診療報酬改定2026 放射線部門まとめ|共同利用・遠隔読影・寡分割照射の収益戦略

「装置を保有するだけの時代」から「地域でリソースをシェアし、高度化する時代」へ。
CT/MRI共同利用、遠隔読影、IMRT、BNCT、ベースアップ評価料 ― 放射線部門が「攻め」と「守り」で収益を最大化するための完全戦略ガイド。
2026年度の診療報酬改定は、放射線部門にとって単なる「点数の増減」にとどまらないパラダイムシフトです。 「装置を持っているだけ」では減収する時代に突入し、地域連携・共同利用・遠隔読影という「繋がる力」が収益を左右します。
ゆんさん、診療報酬改定って正直よく分からないんですけど、私たち技師の仕事や給料に影響あるんですか?
めちゃくちゃ影響あるよ。今回の改定は「装置を持っているだけでは減収」になりかねない。逆に、地域連携の仕組みを作れば年間数百万円の増収も可能。しかもベースアップ評価料で技師の給与にも直結する。さらにIMRT施設基準の緩和や救急外来での技師の常時配置要件まで ―― 知らないでは済まされない改定なんだ。
そもそも国は、医療の仕組みをどういう方向に変えたいんですか? 全体像がわかると、個別の変更も理解しやすい気がして…。
いい視点だね。中医協(中央社会保険医療協議会)が今回の改定で掲げた基本方針は、大きく3つの柱に集約される。
① 医療DXの推進 ―― 電子カルテ情報の共有、遠隔医療、AI活用。「紙とCD-ROMの時代」を終わらせて、データが施設間を行き交うインフラを作る。
② 地域医療構想と機能分化・連携 ―― 2025年以降の超高齢社会で、すべての病院がフルスペック装備する時代は終わり。「持つ病院」と「使う病院」に分かれ、地域全体で医療資源をシェアするのが国の描く未来図だ。
③ 医療従事者の処遇改善と働き方改革 ―― 2024年4月から始まった医師の時間外労働規制に続き、コメディカルの賃金を「制度として底上げする」仕組みを作った。人材が集まらなければ、どんな制度設計も絵に描いた餅だからね。
今回の改定項目を1つ1つ見ていくと、すべてがこの3本柱のどれかに紐づいている。点数の数字だけを追うんじゃなくて、「国がどこに向かっているか」を読み取れる技師は、部門の中で替えの利かない存在になれるよ。
2026年度改定の放射線部門インパクト: 【攻め】 ①遠隔読影の受信側で画像診断管理加算が算定可能に、②CT/MRI共同利用で+20点/件(年間100万円以上の増収)、③フュージョンイメージング加算200点新設。 【守り&攻め】 ④IMRT施設基準が常勤医1名+遠隔支援で算定可能に、⑤寡分割照射の評価明確化(ただし中断リスクに注意)。 【人材】 ⑥ベースアップ評価料で技師の給与改善、⑦救急外来の技師常時配置が要件化。 さらにBNCT 187,500点の保険収載、核医学治療の適応拡大も。
診療報酬改定は、現場の業務・キャリア・部門経営すべてに波及します。
- 放射線部門経営:共同利用の施設基準届出、遠隔読影の事業化、収益シミュレーション
- 放射線治療:IMRT施設基準緩和、寡分割照射の中断リスク管理
- キャリア・待遇:ベースアップ評価料による技師の給与改善、救急配置要件
- IVR・核医学:フュージョンイメージング加算、BNCT保険収載
「制度を知っている人」と「知らない人」で、部門の収益に年間数百万円の差がつく。これが診療報酬改定です。
1.【攻め】遠隔画像診断の管理加算 ― 受信側の収益化が解禁
1-1. 従来の課題と改定のインパクト
うちの病院、近隣のクリニックからCTの画像を送ってもらって放射線科の先生が読影してますけど、あれってちゃんと「お金」になってるんですか?
いい質問だね。これまで遠隔読影の「受信側(読影する病院)」は、正規の診療報酬として評価されにくかった。ボランティア的、あるいは安い契約料で対応している施設が多かったんだ。でも今回の改定で、受信側でも画像診断管理加算(2, 3, 4)が正式に算定可能になった。これは画期的な変更だよ。
受信側で算定可能になる条件
- 対象検査:核医学診断(E102)、コンピューター断層診断(E203)
- 受信側が画像診断管理加算2, 3, 4の施設基準に適合していること
- 画像診断を専ら担当する常勤医師が読影・報告を行うこと
- セキュリティを担保した画像転送ネットワークの構築が必要
1-2. 収益化のシナリオ
これは放射線科医の専門性を収益に変える画期的な変更だ。地域連携室と協働して、近隣のクリニックや中小病院に「当院へ画像を送ってもらえれば、専門医が読影し、貴院の点数算定にも寄与できる(かつ当院も収益化できる)」というモデルを提案すべきだ。
アクションプラン:遠隔読影の事業化
- 自院の画像診断管理加算の施設基準を確認(加算2〜4のどれに該当するか)
- 常勤放射線診断専門医の稼働状況を把握 — 院内読影と院外からの遠隔読影のワークフローを再構築
- 近隣の専門医不在のクリニック・中小病院をリストアップ
- セキュアな画像転送システム(VPN、クラウドPACS等)の整備
- 読影レポートのターンアラウンドタイム(返送速度)を売りにした営業資料を作成
- 収益性の高い「外部読影受託」を事業として確立する
国の狙い:「医療DX」が遠隔読影を後押しする理由
遠隔読影の評価拡充は、中医協が掲げる「医療DX推進」の中核施策です。政府は2030年までに全国の医療機関を電子カルテ情報の共有ネットワークで接続する「全国医療情報プラットフォーム」構想を掲げており、画像データもその対象です。今回の改定で遠隔読影に正当な対価がつくようになったのは、データが施設間を流通する「基盤」を経済的に成り立たせるための布石。つまり、遠隔読影の事業化は「国策に乗る」ことと同義です。
2.【守り&攻め】CT/MRI共同利用で+20点 ― 画像診断の点数差がつく時代へ
2-1. 何が変わったのか
CT/MRI撮影料(E200, E202)において、装置の性能だけでなく、「共同利用施設において行われるか否か」で点数に差がつくようになった。高性能なCTを導入していても、自院だけで抱え込んでいる場合と、地域に開放している場合で1回あたり20点の差がつくんだ。
| 装置区分 | 共同利用施設 | その他 | 点数差 |
|---|---|---|---|
| CT 128列以上 | 1,120点 | 1,100点 | +20点 |
| CT 64列以上128列未満 | 1,020点 | 1,000点 | +20点 |
| CT 16列以上64列未満 | 900点(差なし) | — | |
| MRI 3T以上 | 1,720点 | 1,700点 | +20点 |
| MRI 1.5T以上3T未満 | 1,350点 | 1,330点 | +20点 |
+20点って、1件あたり200円ですよね…。それってそんなに大きいんですか?
たかが20点と侮るなかれ。年間CT 5,000件の病院なら、+20点 × 5,000件 = 100万円の増収。MRIも合わせれば200万円以上になりうる。しかもこれは「やるかやらないか」だけで決まる。装置を買い替える必要も、人を増やす必要もない。施設基準を届け出て、近隣からの紹介を受け入れる体制を作るだけだ。
アクションプラン:共同利用の立ち上げ
- 自院のCT/MRI装置の列数・テスラ数を確認(64列以上 or 1.5T以上が対象)
- 地域連携室と連携し、近隣クリニックへの「共同利用枠」の提案を準備
- 紹介検査の予約フローを整備(WEB予約、電話窓口、FAX受付など)
- 地方厚生局への施設基準届出の準備(事務部門と協働)
- 近隣施設への営業・説明会を実施(「共同利用によるメリット」を提示)
ここで大事なのは、共同利用は単なる「+20点」の話じゃないということ。国が進める「地域医療構想」では、2040年に向けて人口減少が進む中、すべての病院がCT・MRIをフル装備する時代は持続不可能と明言している。高額装置は「地域でシェアする」のが前提の社会設計なんだ。つまり共同利用に対応しない施設は、将来の点数引き下げや基準厳格化の対象になるリスクがある。「攻め」の施策であると同時に、「守り」でもあるんだよ。
3.【新規】IMRT施設基準の緩和 ― 常勤医1名+遠隔支援で算定可能に
3-1. 何が変わったのか
IMRTって施設基準が厳しくて、常勤医2名いないと算定できなかったんですよね? 地方の病院では無理だって聞いたことあります…。
その通り。でも今回の改定で大きく変わった。人口減少地域のがん治療アクセスを改善するため、ICTを活用した遠隔支援体制があれば、常勤医1名でもIMRTの施設基準を満たす特例が新設されたんだ。
3-2. 対象となる医療機関の条件
IMRT常勤医1名特例の全要件
対象施設:
- 地域がん診療連携拠点病院、または
- 地域がん診療病院(体外照射を年間200症例以上実施)
- かつ、当該がん医療圏内に他にIMRTの届出施設が存在しないこと
配置する1名の医師要件:
- 放射線治療を専ら担当する常勤医師
- 放射線治療の経験を5年以上有すること
実施施設(自院)の設備要件:
- 直線加速器、治療計画用CT、三次元放射線治療計画システム
- セキュリティ対策を講じた遠隔放射線治療システム
- 第三者機関による直線加速器の出力線量の評価を受けていること
- 支援施設の担当医師と常時連絡がとれる体制
- 遠隔放射線治療および医療情報のセキュリティ対策に関する指針を策定
支援施設(相手方)の要件:
- 特定機能病院、都道府県がん診療連携拠点病院、または地域がん診療連携拠点病院
- 放射線治療を専ら担当する常勤医師が3名以上(うち2名は経験5年以上)
- 支援担当医は経験5年以上の常勤医(1名で2施設まで支援可能)
- 遠隔放射線治療システムを備え、実施記録を保存
要するに、経験豊富な常勤医が1名在籍し、大学病院など常勤医3名以上の充実した施設からICT遠隔支援を受ける体制を結べば、IMRTの算定が可能になる。地方の中核病院にとっては大きなチャンスだね。
なお、緊急時の治療計画を別の保険医療機関と共同して策定した場合の評価として、遠隔放射線治療計画加算(2,000点)も継続して設定されています。
国の狙い:「がん医療の均てん化」が施設基準緩和の背景
IMRT施設基準の緩和は、第4期がん対策推進基本計画が掲げる「がん医療の均てん化(地域格差の是正)」の具体策です。都市部ではIMRT施設が充実している一方、地方では放射線治療専門医の不足により高精度治療を受けられない患者が存在します。国は「住んでいる地域によって受けられる治療に差が出る」ことを是正するために、ICTを活用した遠隔支援モデルを制度として整備しました。今後、VMATや粒子線治療など他の高度治療にも同様の遠隔支援モデルが拡大する可能性があります。
4. 寡分割照射の診療報酬 ― 放射線治療「高精度・短期間」の評価
4-1. 寡分割照射の評価明確化
放射線治療でもう一つ注目すべきは「寡分割照射」の評価明確化。1回の線量を高めて総治療回数を減らす手法が、正式に算定要件として明記されたんだ。
| がん種 | 照射法 | 寡分割の基準 | 一連の点数 |
|---|---|---|---|
| 乳癌 | 全乳房照射 | 1回 2.5Gy 以上 | 41,500点 |
| 前立腺癌 | IMRT | 1回 3Gy 以上 | 96,500点 |
治療回数が減れば患者さんの負担も減りますし、治療枠も空きますよね! Win-Win じゃないですか!
4-2. 要注意:治療中断時の大幅な減算リスク
ただし、最大の落とし穴がある。治療を途中で中止した場合の減算ルールが厳格化されたんだ。これを知らずに寡分割照射を始めると、大きな減収リスクを抱えることになる。
💀 寡分割照射の減収リスク:治療中断時の点数
乳癌(全乳房照射):完遂時 41,500点
- 7回目までで中止 → 10,500点(完遂時の約25%)
- 8回目以上で中止 → 14,000点(完遂時の約34%)
前立腺癌(IMRT):完遂時 96,500点
- 9回目までで中止 → 24,000点(完遂時の約25%)
- 10回目以上で中止 → 42,000点(完遂時の約44%)
アクションプラン:寡分割照射の安全な導入
- 施設基準の届出を速やかに実施(寡分割照射には専用の基準あり)
- 治療計画段階で患者の脱落リスクを評価(通院可能性、副作用耐性)
- 看護師・技師を含めた副作用マネジメントチームの強化(皮膚炎、直腸・尿路症状)
- 治療枠短縮で空いた枠を活用し、新規患者の受け入れ数を増やす集患対策
- 医学物理士と連携した高線量投与の品質管理体制の構築
5. フュージョンイメージング加算(200点)・BNCT・核医学治療の拡大
5-1. フュージョンイメージング加算の新設
見落としがちだけど重要な新設加算がある。CTやMRI、PETなどの画像を、超音波画像等とリアルタイムにフュージョン(融合)させて手技を行う場合に、フュージョンイメージング加算(200点)が算定できるようになった。
フュージョンイメージング加算(200点)の対象手技
- 骨腫瘍切除術、骨ラジオ波焼灼療法
- 肝切除術、肝腫瘍ラジオ波焼灼療法
- 腎部分切除術、腎腫瘍ラジオ波焼灼療法 など
アクション:対応する超音波診断装置やナビゲーションシステムの導入・更新時には、フュージョン機能の有無を必ず確認し、IVRチームと連携して算定漏れを防ぐ体制を作ってください。
5-2. BNCT — 187,500点の保険収載
BNCT って聞いたことはありますけど、保険適用になったんですか!? 187,500点って…1回で約190万円ですよね!
その通り。ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が区分番号 M001-5 として新設された。適応は切除不能な局所進行・局所再発の頭頸部がんだ。導入施設は限られるけど、地域の中核病院としてBNCT適応患者を専門施設へ紹介する「適応判定」の役割を担うことで、連携加算等を算定できる可能性がある。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) | 187,500点 |
| 適応判定加算 | 40,000点 |
| 医学管理加算 | 10,000点 |
5-3. 核医学治療の適応拡大
| 対象疾患 | 点数 | ポイント |
|---|---|---|
| PSMA陽性 前立腺癌(遠隔転移あり) | 3,000点 | 新設。ルテチウム(Lu-177)治療の保険適用 |
| 神経内分泌腫瘍 | 2,660点 | PRRT(ペプチド受容体標的治療) |
| 神経芽腫 | 3,800点 | MIBG治療の評価 |
将来性:核医学治療は成長市場
PSMA治療は患者数が多い前立腺癌を対象としており、泌尿器科との連携で導入を検討すべき領域です。 RI病室の整備や放射性医薬品(ルテチウム等)の取り扱い承認がハードルですが、 核医学治療の適応は今後さらに拡大が見込まれます。「今から準備を始めた施設」が先行者利益を得る分野です。
6.【新規】救急外来の技師常時配置要件 ― オンコールでは不可
救急外来の施設基準に技師の配置要件が入ったって本当ですか? オンコールじゃダメなんですか?
その通り。新設された「救急外来医学管理料」の施設基準において、診療放射線技師が常時、院内に配置されていることが明記されたんだ。「呼び出し(オンコール)」ではなく「当直等による常時配置」が要件だ。
救急外来医学管理料の配置要件
- 救急外来を24時間提供する体制として、以下が常時院内に配置されていること:
- 薬剤師
- 臨床検査技師
- 診療放射線技師
- 血液検査、CT撮影、MRI撮影を実施できる体制が常時確保されていること
これは部門運営に大きく影響する。夜間休日の技師当直体制の維持・強化が上位点数算定の必須条件になるからね。人員確保の面で経営層への交渉材料にもなる。「救急加算を算定するには技師の当直が必要です」と言える根拠ができたわけだ。
7. ベースアップ評価料の詳細 ― 放射線技師の給与に直結する改定
これが一番気になってました! 技師の給料がどう変わるのか、具体的に教えてください!
7-1. ベースアップ評価料の構成
「ベースアップ評価料」は「医師・歯科医師を除く医療従事者」の賃金改善を目的とした加算で、診療放射線技師も対象に含まれる。構成は3種類あるんだ。
| 評価料の種類 | 算定タイミング | 備考 |
|---|---|---|
| 外来・在宅ベースアップ評価料(I) | 初診時・訪問診療時 | 基本の賃上げ原資 |
| 入院ベースアップ評価料 | 入院1日につき | レベル1〜500まで細分化 |
| 外来・在宅ベースアップ評価料(II) | (I)で不足する場合 | 上乗せ項目 |
7-2. 配分の「3分の2以上」ルール
配分ルールの全体像
- 3分の2以上:「基本給」または「決まって毎月支払われる手当(固定手当)」の引上げに充当(義務)
- 3分の1未満:賞与(ボーナス)や一時金による改善も可
- 夜勤手当の特例:交代勤務制をとっている職場の「夜勤手当」は、毎月の固定手当に準じて「3分の2以上」の計算に含めて差し支えない
- 対象:主として医療に従事する職員(医師・歯科医師を除く) → 診療放射線技師を含む
つまり、一時金やボーナスだけでお茶を濁すのはNGで、きちんと月給(基本給や手当)を上げないといけないんですね! 夜勤手当の増額にも使えるのは当直がある技師にとって嬉しい!
7-3. 継続的な賃上げの評価
もう一つ重要なのは、「継続的に賃上げを行っている医療機関」は通常よりも高い点数区分で評価される仕組みが導入されたこと。つまり、毎年きちんと給与改善を行うことが経営上のメリットにもなる。技師としてできることは3つ ―― ①自院がベースアップ評価料を届け出ているか確認、②未届出なら事務部門に情報提供、③賃金改善計画の内容と自分たちへの配分を確認することだ。
国の狙い:なぜ「診療報酬」で賃上げをするのか
ベースアップ評価料は、医療従事者の賃金を国の制度として底上げする異例の措置です。背景には、2024年4月から施行された医師の時間外労働規制(いわゆる「医師の働き方改革」)により、医師のタスクシフトが急速に進む中、受け皿となるコメディカルの人材確保が急務になったことがあります。さらに、全産業の賃上げが進む中で医療分野だけが取り残されれば人材流出が加速するという危機感が中医協の議論を動かしました。「賃上げしなければ算定できない」という仕組みは、国が医療機関に対して「人への投資」を半ば義務化したものと理解すべきです。
8. 経営層へのプレゼンロジック ― なぜ今、放射線部門に投資すべきか
病院長や事務長に設備投資や人員確保を要求するためのロジックを整理しよう。タイトルは「地域完結型 画像診断センター化による収益構造の転換」だ。
8-1. 現状の課題を提示する
💀 放置すると起こる4つのリスク
- 共同利用の未届出:64列以上のCT、1.5T以上のMRIを持っているのに共同利用を行わない場合、相対的に低い点数のまま。同規模他院との点数差が年間数百万円に
- 遠隔読影の未事業化:専門医が無償で読影している状態は「逸失利益」。受信側で管理加算が算定できるのに、制度を知らないまま放置
- 寡分割照射の中断:治療を途中で止めると完遂時の25〜44%まで点数が減算。副作用管理と患者スクリーニングの不備が直撃する
- ベースアップ評価料の未届出:算定しなければ技師の給与改善の原資を逃す。人材流出のリスク増大
8-2. 提案内容 ― 3つの投資領域
ROI(投資対効果)が見える3つの施策
① 共同利用の推進
- 地域連携枠を拡大し、CT/MRI撮影料の上位区分(1,120点/1,020点)を確実に算定
- 年間CT+MRI合計8,000件 × +20点 = 年間160万円の増収
- 投資:施設基準届出の事務コストのみ(設備投資不要)
② 遠隔読影の受託事業化
- 地域の画像診断センターとしての機能を強化
- 画像診断管理加算2〜4の算定で直接的な収益に
- 投資:クラウドPACS or VPN環境の整備(月額数万円〜)
③ 高度IVR・フュージョンイメージング対応
- フュージョンイメージング加算(200点)に対応できるナビゲーションシステムの整備
- 手技単価の向上 + 算定漏れの防止
- 投資:超音波診断装置のフュージョン機能確認(更新時のオプション追加)
プレゼンの締めくくりはこうだ。「今回の改定は、単独完結型から地域連携型への転換を求めています。共同利用の施設基準を届け出るだけで年間100万円以上の増収が見込め、遠隔読影の事業化で新たな収益源も確保できます。さらにベースアップ評価料で技師の待遇を改善し、高度人材の流出を防ぐ。投資は最小限で、制度に乗るだけです。やらない理由がありません。」
現場で使える Q&A
地方厚生局への施設基準の届出が必要です。対象装置(64列以上のCT / 1.5T以上のMRI)を保有し、他の医療機関からの検査依頼を受け入れる体制を整備した上で、所定の届出書を提出します。 自院の患者に対しても上位の点数(共同利用施設の点数)が適用される可能性があるため、対象装置を持っているならまず届け出るのが正解です。
画像診断管理加算の施設基準に準じます。加算2であれば「画像診断を専ら担当する常勤医師」の配置が必要です。 加算3・4ではさらに厳しい基準(常勤専門医数、読影件数など)が求められます。 自院が現在取得している加算のレベルで遠隔読影にも適用できるため、追加の医師配置は不要な場合が多いです。読影レポートの品質管理としては、ターンアラウンドタイムの目標設定と、ダブルチェック体制の構築が推奨されます。
以下の全要件を満たす必要があります:
- 対象施設:地域がん診療連携拠点病院、または年間体外照射200症例以上の地域がん診療病院
- 地域要件:がん医療圏内に他のIMRT届出施設が存在しないこと
- 医師:放射線治療経験5年以上の常勤医が1名配置
- 支援施設:常勤治療医3名以上の特定機能病院等とICT連携(支援医1名で2施設まで)
- 設備:リニアック、治療計画CT、遠隔放射線治療システム、第三者機関による出力線量評価
- 運用:セキュリティ指針の策定、常時連絡体制、関係学会ガイドラインの遵守
はい、使えます。交代勤務制をとっている職場の職員(当直を行う放射線技師など)に支払われる「夜勤手当」については、毎月支払われる手当に準じて、「3分の2以上」の計算(基本給等)に含めて差し支えないとされています。 つまり、夜勤手当の増額も「ベースアップ」としてカウントされるため、当直がある技師にとっては実質的な月給アップに繋がります。
評価料の算定にあたり、病院は「賃金改善計画」を策定する必要があります。この計画には、対象職種ごとの賃金改善額、基本給と手当の配分比率、実施スケジュールなどを記載します。 個々の技師にいくら配分するかは各病院の計画によりますが、施設全体として「3分の2以上をベースアップに充当」のルールを満たす必要があります。 継続的に賃上げを行っている医療機関は上位の点数区分で評価されるため、毎年の改善が経営メリットにもなります。
「救急外来医学管理料」の上位点数を算定するには、技師の常時院内配置が必要です。オンコール(呼び出し)ではなく、当直等での24時間体制が求められます。 これにより、夜間休日の技師当直体制の維持・強化が必須となります。一方で、「救急加算を算定するには技師の当直が必要」という経営的根拠ができたため、人員確保や待遇改善の交渉材料として活用できます。
関係あります。新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」では、電子的な診療情報(検査結果や画像情報含む)の共有に対する評価が段階的に設定されています。 CD/DVDでの画像受け渡しからネットワーク経由の画像共有への移行は、共同利用や遠隔読影の効率化にも直結します。 IT部門と連携してクラウドPACSやVPN環境の整備を検討すべきです。
まとめ ― 放射線部門の未来は「連携」と「技術加算」にあり
こんなに多くの変更があるなんて…! 知らないままでは完全に出遅れますね。私もまず、うちのCTが共同利用の対象になるか確認してみます!
今回の改定全体を通底しているのは、「医療DXの推進」「機能分化・連携」「処遇改善」の3本柱だったね。冒頭で話した通りだ。放射線部門としても、単に画像を撮って読むだけでなく、「地域の画像データを集約し、高度な解析を付加して臨床に返す」というハブ機能を果たすことが、最も確実な収益維持・向上策になる。
ゆんさん、この先の改定でも同じ方向が続くんでしょうか? 2028年の次の改定とか…。
間違いなく続く。国が描いている2040年の医療提供体制の未来図では、今回の改定はまだ「序章」に過ぎない。
中医協の議論を追っていくと、「AI読影支援」「放射線治療の遠隔品質管理」「リアルワールドデータを活用した治療評価」といったテーマがすでに俎上に載っている。次の改定では、AIが生成した読影レポートのドラフトに放射線科医が最終判断を加えるワークフローや、治療計画のクラウド共有に対する加算が検討される可能性がある。
つまり、今回の改定で「連携」と「DX」の基盤を作った施設は、次の改定でさらに上位の加算を取りに行ける。逆に、ここで動かなかった施設は、次の改定でも出遅れる。制度改革は「複利」で効いてくるんだ。
- CT/MRI共同利用の施設基準を確認・届出:自院の装置が対象かを確認し、地域連携室と連携して施設基準の届出を準備。これだけで年間100万円以上の増収
- 遠隔読影の受託体制を検討:画像診断管理加算の施設基準を活かし、近隣の専門医不在施設への読影受託を提案。放射線科医の専門性を収益に変えるチャンス
- フュージョンイメージング対応機器の洗い出し:超音波のフュージョン機能の有無を確認し、IVRチームと連携して200点の算定漏れを防止
- ベースアップ評価料の届出状況を確認:自院が届け出ているか事務部門に確認。未届出なら情報提供して改善を促す。技師の待遇改善に直結する制度
- IMRT遠隔支援体制の可能性を検討:地方のがん拠点病院は、大学病院等との連携でIMRT算定の道が開かれた。高精度放射線治療の提供=高い診療報酬
※本記事は2026年度診療報酬改定の答申・個別改定項目資料に基づいています。最終的な施設基準の詳細は、厚生労働省の告示・通知をご確認ください。





















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