまとめました:

→ 「CT検査って何分かかるんですか?」技師が答えられない理由(近日公開)

  • 時間の体感のズレ
  • 「ただ寝てるだけ」の難しさ
  • 造影剤の「本当の」感覚
  • 技師が部屋を出る理由
  • 15年間の検査室で感じてきたこと

→ 心臓CT検査:「緊張すると撮れない」って本当ですか?(近日公開)

  • 心拍数との闘い
  • βブロッカーという薬
  • 息止め10秒の重み
  • 撮れなかったときの対応

まとめ

CT検査の重要ポイント

検査時間: 5〜15分(種類による)
痛み: なし(造影剤は注射のみ)
費用: 5,000〜10,000円(3割負担)
造影剤: 副作用は稀、体が熱くなるのは正常
準備: 金属類を外す、造影CTは絶食
検査後: 水分多めに、生活制限なし

不安なことがあれば、検査前に遠慮なく技師や看護師に質問してください。

私たちは、あなたが安心して検査を受けられるようサポートします。


最終更新日:2025年11月

参考文献・情報源

ガイドライン

  • 国立がん研究センター「CT検査とは」
  • 日本医学放射線学会「造影剤に関するガイドライン」
  • 各病院の放射線科ページ(愛知医科大学病院、新潟県立中央病院、埼玉医科大学病院ほか)

※本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療に関しては必ず医師にご相談ください。

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「放射線技師ラボ」を運営する診療放射線技師のゆんです。 資格取得、転職、副業などのキャリア情報と、検査を受ける患者さん向けの安心情報を発信しています。業務効率化アプリの開発もしています。

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