【核医学診療技術学】SPECT・PETの真髄と「放射性医薬品」の集積メカニズム

「先生、PETで光ってるのに、CT では何も見えません…」
がんセンターの読影室。FDG-PET/CTの画像を前に、若い技師が首をかしげる。CTでは異常がない。でもPETでは、リンパ節がうっすらと光っている。
「形がないのに、機能だけが見える」──これが核医学の真髄。CTやMRIが「解剖」を見るなら、核医学は「代謝」を見る。
がん細胞は形を変える前に、代謝を変える。その「裏切り者の細胞」を、分子スパイ(放射性医薬品)が見つけ出すんだ。
核医学は「体の中に光る目印を入れて、その動きを外から見る」検査だね。
CTが「解剖学の世界」なら、核医学は「生化学の世界」。薬が「どこに行くか」は「体がどう働いているか」を映し出すんだ。
ゆんさん、薬品の名前がいっぱいあってパニックです…MDP、MAA、FDG、全部カタカナで覚えられません!
大丈夫、「なぜそこに集まるのか(集積機序)」さえ理解すれば、薬品名は自然と覚えられるよ。
例えば「MDPが骨に集まる」のは、「骨の成分(ハイドロキシアパタイト)に化学的にくっつくから」。ストーリーで覚えれば忘れないでしょ?
📸 1. ガンマカメラとコリメータ:方向を見分ける工夫
体の中から出てくるγ線には「方向」の情報がありません。光のように「レンズで曲げる」ことができないから、「コリメータ(鉛のすだれ)」で「真っ直ぐ飛んできたものだけ通す」必要があるんだ。
コリメータがないとどうなるんですか?
いい質問!画像が真っ白のノイズになるよ。あらゆる方向からγ線が入ってくるから、「どこから来たか」がわからなくなる。
コリメータは「感度(量)を犠牲にして、分解能(位置精度)を得る」トレードオフの塊なんだ。
コリメータの種類と使い分け
| 種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 平行多孔(LEHR) | 低エネルギー用、隔壁薄い | 99mTc (141keV) |
| 平行多孔(MEHR) | 中エネルギー用、隔壁厚い | 67Ga, 111In |
| 平行多孔(HE) | 高エネルギー用、隔壁最厚 | 131I (364keV) |
| ピンホール | 小さい臓器を拡大 | 甲状腺シンチ |
| ファンビーム | 焦点収束型、やや拡大 | 脳SPECT、心筋SPECT |
💀 受験生が陥る罠
「131Iを撮るときに低エネルギー用コリメータを使った」→隔壁を透過してボケボケ画像に! 核種のエネルギーとコリメータの対応は必ず出題されるよ。
🔄 2. SPECTとPET:シングルか、ペアか
どちらも断層像(輪切り)を作る技術だけど、原理が全く違う。これ、国試で毎年出るからね!

え!PETはコリメータがいらないんですか!?
そう!電子コリメーションっていうんだ。陽電子が消滅するときに180°反対方向に2本のγ線が飛ぶから、「同時に検出した2点を結ぶ線の上に線源がある」ってわかる。
鉛で方向を絞らなくても、電気回路で位置がわかるから、感度がSPECTの10倍以上!
SPECT vs PET 比較表
| 項目 | SPECT | PET |
|---|---|---|
| 核種 | 99mTc, 123I, 201Tl, 67Ga | 18F, 11C, 13N, 15O |
| コリメータ | 必要 | 不要(電子コリメーション) |
| 感度 | 低い | 高い(10倍以上) |
| 定量性 | 困難 | SUV値で定量可能 |
| 検出エネルギー | 核種により異なる | 511keV固定 |
「PETで使用する検出器のエネルギー窓は( )keVに設定する」→511keV。陽電子消滅放射線のエネルギーは核種に関係なく一定!これを知らないと解けない問題が毎年出る。
💎 3. シンチレータの進化論:より速く、より明るく
放射線を「光」に変える結晶。PET用は特に進化してるよ。
NaI、BGO、LSO…結晶の名前がいっぱいで混乱します。どれが何に使われるんですか?
覚え方を教えるね。「NaIは明るい、LSOは速い」。
NaI(Tl)は発光量が最大だからガンマカメラに最適。でも遅い。LSOは減衰時間が短いからPETのTOF(飛行時間)測定に必須なんだ。
| 結晶 | 発光量 | 減衰時間 | 密度 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| NaI(Tl) | 最大 | 遅い(230ns) | 低い | ガンマカメラ、SPECT |
| BGO | 少ない | 遅い(300ns) | 高い | 初期PET |
| GSO | 中程度 | 速い(60ns) | 中程度 | PET |
| LSO/LYSO | 多い | 最速(40ns) | 高い | 最新PET(TOF対応) |
💡 CROSS-OVER LINK:NaI(Tl)の「潮解性(湿気に弱い)」と「発光量最大」は、放射線計測学のシンチレーションサーベイメータでも出題される共通ポイント!
🧪 4. 99mTc製剤の集積機序:ここがテストの本丸!
テクネチウム製剤は「何とくっついているか(リガンド)」で、行く場所と理由が変わる。この表、国試の6割を占めると言っても過言じゃないよ。
リナ、「薬品名」と「集積機序」のペアリングは最重要だからね。ここだけは丸暗記じゃなくて「なぜそこに行くか」を理解して!
| 薬品名 | 対象臓器 | 集積機序 |
|---|---|---|
| MDP / HMDP | 骨 | 化学吸着(ハイドロキシアパタイトに結合) |
| MAA | 肺 | 毛細血管塞栓(血管に詰まる) |
| DTPA | 腎臓 | 糸球体濾過(GFR測定) |
| MAG3 | 腎臓 | 尿細管分泌(ERPF測定) |
| DMSA | 腎皮質 | 尿細管への取り込み・停滞 |
| MIBI / TF | 心筋 | ミトコンドリアへの静電的結合 |
| HMPAO / ECD | 脳血流 | 脂溶性で血液脳関門通過→脳内で滞留 |
MAAが「詰まる」っていうのが面白いです!わざと血管を詰まらせるんですね!
そう!MAAはアルブミン(タンパク質)の粒子で、肺の毛細血管(直径約10μm)より少し大きいから、最初に通る肺で引っかかる。
だから「肺塞栓症の検査」では、血流がない部分が「欠損」として見えるんだ。
「有効半減期 Teff」の計算罠。式は 1/Teff = 1/Tphys + 1/Tbio だけど、計算ミスを誘う。
検算テクニック:「有効半減期は、物理的半減期と生物学的半減期のうち、『短い方』よりさらに短くなる」。計算結果が元より長くなってたら100%間違い!
🍭 5. 18F-FDGと腫瘍イメージング
FDG(フルオロデオキシグルコース)は、ブドウ糖のニセモノ。がん細胞を見つける最強の武器だよ。

なるほど!がん細胞は糖をたくさん欲しがるから、FDGもたくさん取り込むんですね!
その通り!これを「ワールブルグ効果」っていうんだ。がん細胞は酸素があっても解糖系に頼る。だからグルコースを大量に消費する。
ただし注意点があるよ。「生理的集積」、つまりがんじゃなくても光る場所があるんだ。
FDGの生理的集積部位
- 脳:糖が唯一のエネルギー源(常に光る)
- 心臓:空腹時は脂肪酸を使うが、食後は糖を使う
- 尿路(腎盂・膀胱):FDGは尿中に排泄される
- 筋肉:運動後や緊張で集積↑
- 炎症部位:炎症細胞も糖を消費する(偽陽性の原因!)
💀 受験生が陥る罠
「FDG-PETで光っている=がん」と思い込むと×! 炎症、感染、サルコイドーシスでも光る。「集積=代謝亢進」であって「集積=悪性」ではない!
🎓 結論:見えない機能を見る
🎯 FOCUS POINT
核医学は、CTやMRIの「解剖学的な美しさ」では劣ります。でも「その細胞が生きているか、どんな活動をしているか」を知ることができる唯一の手段です。
国試対策のコツは「薬品名と集積機序のペアリング」を完璧にすること。これだけで核医学の問題の6割は取れます!
そして忘れないで:SPECTはコリメータ必要、PETは不要(電子コリメーション)。この一文だけで5点は稼げるよ!
ゆんさん、「MAAは詰まる、MDPはくっつく、FDGは閉じ込められる」って覚えました!
機序がわかると薬品名も忘れにくいですね!
完璧だね、リナ!核医学は「分子レベルで体を見る」技術。形が変わる前に機能の異常を見つけられる。
これからも「なぜ?」を大切にして学んでいこう!
📚 参考文献 (References)
[ 1 ] 日本放射線技術学会 監修『核医学検査技術学(改訂第3版)』, オーム社.
[ 2 ] 日本核医学技術学会『核医学検査技術指針』.
[ 3 ] 日本核医学会『核医学診療ガイドライン』.
















.jpg)