【画像診断の診療報酬】CT・MRI・X線・超音波の点数体系|2026年改定対応

画像診断の診療報酬は「撮影料+診断料+管理加算」の三層で組み立てられています。しかも、CT・MRIは装置の列数や磁場強度で、一般撮影はアナログかデジタルかで、超音波は部位で点数が変わる──覚えることが多いわりに、体系立てて学ぶ機会はほとんどありません。
本記事は、令和8年度(2026年6月適用)改定後の医科点数表を一次資料として、放射線部門で扱う全モダリティの点数をモダリティ別の縦組み「点数ボード」に整理しました。128列CT区分の新設、3T MRIの増点、FFRCTの再編など改定のポイントと、厚生労働省の疑義解釈(事務連絡)で確定した実務ルールも収録しています。
この記事は、後輩技師の素朴な疑問に先輩メンターが答えていく対話形式で進みます。2人の会話をたどれば全体像がつかめます。

算定のことになると急に自信がなくなる後輩技師。「わからない」を素直に質問する立場です。(吹き出し左側)

現役のベテラン診療放射線技師。制度と算定の話をやさしく噛み砕いて解説します。(吹き出し右側)
1. まず全体構造 ─ 画像診断は「三層」でできている
ゆんさん、レセプトを見ると同じ胸部X線でも点数の内訳がいくつも並んでいて…。画像診断の点数って、どういう仕組みなんですか?
いい着眼点だね。画像診断の費用は「撮影料」「診断料」「管理加算」の三層構造になっているんだ。まずこの骨組みを押さえると、どのモダリティでも迷わなくなるよ。
- ① 撮影料 ─ 撮影という行為そのもの。一般撮影ならE002、CTならE200、MRIならE202
- ② 診断料 ─ 画像を読んで診断する評価。一般撮影はE001(写真診断)、CT/MRIはE203(コンピューター断層診断・月1回450点)、核医学はE102
- ③ 管理加算 ─ 読影体制への上乗せ評価。画像診断管理加算1〜4(通則)と電子画像管理加算(各節)
じゃあ胸部X線1枚でも「E001+E002+電子画像管理加算」みたいに積み上がってるんですね。あれ…でも超音波はどうなるんですか?
鋭い!実は超音波は画像診断(E)ではなく検査の部(D215)に属しているんだ。だから診断料や画像診断管理加算の仕組みの外側にいる。ここは試験にも実務にも効く豆知識だよ。
2. モダリティ別 点数ボード
タブを切り替えて、各モダリティの点数を確認してください。点数はすべて令和8年度(2026年6月適用)医科点数表の原文から転記しています。
※「共同利用施設」区分は共同利用の届出又は他院からの依頼撮影が算定条件。128列以上の区分は令和8年度改定で新設(+100点)。64列以上で施設基準に適合しない場合は「ハ」で届け出て「ハ」を算定。小児の頭部外傷に対するCTは加算割合がそれぞれ85/55/35に引き上げ。同一月2回目以降のCT・MRIは所定点数の80/100(節通則2)。
「128列以上」のカウント方法 ─ 複数管球はどう数える?
FFRCTの再編 ─ 6月からは「3点セット」で積み上げる
うちのデュアルソースCT、64列×2管球だから「イ」でいけるんですね!届出の見直し、医事課に聞いてみます。
そう、+100点×年間の件数だから経営インパクトは大きいよ。ただし届出が前提だから、装置更新や増設のときは施設基準の再確認をセットにしよう。
※3T以上の新しい点数水準(1,600→1,700/1,620→1,720)は令和8年度改定で新設。施設基準に該当しない3T装置は「2」として届出のうえ「2」を算定。心臓MRI加算は1.5T以上、頭部MRI加算・全身MRI加算・肝エラストグラフィ加算・小児鎮静下MRI加算はいずれも施設基準の届出が必要。MRI対応ペースメーカー等の植込み患者の撮影は、関係学会「心臓植込みデバイス患者のMRI検査に関する運用指針」を満たす施設で行う。
3Tの点数、1,700点に上がったんですね。あと「小児鎮静下MRI加算」って、鎮静すれば必ず取れるんですか?
要件があるよ。15歳未満・麻酔下の鎮静・複数領域を1回で一連撮影、そして施設基準の届出。「鎮静=加算」ではなく、条件を満たした撮影設計とセットなんだ。所定点数の8割という大きな加算だから、要件確認は慎重にね。
※逓減の骨子:同一部位・同時・同一方法は2〜5枚目の診断料・撮影料が50/100、6枚目以降は算定不可(通則3)。同一部位に2種以上の撮影を行った場合は第2の診断料以降が50/100(通則2)。乳房撮影(306点+192/202点・電子画像管理54点)はマンモグラフィタブ参照。心臓・冠動脈造影はD206、胆管・膵管造影はD308に包括。
※端数処理は「点数計算の最後」に四捨五入〔通知(9)〕。85×0.5=42.5点をその都度丸めるのではなく、127.5点まで計算してから128点にする。フィルムの扱い:電子画像管理加算を算定した場合フィルム費用は算定不可(併算定禁止)。フィルム運用時はE400により材料価格を10円で除した点数(6歳未満の胸部・腹部単純撮影は×1.1)で算定するが、電子管理が主流の現在は使用場面が限られるため、本記事ではフィルム価格表は割愛する。
📎 通知の追記 ─ 現場で効く運用ルール(保医発0305第6号)
- 再撮影の費用は算定できない。患者の故意・重大な過失による場合を除き医療機関の負担〔通知(1)〕
- 「同一の部位」=腎と尿管、胸椎下部と腰椎上部のように同一フィルム面に撮影し得る範囲。食道・胃・十二指腸、血管系、リンパ管系、脳脊髄腔はそれぞれ全体で1部位扱い〔通知(2)〕
- 「同時」=診断のため予定される一連の経過内。造影後2〜3時間後のレリーフ像も「同時」扱いで50/100。第1の診断の結果、別種の撮影の必要を認めて行う第2の撮影は逓減なし〔通知(3)〕
- 特殊撮影・乳房撮影・心臓冠動脈造影はフィルム枚数にかかわらず一連1回。両側肺野の断層など部位が異なる場合は部位ごとに1回(乳房を除く)〔通知(6)〕
- 耳・肘・膝など対称部位の健側を対照として撮影する場合も、同一部位の同時撮影と同じ扱い〔通知(8)〕
- 逓減判定上、デジタルとアナログは区別しない(同じ「単純撮影」なら同一の方法)〔通知(4)(5)〕
- 電子画像管理加算は同時に2種類以上の撮影をした場合、主たる撮影の点数のみ。他院撮影フィルムの診断のみでは算定不可〔電子画像管理の通知(2)(3)〕
胸部正面1枚だと「85+68+57=210点」、2方向なら端数を最後に丸めて287点…。「42.5点を先に43点にしない」って、知らないと1点ズレるところでした。
そう、端数処理は「計算の最後に1回だけ」が公式ルール。それと再撮影ぶんは請求できない(原則、施設側の負担)というのも技師には重い話。ポジショニングの1回目精度が、そのまま収益と被ばくの両方に効いてくるんだよ。
※「一連につき」のため、両側・複数方向・フィルム枚数にかかわらず算定は1回〔通知(6):乳房撮影は撮影部位が異なる場合でも一連1回〕。保険のマンモグラフィは診療(症状・精査目的)に対するもので、対策型乳がん検診(自治体・職域)は保険外の委託料金で運用される点に注意。
マンモって左右2方向ずつ撮るのに、「一連」だから全部まとめて1回分なんですね…!トモシンセシスの+100点は忘れず取らないと。
そう、この「一連」の考え方が乳房撮影の肝だよ。それと検診のマンモは保険診療ではないから、点数表の世界の外側。ここを混同すると受付で混乱するので要注意だね。
※超音波は検査の部(D)のため、画像診断管理加算・電子画像管理加算の対象外。残尿測定検査(D216-2)はD215とは別区分で、対象は前立腺肥大症・神経因性膀胱・過活動膀胱。超音波・導尿を同一日に行った場合は主たるもののみ算定。心臓超音波検査に伴う心電図・心音図等の費用は所定点数に含まれる。血管内超音波法は透視・造影剤注入手技・造影剤使用撮影・エックス線診断の費用まで包括。
腹部エコーが530点で「その他」が350点…。同じ装置なのに部位で点数が違うんですね。エコーには電子画像管理加算は付かないんですか?
付かないんだ。電子画像管理加算は画像診断の部(E)の通則にある加算だから、検査の部にいる超音波は対象外。「エコーは検査」──これを覚えておくと、加算の可否で迷わなくなるよ。
※PET系(E101-2〜4)は施設基準の届出がない場合、所定点数の80/100で算定(小児加算も減額)。同一RIでD292・D293の検査と核医学診断を併施した場合は主たるもののみ算定(第2節通則1)。RIの薬剤費は別途薬価算定、注入手技料は所定点数に含まれる。
RI薬剤(放射性医薬品)の算定ルール
- 放射性医薬品の薬剤料は「使用薬剤の薬価(薬価基準)」で算定 ─ 技術料(E100〜E101-5)とは別建て。薬価は改定・銘柄で変わるため、常に最新の薬価基準を参照する
- RIの注入手技料は所定点数に含まれる(E100注4・E101注4ほか)─ 注射手技を別に算定しない
- 18FDG等の合成・注入費用は技術料に包括(E101-2〜4の注1)─ 院内サイクロトロン合成のコストは別算定不可。市販(デリバリー)製剤を使用した場合の薬剤料は薬価基準による
代表的な放射性医薬品と対応する検査(一般名ベース)
- 99mTc-MDP ─ 骨シンチグラフィ/99mTc-MAA ─ 肺血流シンチ
- 99mTc-ECD・99mTc-HMPAO ─ 脳血流SPECT/99mTc-MIBI・201Tl ─ 心筋血流
- 123I-MIBG ─ 心筋交感神経・褐色細胞腫/123I-イオフルパン ─ DATスキャン
- 67Gaクエン酸 ─ 炎症・腫瘍シンチ/131I ─ 甲状腺(内用療法の管理料は放射線治療編M000-2参照)
- 18F-FDG ─ PET(腫瘍・炎症・心サルコイドーシス等)/アミロイドPET製剤・PSMA製剤 ─ 認知症・前立腺癌の新しい適応
※レセプトでは検査ごとに使用薬剤名・数量の記載が必要。半減期の短い製剤はキャンセル時の扱い(薬剤廃棄)も院内ルールを決めておくとトラブルを防げる。
RIの薬って点数表に載ってないから不思議だったんです。技術料は点数表、薬剤料は薬価基準って、参照する本が違うんですね。
その通り。そして注入の手技料は技術料に込み、FDGの院内合成コストも込み。「何が包括で、何が別建てか」を薬剤の面でも整理しておくと、核医学のレセプトは怖くないよ。
※点滴注射はG004、動脈注射はG002の所定点数で算定。内視鏡下の造影剤注入は各内視鏡検査(D302・D318)の所定点数による。心臓・冠動脈造影はE003ではなくD206心臓カテーテル法に包括(造影撮影・注入手技の費用を含む)。
血管造影で「選択的」だと4,320点、そうでないと1,180点…。カテーテルをどこまで進めたかで3倍以上違うんですね。
そう、主要血管の分枝まで選択的に造影したかが分かれ目。それと心カテ関連は画像診断側では算定せずD206に丸ごと包括される──ここは検査室と放射線部門の連携で確認し合うポイントだよ。
※D206は「一連の検査について」の算定。心臓・冠動脈造影の造影剤使用撮影・造影剤注入手技・エックス線診断はD206に包括され、画像診断側(E001/E002/E003/E200系)で重ねて算定できない。カテ室で技師が担う透視・撮影・画像記録はこの一連の中で評価されている。NIRSは日本心血管インターベンション治療学会の適正使用指針の遵守が要件(疑義解釈 その2 問107)。
※実際のレセプトは手技料だけではなく、①特定保険医療材料(血管造影用シースイントロデューサー・カテーテル・ガイドワイヤー等=材料価格基準)と②薬剤料(ヨード造影剤・ヘパリン等=薬価基準)を併せて算定する。大動脈造影・肺動脈造影を行ってもD206に含まれ、エックス線診断の費用は別に算定しない〔通知(1)〕。心筋生検はD417組織試験採取を併算定〔通知(7)〕。右心・左心を同時に行っても各注加算は1回限り〔通知(5)〕。循環動態解析装置によるFFRはFFRCT(E200-2)と併算定不可〔通知(3)〕。NIRSの対象は急性冠症候群で罹患枝2枝以上、又は慢性冠症候群で罹患枝2枝以上かつ糖尿病・慢性腎臓病・高コレステロール血症のうち2つ以上〔通知(8)〕。
※手術料は参考掲載(第2章第10部)。K599-5経静脈電極抜去術は「手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない」=カテ室の透視・造影も包括。胸骨下植込型リードのICDは日本不整脈心電学会「EV-ICDステートメント」の基準遵守が要件(疑義解釈 その2 問110)。デバイス植込み後のMRI撮影は「MRI対応」条件+関係学会運用指針を満たす施設のみ(MRIタブ参照)。
カテ室で私たちが回している透視や撮影って、E200やE003じゃなくてD206の「一連」の中で評価されてるんですね。別々に算定したら二重取りになるところでした…。
そこがカテ関連の最重要ポイント。「カテの中の画像は包括、カテの外の画像は画像診断」と覚えておこう。デバイス植込みやリード抜去も同じ発想で、手術料の中に画像の費用が織り込まれているんだ。
3. 画像診断管理加算と遠隔読影 ─ 読影体制の評価
※いずれも「画像診断を専ら担当する常勤の医師」が読影し文書で報告することが基本要件(要届出)。遠隔画像診断では受信側の届出状況に応じて加算1・2・3・4を算定し、「一部委託」の形(送信側が加算2届出+受信側が加算2〜4届出)では166点の新区分を算定する。
加算2「一部委託」への移行に、届出のやり直しは必要か
4. 算定の落とし穴 ─ 逓減・包括・月1回ルール
- 同一月のCT・MRI 2回目以降は80/100(節通則2)─ CTとMRIをまたいでもカウントされる。月初の算定履歴を確認
- 一般撮影の同一部位・同時・同一方法は2〜5枚目が50/100、6枚目以降は算定不可(第1節通則3)
- E203(CT/MRI診断料)とE102(核医学診断料)は月1回 ─ 撮影のたびに算定しない
- 心臓・冠動脈造影の撮影・注入手技はD206心臓カテーテル法に包括 ─ E200系・E003で重ねて算定しない
- 経静脈電極抜去術(K599-5)は手術に伴う画像診断・検査が包括 ─ カテ室の透視・造影を別に算定しない
- 血管内超音波法(D215)は透視・造影剤使用撮影・エックス線診断まで包括
- 電子画像管理加算を算定したらフィルム費用は算定不可。乳房撮影の電子画像管理は54点(単純の57点と混同しない)
- PET系は施設基準未届出だと80/100に減額 ─ 新規導入時は届出前の算定に注意
「同一月2回目のCTが8割」って、先月のMRIも数えるんですか…!てっきりCTはCT、MRIはMRIで別々だと思ってました。
同じ月の中でならCT→MRIの順でも2回目扱いで80/100になるんだ(通則の「E200及びE202を同一月に2回以上」)。フォローアップ撮影の月をまたぐかどうかで収益が変わる、現場が知っておくべきルールだね。
5. 実務で役立つ算定チェックリスト
撮影前チェック
- ✅ 施設基準の届出区分(CT列数・MRI磁場強度)と装置構成は一致しているか
- ✅ 共同利用施設区分(CT・MRI)の算定条件(届出又は依頼撮影)を満たすか
- ✅ 同一月内のCT・MRI算定履歴(2回目以降80/100)を確認したか
算定時チェック
- ✅ 造影・冠動脈・大腸・外傷全身など、実施した加算の算定漏れはないか
- ✅ 一般撮影の枚数逓減(2枚目〜50/100・6枚目〜算定不可)を正しく適用したか
- ✅ 小児の年齢区分(新生児/乳幼児/幼児)と頭部外傷特例(CT)を確認したか
- ✅ 電子画像管理加算の区分(単純57/特殊58/造影66/乳房54)は正しいか
月次チェック
- ✅ E203・E102・画像診断管理加算の「月1回」重複算定はないか
- ✅ 読影医の文書報告(管理加算の要件)は運用できているか
- ✅ 最新の疑義解釈(事務連絡)の発出を確認したか
まとめ ─ 「三層構造×モダリティの型」で覚える
- 画像診断の費用は「撮影料+診断料+管理加算」の三層で組み立てる
- 令和8年度改定の目玉は128列CT区分の新設(+100点)と3T MRIの増点(+100点)、FFRCTの3点セット再編
- 超音波は検査の部(D215)─ 画像診断管理加算・電子画像管理加算の対象外
- 同一月CT・MRI2回目80/100、一般撮影の枚数逓減、月1回の診断料 ─ 逓減・包括ルールが査定対策の要
- 疑義解釈(その2 問63・64・105ほか)で128列カウント・FFRCT・一部委託などの実務が確定
「三層構造」と「モダリティごとの型」で考えたら、バラバラだった点数が急につながって見えてきました。点数ボード、検査室に貼っておきたいです!
その調子!算定の仕組みがわかる技師は、装置更新の提案でも読影体制の相談でも頼られる存在になる。放射線治療編とあわせて、部門全体の診療報酬を武器にしていこう。
※ 本記事の点数は令和8年度(2026年6月1日適用)医科診療報酬点数表(E000〜E203・D215・第4部通則・各節通則)に基づいています。実際の算定は最新の告示・通知・疑義解釈に従ってください。放射線治療の点数体系は姉妹記事 【放射線治療の診療報酬】基礎から学ぶ点数と算定ルール をご覧ください。
















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