【医療画像情報学】電気回路からPACS/DICOMまで。デジタルの海を泳ぐための羅針盤

「ねえ、この画像、なんで送れないの?」
深夜の救急外来。CTを撮ったのに、画像が医師の端末に届かない。患者の容態は刻一刻と悪化している。PACSの設定?ネットワークの問題?DICOMの通信エラー?
このとき、「わかりません」と言う技師と、「たぶんMWMの接続が切れてます、ワークリストを再取得します」と言える技師。
どちらが患者の命を救えるか、答えは明らかだよね?
医療画像情報学。この科目、「苦手」っていう人多いよね。
でもね、実はパターンさえ覚えれば一番安定して点が取れる科目なんだ。計算問題は公式に当てはめるだけ、情報系は「用語の意味」を覚えるだけ。
ゆんさん、正直に言っていいですか?
私、電気回路の計算見た瞬間に眠くなるんですけど…オペアンプとか、なんで放射線技師が知らなきゃいけないの?って思っちゃって。
いい質問だね。じゃあ逆に聞くけど、心電計ってどうやって心臓の微弱な電気信号を拾ってると思う?
答えはオペアンプ(差動増幅器)。体表の1mV以下の信号を、ノイズを消しながら増幅してるんだ。これを知らないと、「なぜ心電図にノイズが入るのか」が永遠にわからないよ。
⚡ 1. 電気回路:オームの法則の先へ
交流回路のインピーダンス
直流はオームの法則 V = IR で終わり。でも病院の機械は交流(AC)で動いてるから、もう一歩先が必要。
抵抗 R、コイル L、コンデンサ C。この3人組が揃ったときの「抵抗」をインピーダンス Z と呼ぶ。
- 抵抗 R:周波数に関係なく一定。いつも同じ抵抗値。
- コイル L(誘導性リアクタンス XL):X_L = ωL = 2πfL。周波数が高いと通しにくい。
- コンデンサ C(容量性リアクタンス XC):X_C = 1/ωC = 1/2πfC。周波数が高いと通しやすい。
合成インピーダンスは:
$$Z = \sqrt{R^2 + (X_L – X_C)^2}$$
あ、これピタゴラスの定理じゃないですか!直角三角形の斜辺を求めてるみたいな…
その通り!抵抗Rが横軸、リアクタンスの差が縦軸で、斜辺がインピーダンス。図をイメージできると計算が楽になるよ。
オペアンプ(Op-Amp)の計算
技師国試の電気回路で最頻出なのがコレ。覚える公式は2つだけ!
- 反転増幅回路:利得 A = -R_f / R_{in}
- 非反転増幅回路:利得 A = 1 + R_f / R_{in}
💀 受験生が陥る罠
反転増幅の「マイナス」を忘れる人が続出!これは「位相が180°反転する」という意味。入力が山のとき出力は谷になる。符号を書き忘れると×だよ!
オペアンプの特徴も押さえておこう:
- 入力インピーダンス:無限大(電流を吸わない)
- 出力インピーダンス:ゼロ(どんな負荷にも対応)
- CMRR(同相成分除去比):大きいほどノイズに強い。心電計に必須!
🔌 2. 医用電気安全:感電から命を守る
リナ、ここは命に関わる話だから、よく聞いてね。
電気が体を流れると心臓が止まる。これを心室細動っていうんだけど、「どこから電気が入るか」で危険度が1000倍違うんだ。
マクロショック vs ミクロショック
| 種類 | 経路 | 危険電流 | 対策 |
|---|---|---|---|
| マクロショック | 体表から入る | 100 mA | 筐体接地、漏電遮断器 |
| ミクロショック | 心臓カテーテル経由 | 0.1 mA(100 μA) | 等電位接地、フローティング |
え、1000分の1の電流で心臓止まるんですか!?カテ室ってそんなに危険なの…?
だから、カテ室やICUの接地抵抗は10Ω以下が求められるんだ。一般家庭の100Ω以下とは桁が違う。ここ、出題者が大好きなポイントだよ。
👁️ EXAMINER’S EYES
「医用室の接地抵抗値は100Ω以下である」→ ×!一般家庭(D種接地)は100Ωだけど、手術室やICU(医用接地)は10Ω以下。この数字の違いで正誤が決まる!
🌐 3. 医療情報システム:HIS・RIS・PACS
病院の中をデータがどう流れるか。これを理解しないと、現場で「画像が届かない!」トラブルに対処できない。
ゆんさん、HISとRISとPACSって、名前が似すぎてごっちゃになります…。何か覚え方ありませんか?
いい質問!こう覚えて。
HIS = Hospital(病院全体)の司令塔
RIS = Radiology(放射線科)の予約帳
PACS = Picture(画像)の倉庫
「病院→放射線科→画像」の流れをイメージすると、役割がスッキリするよ。
通信規格の使い分け
| 規格名 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| DICOM | 画像データ | 医用画像のフォーマットと通信。ヘッダに患者情報を持つ |
| HL7 | 文字データ | 患者情報、検査オーダ、会計情報のやり取り |
| IHE | 統合プロファイル | DICOMとHL7の「運用ガイドライン」。規格ではない! |
| MWM | ワークリスト | RISからモダリティに患者情報を送るDICOMの機能 |
💡 CROSS-OVER LINK
画像工学で学ぶ「可逆圧縮・非可逆圧縮」。DICOMでも圧縮技術(JPEG2000など)が使われるけど、読影用画像には原則「可逆圧縮(ロスレス)」を使う。データ量を減らしたいけど、病気が見えなくなったらアウトだからね。
🔒 4. 情報セキュリティ:守りの技術
患者さんの画像データは個人情報の塊。だからセキュリティの知識も必須なんだ。
- 公開鍵暗号方式:
- 誰でも使える「公開鍵」で暗号化
- 本人しか持ってない「秘密鍵」で復号
- 電子署名:「本人確認」+「改ざん検知」の両方を証明
- VPN:公衆回線を専用線のように使う「トンネル技術」
💾 5. コンピュータの基礎:0と1の世界
画像の容量計算
これ、計算問題で絶対出る!公式を覚えよう。
容量 = 縦 × 横 × (ビット深度 / 8) バイト
じゃあ、512×512画素で16bit画像だと…512×512×2 = 524,288バイト…約0.5MBですね!
CT1回で1000枚撮ったら500MB…そりゃサーバがパンパンになるわけだ!
論理回路(Logic Gate)
- AND(論理積):両方1なら1。直列回路のイメージ
- OR(論理和):どっちか1なら1。並列回路のイメージ
- XOR(排他的論理和):違うときだけ1。同じなら0
📡 6. ネットワークと伝送
伝送速度の計算
「○MBの画像を送るのに何秒かかるか」という問題は得点源!
ここで注意!ネットワークはbps(ビット/秒)、ファイルサイズはByte。単位が違うから、8倍の換算を忘れないでね。
100Mbps ÷ 8 = 12.5MB/秒 だよ。
🎓 結論:見えない線を視る力
🎯 FOCUS POINT
工学も情報も、目に見えない「流れ(電流・データ)」を扱う学問です。
「オペアンプの増幅率」「DICOMの連携フロー」「ミクロショックの危険電流」。これらは現場に出た瞬間、トラブルシューティングの基礎として毎日役立ちます。
「なぜ画像が送れない?」「なぜノイズが入る?」その犯人を突き止める探偵の目が、この科目で養われるのです。
ゆんさん、わかりました!
電気回路は「公式に当てはめるパズル」、情報系は「用語の意味を覚える暗記ゲーム」って考えればいいんですね。
あと、ミクロショックの100μA、絶対忘れません!
その調子!ITに強い技師は、現場でめちゃくちゃ重宝されるからね。
この科目をマスターしたら、あなたは「画像が届かない!」って騒いでる医師を救えるヒーローになれるよ!
📚 参考文献 (References)
[1] 日本放射線技術学会 監修『医用工学(改訂第2版)』.
[2] 日本放射線技術学会 監修『医療情報学(改訂第2版)』.
[3] JAHIS(保健医療福祉情報システム工業会)技術資料.







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