MRI検査とは?流れ・時間・費用・CTとの違いを技師が解説

この記事でわかること
- MRI 検査の基本的な仕組みと特徴
- 検査の流れと所要時間
- 費用の目安(保険適用・自費)
- CT との違いと使い分け
- よくある疑問への回答(閉所恐怖症、金属、妊娠中など)
ゆん
ベテラン技師が患者さんからよく聞かれる疑問に答えます
【結論】MRI 検査の基本情報まとめ

MRI 検査とは
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)は、強力な磁石と電波を使って体の断面を撮影する検査です。

最大の特徴
- 放射線を使わない → 被ばくゼロ
- 妊娠中の方でも、時期によっては検査可能(担当医に要相談)。
- 検査室内は磁場が発生している為、金属類は持込めない。
主な検査部位
- 脳・脊髄
- 関節(膝、肩、股関節など)
- 腹部(肝臓、膵臓、腎臓など)
- 骨盤(子宮、卵巣、前立腺など)

ゆん
MRI室の外観、常に見守れる構造になっています
検査の流れ
1. 問診・着替え(10 分)
- 金属類のチェック
- ペースメーカーや刺青の確認
- 検査着への着替え
2. 検査室への入室(5 分)
- 検査台に横になる
- ヘッドホンを装着
- 必要に応じて固定具を使用
3. 撮影(20〜40 分)
- 装置内で安静にしている
- 大きな音がする(工事現場のような音)
- 複数の撮影条件で撮影します
- 途中で造影剤を使う場合もある
4. 検査終了・着替え(5 分)
- 検査台から降りる
- 着替えて終了

🚨イメージ画像です、MRI室にカメラは持ち込めません
所要時間
| 検査部位 | 撮影時間 | 全体の所要時間 |
|---|---|---|
| 頭部 | 20〜30 分 | 約 40 分 |
| 脊椎 | 30〜40 分 | 約 50 分 |
| 関節(膝・肩) | 20〜30 分 | 約 40 分 |
| 腹部 | 30〜40 分 | 約 50 分 |
| 造影あり | +10〜15 分 | +15〜20 分 |

ポイント
- 準備と着替えを含めると、撮影時間 +20 分程度かかります
- 複数の部位を撮影する場合は、さらに時間がかかります
- 動いてしまうと撮り直しになるため、時間が延びることがあります
検査が長い理由
CT は「パシャッ」と一瞬で撮れます。
MRI は「ゴンゴンゴン…」と何度も撮影を繰り返します。
ゆん
同じ部位でも、T1 強調画像、T2 強調画像、拡散強調画像…と複数の撮影法を組み合わせます。
ゆん
つまり、同じ断面(断層)をいろんなコントラストで描出し比較します。これが検査の精度を上げる秘訣なんです。

ゆん
実際はさらに他の種類の画像も撮像していますが、挿絵はわかりやすく基本の画像のみにしています
あの音の正体
MRI 検査中、ゴンゴンゴン、ガガガガ、ピーピーという大きな音がします。
初めての人はびっくりします。「機械が壊れたのかと思った」という感想もよく聞きます。
音の正体: 磁場を瞬間的に ON/OFF する音です。正常な動作音なので、心配いりません。
ゆん
電流が通電する時の傾斜磁場コイルの振動音だそうです
対策
- ヘッドホンや耳栓を装着(音楽が流れる施設も)


費用

CT との違い
5 秒でわかる比較表
| 項目 | MRI | CT |
|---|---|---|
| 原理 | 磁気と電波 | X 線(放射線) |
| 被ばく | なし | あり |
| 得意な部位 | 脳、脊髄、関節、軟部組織 | 肺、骨、急性期の出血 |
| 検査時間 | 20〜40 分 | 5〜15 分 |
| 音 | 大きい(工事現場レベル) | 静か |
| 閉所感 | 強い | 弱い |
| 金属の制限 | 厳しい(すべて外す) | 撮影部位のみ |
| 費用 | やや高い | やや安い |
どちらを選ぶべき?
MRI が向いている
- 脳梗塞の早期発見
- 脳腫瘍や脳動脈瘤の精密検査
- 椎間板ヘルニアや脊髄疾患
- 靭帯や半月板の損傷
- 子宮・卵巣・前立腺の病気
CT が向いている
- 肺の病気(肺がん、肺炎など)
- 急性期の脳出血
- 骨折や骨の病気
- 急を要する検査
- 閉所恐怖症の方
現場での使い分け
毎日のようにMRI・CTの両方を扱ってきた経験から言うと、患者さんには以下のように説明しています。
- MRIは「時間がかかるけどCTより詳しくわかる」
脳梗塞の初期症状など、CTでは見えない変化をじっくり見るのに適しています。 - CTは「早く撮れる」
骨折や肺の状態を、パッと広範囲に確認するのに適しています。

ゆん
「何が違うの?」と聞かれることが多いですが、医師が症状に応じて最適な検査を選んでくれます。
患者さんが選ぶ必要はありませんし、一般の方に違いを説明するには医療知識がないと厳しいので、あえて時間・精度を上げてわかりやすく説明しています。
👉 CTとMRIの違い(技術解説編)~医療人向け~(製作中)
よくある質問
A. はい、できるだけ動かないでください。動くと画像がブレて、正確な診断ができなくなります。
動いてしまうとどうなる?
- 画像にノイズが入る
- 撮り直しが必要になり、検査時間が延びる
- 検査の精度が下がる
我慢できない場合:
最悪、ブザーを押せば検査を中断できます。遠慮なく押して下さい。
A. 工事現場や電車が通過するときと同じくらいの「ゴンゴン」「ガンガン」という大きな音がします。
なぜ音がするのか?
MRIは強力な磁石の中でコイルに急激に電流を流して撮影します。その際、コイルが磁場の中で振動することで大きな音が発生します。
対策:
- ヘッドホンや耳栓を装着します
- 音楽を聴きながら検査できる施設もあります
A. 可能です。以下の対策があります:
対策方法:
- 鎮静剤の使用:軽い睡眠薬で緊張を和らげます
- オープン型MRI装置の利用:側面が開いた装置で圧迫感が少ない
- 足から入る方法:頭部検査の場合、検査部位によっては足から入ることも可能
- 検査中の声かけ頻度を増やす:定期的に声をかけてもらえると安心できます
- 目を閉じる:天井を見ないだけで楽になります
- 付き添いの許可:施設によっては家族が検査室内にいられることもあります
- 自分の匂いがするハンカチを顔にかける:閉塞感が和らぐ → 結構おすすめ
数十名以上の閉所恐怖症の患者さんを担当しましたが、事前相談があれば、ほぼ全員が無事に検査を完了できています。 天井を見ないだけで楽になるという方も多いですよ。
技師が常に外から見守っているので安心して検査を受けていただいて大丈夫です。
A. はい、MRIは強力な磁石を使うため、すべての金属を外す必要があります:
外す必要があるもの:
- アクセサリー(ネックレス、ピアス、指輪)
- 腕時計
- ヘアピン、ヘアゴム(金属入り)
- 眼鏡
- 入れ歯(金属を含む場合)
- 補聴器
- ベルトのバックル
- ブラジャー(ワイヤー入り)
- カイロ、湿布(金属成分を含むものがある)
外せない金属がある場合:
- ペースメーカー → 原則MRI検査不可(条件付きMRI対応機種を除く)
- 人工関節 → 多くの場合検査可能(術後6週間以降)
- 歯の詰め物・被せ物 → ほとんどの場合問題なし
- 刺青(タトゥー) → 色素に金属が含まれる場合、火傷のリスクあり
- アートメイク → 眉やアイラインは金属を含む場合があり、検査部位によっては注意が必要
- 人工内耳 → やけどや、故障のリスクあり
A. 病変をより詳しく見るために造影剤を使うことがあります。
MRI造影剤の特徴:
- 成分:ガドリニウム系造影剤(CTで使うヨード系とは異なります)
- 副作用:CTのヨード系造影剤より副作用が少ない
- 使用するケース:脳腫瘍、血管の病気、炎症性疾患など
- 腎機能:腎臓が悪い方(eGFR<30)は使用できない場合があります
主な副作用(稀):
- 吐き気、頭痛(約1〜2%)
- じんましん、かゆみ(約0.1〜0.5%)
- 重篤なアレルギー反応(約0.01%以下)
検査後の注意:
造影剤を早く体外に排出するため、検査後はいつもより500ml多めに水分を摂取してください。
A. 原則として、妊娠初期(特に妊娠3ヶ月まで)は避けるべきです。
理由:
- 放射線被ばくはありませんが、胎児への影響が完全には否定できないため
- 特に器官形成期(妊娠4〜12週)は慎重な判断が必要
ただし、以下の場合は検査することもあります:
- 母体の生命に関わる緊急性が高い場合
- 他の検査では診断できない場合
- 医師との相談の上、メリットがリスクを上回ると判断された場合
妊娠中期・後期(妊娠4ヶ月以降):
比較的安全とされていますが、必ず主治医と放射線科医に相談してください。
A. 検査部位によって異なります:
| 検査部位 | 食事制限 |
|---|---|
| 頭部・脊椎・関節 | 食事制限なし |
| 腹部(肝臓、胆のう、すい臓など) | 検査4〜6時間前から絶食 |
| 骨盤(子宮、前立腺など) | 施設により異なる(要確認) |
| 造影剤を使う場合 | 検査2時間前から絶食 |
水分摂取:
- 頭部・脊椎・関節:制限なし
- 腹部・骨盤:少量(200ml程度)の水はOKとする施設が多い
必ず事前に医療機関からの指示を確認してください。
A. 金属の付いていない服装がおすすめです。
OK:
- 綿やポリエステルのTシャツ、トレーナー
- ジャージ、スウェット
- 金属のないゴムパンツ
NG:
- 金属ボタン、ファスナー付きの服
- ワイヤー入りブラジャー
- 金属装飾のある服
【技師から見た「準備万端な患者さん」】
長年にわたってMRI検査を担当してきて、「この患者さん、完璧だな!」と思うポイントがあります。
- 1. 金属アクセサリーを事前に外してきている(家で外してくると紛失リスクも減ります)
- 2. 当日は化粧・ヘアスプレーを控えている(ラメが画像ノイズになるのを防げます)
- 3. 過去の他院での検査結果や、お薬手帳を持参している(診断精度が劇的に上がります)
これだけで検査がスムーズに進み、結果として待ち時間の短縮にもつながります!
A. 検査当日に結果がわかる場合と、後日説明となる場合があります。
当日説明:
- 緊急性の高い検査
- 検査当日に外来診察の予約がある場合
後日説明(1〜2週間後):
- 詳細な画像診断に時間がかかる場合
- 複数の専門医の意見が必要な場合
- 外来の予約日に合わせる場合
A. いいえ、MRIにも得意・不得意があります。
MRIが得意なもの:
- 脳・脊髄の病気(脳梗塞、脳腫瘍、ヘルニアなど)
- 関節・靭帯の損傷
- 子宮・卵巣・前立腺の病気
- 軟部組織の腫瘍
MRIが苦手なもの:
- 肺の病気:肺は空気が多く、MRIでは描出しにくい → CTが適切
- 急性期の出血:CTの方が早く正確に診断できる
- 骨折:骨はMRIでは見えにくい → X線やCTが適切(圧迫骨折などの例外あり)
- 石灰化した病変:カルシウム沈着はMRIでは検出困難
【実際にあったトラブル事例と注意点】
現場で実際に起きた、ヒヤリとした事例をご紹介します。
1. ヘアピンの外し忘れ
頭部MRIにて、ある女性の患者さんが「金属はありません」と申告されていましたが、撮影開始直後に脳の画像にノイズが入ってしまいました。頭部のヘアピンを外すのを忘れていたようです。どんな小さい金属でもMRI室への金属の持ち込みは禁止です。(「なんか髪の毛が引っ張られるような気がする」と言っておられましたが、ヘアピンがMRIへ吸引し飛ばされて怪我をすることも考えられます。小さな金属であったの少し装置に引っ張られる程度で済みました)
2. アイシャドウのラメで画像が乱れる
ラメ入りのアイシャドウには金属粉が含まれていることが多く、これが原因で頭部の画像にノイズが入ってしまい、診断が難しくなり撮り直しになったことがあります。
ゆん
「これくらい大丈夫だろう」と思わず、メイクやコンタクト、湿布なども含めて、少しでも気になることは開始前に必ず教えてくださいね。
まとめ
MRI 検査は、放射線を使わずに体の内部を詳しく調べられる優れた検査方法です。
覚えておきたいポイント
✅ 被ばくの心配がない
✅ 脳や関節、軟部組織の観察に優れている
✅ 検査時間は 20〜40 分程度
✅ 大きな音がするが、ヘッドホンや耳栓で対策できる
✅ すべての金属を外す必要がある(装置に磁場を使用している為)
✅ 費用は 3 割負担で 6,000〜15,000 円程度
✅ 閉所恐怖症でも対策方法がある
✅ 検査部位によって食事制限がある
ゆん
不安なことがあれば、遠慮なく医療スタッフに相談してください。
参考文献
- ACR (American College of Radiology) MRI Safety Guidelines
世界標準の MRI 安全ガイドライン - 日本医学放射線学会「造影剤の安全使用に関する情報」
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