マンモグラフィ検査とは?検査の流れ・痛み・費用まで現役技師がやさしく解説

「マンモグラフィって痛いって聞いたけど、本当?」 「そもそも何を調べる検査なの?」 「病院と検診センター、どっちで受けたらいいの?」
乳がん検診のお知らせが届いても、こんな疑問や不安から「今年もパス」なんて方、意外と多いのではないでしょうか。
この記事では、マンモグラフィ検査について一般の方にもわかりやすく解説していきます。検査の仕組みから当日の流れ、気になる痛みや費用、さらには「病院」と「検診センター」で受ける場合の違いまで、検査を受ける前に知っておきたい情報をまとめました。
そもそもマンモグラフィ検査って何?

マンモグラフィは、乳房専用のX線検査(レントゲン検査)です。
通常のレントゲンとは違い、乳房を専用の板で挟んで薄く伸ばした状態で撮影します。「なぜ挟むの?」と思いますよね。これには大事な理由があります。
乳房を薄くすることで、乳腺の重なりが減り、小さなしこりや異常が見つけやすくなります。さらに、被ばく量を減らす効果もあるんです。

この検査の最大の強みは、手で触ってもわからないような小さなしこりや、乳がんの初期サインである「石灰化」を発見できること。石灰化とは、乳房の一部にカルシウムが沈着した状態で、良性の場合もありますが、早期乳がんのサインであることもあります。
マンモグラフィは、科学的に「乳がんによる死亡を減らす効果がある」と証明されている数少ない検診方法です。
乳がん検診、なぜ大切なの?

日本人女性の9人に1人が生涯で乳がんになると言われています。2024年の予測では、年間約9万1千人が新たに乳がんと診断されており、女性がかかるがんの中で最も多いがんです。
ただ、乳がんには希望があります。早期に発見して適切な治療を行えば、高い確率で治すことができるんです。
ステージ0(非浸潤がん)で発見できれば、5年生存率は99%以上。ステージIでも97%以上と、他のがんと比較しても治療成績が良いのが特徴です。
だからこそ、症状がないうちから定期的に検診を受けることが大切。検診で見つかる乳がんは、自覚症状が出てから見つかる乳がんよりも早期の段階であることが多く、治療の選択肢も広がります。
マンモグラフィ検査の流れ
実際の検査はどのように進むのでしょうか。当日の流れを説明します。
1. 受付・問診
まず受付を済ませ、問診票に記入します。生理周期、妊娠の可能性、過去の検診歴、乳房に関する症状や気になることなどを聞かれます。
2. 更衣
上半身の衣服を脱いで検査着に着替えます。ネックレスなどのアクセサリーも外します。検査着は前開きになっていて、すぐに検査できるようになっています。
3. 撮影
撮影台の前に立ち、技師が乳房を撮影台の上にのせ、透明な圧迫板で挟みます。基本的には「上から」と「斜めから」の2方向を、左右それぞれ撮影します。つまり合計4枚の画像を撮ることが多いです。
1回の圧迫時間は数秒から10秒程度。撮影中は息を止めるよう指示されることもあります。
4. 終了
撮影が終われば検査は終了。全体で10〜15分程度で終わることがほとんどです。
「痛い」という噂は本当?
正直に言うと、マンモグラフィは「圧迫するので痛みを感じることがある」検査です。
ただ、痛みの感じ方には個人差が大きく、「思ったほど痛くなかった」という方もいれば、「結構痛かった」という方もいます。
痛みを感じやすいのは、乳腺が発達している方。乳房の大きさよりも、乳腺の量が関係しています。20〜40代の若い方は乳腺が多いため、痛みを感じやすい傾向があります。
痛みを軽減するコツ
実は、検査を受けるタイミングや心がけ次第で、痛みを軽減できることがあります。
生理前は避ける
生理前はホルモンの影響で乳房が張りやすく、圧迫で痛みを感じやすくなります。生理開始から1週間後くらいが、乳房が柔らかくなる時期でおすすめです。
リラックスして力を抜く
緊張して体に力が入っていると、痛みが増すことがあります。深呼吸をして、肩の力を抜いてみてください。
我慢できない場合は遠慮なく伝える
圧迫の強さは調整できます。痛すぎる場合は、撮影中でも技師に伝えてOKです。
被ばくは大丈夫?
「X線を使うから、被ばくが心配」という声もよく聞きます。
結論から言うと、マンモグラフィの被ばく量はとても少なく、健康への影響はほとんど心配ありません。
1回の検査で乳房が受ける放射線量は約0.05〜0.1mSv程度。これは、東京からニューヨークへ飛行機で1往復するときに浴びる自然放射線量(宇宙線)の約半分と同じくらいです。
私たちは日常生活でも年間約2.4mSvの自然放射線を浴びています。マンモグラフィの被ばく量はその数十分の1程度なので、検査のメリットの方がはるかに大きいと言えます。
ただし、妊娠中や妊娠の可能性がある方は、胎児への影響を考慮して検査を控えるか、必ず事前に申告してください。
マンモグラフィ vs 乳腺エコー(超音波検査)
乳がん検診には、マンモグラフィの他に「乳腺エコー(超音波検査)」もあります。どちらを受ければいいのか迷う方も多いですよね。

マンモグラフィの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 得意なこと | 石灰化の発見、乳房全体を一度に撮影 |
| 苦手なこと | 乳腺が多い人(高濃度乳房)では病変が見えにくい |
| 痛み | 圧迫による痛みあり |
| 被ばく | わずかにあり |
| 推奨年齢 | 40歳以上 |
乳腺エコーの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 得意なこと | しこりの発見、乳腺が多い人でも見やすい |
| 苦手なこと | 石灰化の発見は難しい、検査者の技量に左右される |
| 痛み | なし |
| 被ばく | なし |
| 推奨年齢 | 20〜30代に特に有効 |
結局どっちがいいの?
実は「どちらか一方が優れている」というわけではなく、それぞれ得意・不得意があります。
40歳以上の方は、まずマンモグラフィを受けることが推奨されています。ただ、日本人女性の約4〜5割は「高濃度乳房(デンスブレスト)」と呼ばれる、乳腺の割合が高いタイプ。このタイプの方はマンモグラフィだけでは見落としの可能性があるため、エコーとの併用がおすすめです。
20〜30代の方は乳腺が発達しているため、まず乳腺エコーを受けるのが一般的です。
可能であれば、両方の検査を受けることで、より精度の高い検診が可能になります。
検査費用の目安
マンモグラフィ検査の費用は、受け方によって大きく異なります。
自治体の検診(住民検診)
40歳以上の女性を対象に、2年に1回受けられる検診です。
| 費用 | 無料〜約3,000円(自治体により異なる) |
|---|---|
| 対象 | 40歳以上の女性 |
| 頻度 | 2年に1回 |
| 内容 | 問診+マンモグラフィ |
自治体によっては、特定の年齢の方に無料クーポンを配布していることもあります。届いたお知らせは要チェックです。
職場の健康診断(職域検診)
会社員の方は、職場の健康診断で乳がん検診を受けられることがあります。会社が費用の一部または全額を負担してくれるケースも多いです。実施の有無や対象年齢は会社によって異なるので、確認してみてください。
人間ドック・自費検診
自費で受ける場合の費用目安は以下の通りです。
| 検査内容 | 費用目安 |
|---|---|
| マンモグラフィのみ | 4,000〜8,000円 |
| 乳腺エコーのみ | 3,000〜6,000円 |
| マンモグラフィ+エコー | 8,000〜15,000円 |
人間ドックのオプションとして受ける場合も、同程度の費用がかかります。
保険診療
「しこりがある」「乳頭から分泌物がある」など、自覚症状がある場合は保険診療の対象になります。この場合、3割負担で3,000〜4,000円程度が目安です。
病院と検診センター、どっちで受ける?
マンモグラフィを受けられる場所は大きく分けて「病院・乳腺クリニック」と「検診センター」があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
検診センターの特徴
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 自治体や会社の補助で費用が安い | 異常があった場合、別の医療機関で精密検査が必要 |
| 短時間で効率的に受けられる | 結果が届くまで2〜4週間かかることも |
| 予約が取りやすいことが多い | その場での説明や相談が難しい場合がある |
検診センターは「健康な方が異常がないか確認する場所」というイメージ。多くの方を効率よく検査することに特化しています。
病院・乳腺クリニックの特徴
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 異常があればその場で精密検査に進める | 費用がやや高め |
| 乳腺専門医がいれば詳しい説明を受けられる | 混雑していることがある |
| 結果が早くわかる(当日〜数日) | 自治体の補助が使えない場合がある |
特に乳腺専門のクリニックでは、検診から精密検査、治療まで一貫して対応できるところが強みです。
結局どっちがいいの?
状況によって使い分けるのがベストです。
検診センターがおすすめの方
- 特に自覚症状がない
- 自治体や職場の補助を使いたい
- 費用を抑えたい
病院・乳腺クリニックがおすすめの方
- しこりや痛みなど気になる症状がある
- 過去の検診で「要精検」と言われたことがある
- すぐに結果を知りたい
- 詳しい説明を受けたい
自覚症状がある場合は、検診ではなく「診察」として乳腺外科を受診しましょう。
検査結果の見方
マンモグラフィの検査結果は、カテゴリー分類で判定されることが多いです。
| カテゴリー | 判定 | 意味 |
|---|---|---|
| カテゴリー1 | 異常なし | 心配ありません |
| カテゴリー2 | 良性 | 良性の所見あり。経過観察の場合も |
| カテゴリー3 | 良性の可能性が高いが、悪性の可能性も否定できない | 精密検査をおすすめ |
| カテゴリー4 | 悪性の疑いあり | 精密検査が必要 |
| カテゴリー5 | 悪性の可能性が高い | 精密検査が必要 |
カテゴリー3以上は「要精密検査」となります。
ただし、要精密検査と言われても、必ずしも乳がんというわけではありません。精密検査を受けた方の多くは「異常なし」または「良性」という結果になります。慌てずに、指示に従って精密検査を受けましょう。
「高濃度乳房(デンスブレスト)」について知っておこう
最近よく聞く「高濃度乳房(デンスブレスト)」についても触れておきます。
乳房の中身は「乳腺」と「脂肪」でできています。この乳腺の割合が高い状態を「高濃度乳房」と呼びます。病気ではなく、体質のようなものです。

日本人女性は欧米人と比べて高濃度乳房の割合が高く、40歳以上でも約4割、50歳以下では8割近くが高濃度乳房という報告もあります。
マンモグラフィでは乳腺もがんも白く写るため、高濃度乳房の方は「白い背景に白いがん」を探すような状態になり、見つけにくくなることがあります。
もし検診で「高濃度乳房」と言われたら、乳腺エコーとの併用検診を検討してみてください。
こんな方は注意!検査を受けられない・注意が必要なケース
以下に当てはまる方は、事前に申告するか、検査を控える場合があります。
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方(検査は可能だが、画像が見づらくなる場合がある)
- 心臓ペースメーカーを使用している方
- 豊胸手術(インプラント)を受けている方
該当する方は、受付時や問診の際に必ず申告してください。状況に応じて、乳腺エコーなど別の検査方法を提案されることもあります。
まとめ:まずは一度、検診を受けてみよう
マンモグラフィ検査について、理解は深まりましたか?
改めてポイントをまとめると、
- マンモグラフィは乳房専用のX線検査で、早期乳がんの発見に有効
- 圧迫による痛みはあるが、生理後の時期やリラックスで軽減できる
- 被ばく量はごくわずかで、健康への影響はほとんどない
- 40歳以上は2年に1回の検診が推奨されている
- 高濃度乳房の方は、乳腺エコーとの併用がおすすめ
- 自治体の検診を使えば無料〜3,000円程度で受けられる
乳がんは早期発見で治る可能性が高いがんです。検診を受けることに少しでも不安を感じていた方が、この記事をきっかけに「受けてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
まずは、お住まいの自治体の検診情報を確認してみてください。自分の体を守る第一歩を、今日から始めてみませんか?
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス
- 厚生労働省 がん検診について
- 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン
- NPO法人 日本乳がん検診精度管理中央機構


