診療報酬改定2026 放射線部門 完全ガイド|共同利用・遠隔読影・IMRT・粒子線収益戦略と経営実装

MEDICAL FEE REVISION 2026 · お金と制度
診療報酬改定2026 放射線部門ガイド|共同利用・遠隔画像診断・IMRT・照射料の一連評価を告示で読む
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改定率+3.09%の中身と、4つの基本的視点
改定率は2025年12月24日の予算大臣折衝で決まりました。数字の読み方を間違えやすいところから確認します。
改定の資料を初めて読むLINAの疑問に、ラッコ先輩が対話形式で答えていきます。
| 項目 | 改定率(2年度平均) | 中身 |
|---|---|---|
| 診療報酬本体 | +3.09% 令和8年度 +2.41%・令和9年度 +3.77% | 2026年6月施行 |
| うち賃上げ分 | +1.70% 令和8年度 +1.23%・令和9年度 +2.18% | 各年度+3.2%のベースアップを支援(看護補助者・事務職員は5.7%) |
| うち物価対応分 | +0.76% 令和8年度 +0.55%・令和9年度 +0.97% | 物価対応料などの新しい項目で手当て |
| うち食費・光熱水費分 | +0.09% | 入院時の食費・光熱水費の基準額の引き上げ |
| うち経営環境悪化への緊急対応分 | +0.44% 病院 +0.40% | 令和6年度改定以降の経営悪化への手当て |
| 各科改定率(上記以外の改定分) | 医科 +0.28% 歯科 +0.31%・調剤 +0.08% | 個別の点数の見直しに充てる部分 |
| 薬価・材料価格 | ▲0.87% 薬価 ▲0.86%・材料 ▲0.01% | 薬価は2026年4月、材料価格は6月施行 |
基本方針は「4つの基本的視点」
改定の基本方針は、中医協ではなく社会保障審議会の医療保険部会と医療部会が2025年12月9日にまとめたものです。柱は5つではなく、次の4つの基本的視点です。
医療DXは独立した柱ではなく、1と3の中に入っています。初診料の加算も「医療DX推進体制整備加算」から電子的診療情報連携体制整備加算(1〜3:15点・9点・4点)に置き換わりました。賃上げの考え方はベースアップで技師の月給はどう変わるかでも扱っています。
画像診断管理加算と遠隔画像診断。新しいのは「一部委託」166点
遠隔画像診断で受信側が加算2〜4の体制を持っていれば上位の加算を算定できる規定は、前回(令和6年度)の点数表に通則第7号としてすでにありました。今回は番号が通則第8号に移っただけです。新しく加わったのは通則第7号の「画像診断管理加算2(一部委託を行う場合)」です。
画像診断管理加算1〜4の点数と主な施設基準
| 区分 | 点数(月1回) | 主な施設基準(保医発0305第8号 第30) |
|---|---|---|
| 加算1 | 70点 E001・E004、E102、E203のそれぞれ | 放射線科を標榜する保険医療機関(診療所も可)。画像診断を専ら担当する常勤医師(経験10年以上または所定の研修修了)が1名以上。他施設に読影を委託していない |
| 加算2 | 175点 E102、E203のそれぞれ | 放射線科を標榜する病院。上記の常勤医師1名以上。核医学診断とCT診断の8割以上を翌診療日までに報告。MRI装置の安全管理 |
| 加算2(一部委託) | 166点 令和8年度新設(通則第7号) | 加算2の届出病院が、加算2〜4の届出病院に遠隔画像診断で読影の一部を委託する場合。委託は核医学診断とCT診断の2割以下 |
| 加算3 | 235点 | 病院で、救命救急センターまたは高度救命救急センターを設置。常勤医師3名以上。夜間・休日の読影体制。AIを使った画像診断補助ソフトの安全管理 |
| 加算4 | 340点 | 放射線科を標榜する特定機能病院。常勤医師6名以上。検査前の画像診断管理。CT線量情報の電子的な記録と最適化。AIソフトの安全管理 |
遠隔画像診断で、誰が何を算定するか
算定できる加算の段階は、受信側の届出で決まります。受信側が加算1の届出病院なら送信側は加算1(通則第6号)、加算2〜4の届出病院なら送信側は加算2〜4(通則第8号)を算定できます。送信側も受信側も、遠隔画像診断の施設基準をそれぞれ届け出る必要があります。
新設の「一部委託」166点は何を解決するか
これまで加算2の施設基準には「他施設に読影を委託していないこと」があり、加算2の病院が夜間や繁忙時の読影を外に出すと、加算2そのものを失うおそれがありました。令和8年度は、加算2の届出病院が、加算2〜4の届出病院へ遠隔画像診断で委託する割合が2割以下なら、加算2の基準を満たしたまま委託できるようになりました。
- 算定するのは送信側:E102(核医学診断)とE203(コンピューター断層診断)のそれぞれについて、月1回166点。
- 自院で読影した月も166点:告示は、送信側の常勤医が自ら読影して報告した場合も「加算2(一部委託)」を算定すると定めています。175点との使い分けではありません。
- 届出は増えない:すでに加算2を届け出ていれば、改めて加算2の届出は不要。ただし遠隔画像診断の施設基準の届出は要ります(疑義解釈その2 問105)。
診療所が使える選択肢
加算2以上は病院の要件なので、診療所が自院の体制で届け出られるのは加算1までです。一方、遠隔画像診断の送信側には診療所もなれます。加算2〜4の届出病院(上記の受信側の要件を満たす病院)に読影を依頼する体制を組めば、診療所が送信側として加算2〜4を算定できます。どちらを選ぶかは、常勤の画像診断医を置けるか、受信側の病院と合議できるかで決まります。詳しい点数の体系は画像診断の診療報酬にまとめています。
128列以上CTの新区分と、共同利用率10%の読み方
CT撮影(E200)に「128列以上」の区分ができ、3テスラ以上のMRI(E202)は100点上がりました。共同利用施設の+20点は前回からある区分です。
| 装置区分 | 点数 | 令和6年度との比較 |
|---|---|---|
| CT 128列以上 | 1,100点 共同利用施設 1,120点 | 新設(前回は64列以上が最上位) |
| CT 64列以上128列未満 | 1,000点 共同利用施設 1,020点 | 据え置き |
| CT 16列以上64列未満 | 900点 | 据え置き |
| CT 4列以上16列未満 | 750点 | 据え置き |
| MRI 3テスラ以上 | 1,700点 共同利用施設 1,720点 | 増点(前回は1,600点/共同利用1,620点) |
| MRI 1.5テスラ以上3テスラ未満 | 1,330点 共同利用の区分なし | 据え置き |
上位区分の施設基準(保医発0305第8号 第34)
- 画像診断管理加算2〜4の届出:128列以上・64列以上128列未満のCTと、3テスラ以上のMRIで必要。加算1だけの医療機関や診療所は、64列以上の装置を持っていても64列以上の区分では算定できず、届け出た下位の区分(16列以上64列未満なら900点)になります。
- 専従の診療放射線技師:同じ装置区分で、CT部門・MRI部門にそれぞれ専従の技師が1名以上。1.5テスラのMRIにはこの要件はありません。
- 保守管理計画と安全管理責任者:届出(様式37)に保守管理計画を添付し、安全管理責任者の氏名を書きます。
施設共同利用率の計算
共同利用施設の点数(+20点)を算定するには、施設共同利用率が10%以上でなければなりません。様式37の計算式は次のとおりです。
① 保有するすべての当該機器を使った全患者数/② 共同利用を目的に他の医療機関から依頼された紹介患者数/③ 特別の関係にある医療機関間の紹介と、転医目的の紹介の患者数
- 数えるのは患者数:保険診療の患者数で、件数ではありません。
- CTは128列と64列を合わせて計算:様式37では、128列以上と64列以上128列未満のCTを1つの欄で計算します。同じ区分の装置が2台以上あれば合算します。
- 10%を割ったときに失うのは+20点:128列以上CTの1,100点(その他の場合)は、共同利用率に関係なく算定できます。
10%の壁はどれくらい高いか
必要な紹介患者数は、対象機器の全患者数の1割です。下の表は件数の目安を示すための例で、実際の比率は地域の紹介の流れで大きく変わります。
| 対象機器の年間患者数(例) | 必要な紹介患者数 | 月あたり |
|---|---|---|
| 3,000人 | 300人以上 | 約25人 |
| 8,000人 | 800人以上 | 約67人 |
| 15,000人 | 1,500人以上 | 約125人 |
診療所のCTが増えた
近隣の診療所が自前でCTを持つと、患者を他院に依頼する理由が減ります。紹介元の候補そのものが細っていきます。
営業と契約の負担
紹介元の開拓、予約枠の調整、結果返却の取り決めは、地域連携室と放射線部門の仕事になります。撮影業務と並行して続ける必要があります。
未達なら+20点だけ失う
10%を割ると共同利用の点数(+20点)が算定できなくなります。下位の区分に落ちるわけではないので、届出の判断は「+20点 × 件数」と負担を比べて決められます。
装置の損益を考えるときは、点数だけでなく減価償却や保守費も並べる必要があります。考え方はCT・MRIの損益分岐点の記事で整理しています。
IMRTは常勤医1名でも届け出られるようになった
IMRTの施設基準は、放射線治療を専ら担当する常勤医師が2名以上(うち1名は経験5年以上)です。令和8年度は、人口減少地域での提供体制を守るため、遠隔の支援施設と組めば常勤医を1名にできる規定が新設されました(施設基準通知 第83の3 1(3))。
| 対象 | 満たすべき要件 |
|---|---|
| 実施施設 | 地域がん診療連携拠点病院、または体外照射を年間200症例以上実施している地域がん診療病院。同じがん医療圏にIMRTの届出をしている他の医療機関がないこと |
| 実施施設の医師 | 放射線治療を専ら担当する常勤医師1名(放射線治療の経験5年以上) |
| 実施施設の設備 | 直線加速器、治療計画用CTと三次元治療計画システム、セキュリティ対策を講じた遠隔放射線治療システム、第三者機関による出力線量の評価 |
| 実施施設の運用 | 支援施設の医師と常時連絡がとれる体制。遠隔放射線治療と医療情報のセキュリティ対策の指針。関係学会のガイドラインに基づく実施 |
| 支援施設 | 特定機能病院、都道府県がん診療連携拠点病院、または地域がん診療連携拠点病院。放射線治療を専ら担当する常勤医師3名以上(うち2名以上が経験5年以上) |
| 支援する医師 | 経験5年以上の常勤医師。1名につき支援は2施設まで。実施の記録を保存する |
| 共通の要件 | 経験5年以上の常勤の診療放射線技師1名以上、精度管理・照射計画の検証などを専ら担当する者1名以上、IMRTを年間10例以上 |
「関係学会の定めるガイドライン」は、日本放射線腫瘍学会の放射線治療計画ガイドラインと遠隔放射線治療計画ガイドライン、日本医学物理学会・日本放射線技術学会・日本放射線腫瘍学会の強度変調放射線治療における物理・技術的ガイドラインを指します(疑義解釈その2 問97)。精度管理の組み立てはTG-142とJASTRO QAガイドラインで扱っています。
全乳房照射と前立腺IMRTは「一連につき」の評価へ
前回は1回ごとに算定していた照射料が、乳癌の全乳房照射と前立腺癌のIMRTに限って一連の定額になりました。あわせて、一回線量増加加算(全乳房690点・前立腺IMRT1,400点)は廃止されています。

いや、全乳房照射と前立腺IMRTなら、分割の回数にかかわらず一連で算定するんだ。寡分割照射(全乳房は1回2.5Gy以上、前立腺は1回3Gy以上)で行うときは、別に施設基準の届出が要る。そう分けて覚えておくといいよ。
| 区分 | 一連の点数 | 治療を取りやめた等の場合 |
|---|---|---|
| M001 2イ 乳癌の全乳房照射 | 41,500点 IGRT加算・呼吸性移動対策加算は一連でそれぞれ2,400点 | 7回目まで10,500点、8回目以上14,000点 |
| M001 3イ 前立腺癌の前立腺照射(IMRT) | 96,500点 IGRT加算(腫瘍の位置情報)は一連で9,000点 | 9回目まで24,000点、10回目以上42,000点 |
取りやめた場合の点数は、完遂時のおよそ25〜44%です。取りやめた場合でも、画像誘導放射線治療加算と呼吸性移動対策加算は、要件を満たせば1日ごとの点数(一連の評価を除く)で算定します(疑義解釈その2 問98)。
寡分割照射の施設基準(第83の2)
- 共通:高エネルギー放射線治療を年間100例以上。放射線治療を専ら担当する常勤医師(経験5年以上)。放射線治療を専ら担当する常勤の診療放射線技師(経験5年以上)。
- 前立腺IMRTの寡分割だけ:IMRTの機器を備え、IMRTを年間10例以上かつ腫瘍の位置情報によるIGRTを年間10例以上。
それ以外の高エネルギー放射線治療は区分が整理された
| M001 2ロ その他の場合 | 令和6年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 1門照射(1回目) | 840点1門または対向2門 | 840点 |
| 1門照射(2回目) | 420点 | 336点 |
| 2門以上・運動・原体照射(1回目) | 1,320点(非対向2門・3門)/1,800点(4門以上・運動・原体) | 1,750点 |
| 2門以上・運動・原体照射(2回目) | 660点/900点 | 700点 |
対向2門照射は、前回は1門と同じ840点の区分でしたが、今回は「2門以上」の1,750点に入ります。「2回目」は、同じ日に1回目と異なる部位を照射した場合の点数です(留意事項通知 M001(1))。全乳房照射後のブースト照射は2ロを追加で算定でき、鎖骨上リンパ節への同日照射は2ロの(2)または(4)で算定します(疑義解釈その2 問99・100)。
照射料だけを比べた試算(前立腺)
IMRTを届け出ていない施設が三次元原体照射で通常分割を行う場合と、IMRTで一連評価を算定する場合の照射料を、告示の点数だけで比べます。照射回数は通常分割の例として37回とおいた仮定で、施設の実際の分割とは異なります。
| 項目 | IMRT(一連) | 三次元原体照射(37回の例) |
|---|---|---|
| 照射料 | 96,500点 M001 3イ | 64,750点 1,750点 × 37回 |
| IGRT加算(腫瘍の位置情報) | 9,000点 一連 | 16,650点 450点 × 37回 |
| 合計(照射料+IGRT) | 105,500点 | 81,400点 |
差は24,100点です。放射線治療管理料(IMRTは5,000点、4門以上・原体照射は4,000点)や外来放射線治療加算、固定具などは両方に関わるため、この表には入れていません。一連評価の区分での管理料の扱いは、施設の運用と審査の考え方を確かめてください。点数の組み合わせは放射線治療 算定シミュレーターで試せます。経営への影響は放射線治療の経営戦略で詳しく扱っています。
核医学治療・PSMA PET・粒子線の変更点
放射性同位元素内用療法管理料(M000-2)
放射性同位元素内用療法の管理料で、令和8年度に新しく加わったのは、PSMA陽性で遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(5のロ)と、神経芽腫(8)の2区分です。骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌(5のイ・2,630点)は前回からある区分で、番号が「5」から「5のイ」に変わりました。
| 区分 | 点数 | 算定の単位 | 令和6年度との比較 |
|---|---|---|---|
| 1 甲状腺癌 | 1,390点 | 月1回 | 据え置き |
| 2 甲状腺機能亢進症 | 1,390点 | 月1回 | 据え置き |
| 3 固形癌骨転移による疼痛 | 1,700点 | 月1回 | 据え置き |
| 4 B細胞性非ホジキンリンパ腫 | 3,000点 | 月1回 | 据え置き |
| 5イ 去勢抵抗性前立腺癌(骨転移のあるもの) | 2,630点 | 投与した日 | 既存(区分番号の変更) |
| 5ロ 去勢抵抗性前立腺癌(PSMA陽性・遠隔転移) | 3,000点 | 投与した日 | 新設 |
| 6 神経内分泌腫瘍 | 2,660点 | 投与した日 | 据え置き |
| 7 褐色細胞腫 | 1,820点 | 投与した日 | 据え置き |
| 8 神経芽腫 | 3,800点 | 月1回 | 新設 |
PSMA PETの点数
| 区分 | 点数(一連の検査につき) |
|---|---|
| E101-2 6 ポジトロン断層撮影(PSMAイメージング剤) | 2,780点 |
| E101-3 5 PET/CT(PSMAイメージング剤) | 3,905点 |
| E101-4 4 PET/MRI(PSMAイメージング剤) | 4,440点 |
PSMA PETの施設基準は、通常のPETの基準(核医学診断の経験3年以上で所定の研修を修了した常勤医師、PET製剤を扱う専任の診療放射線技師)に加えて、関連学会のPSMA標的療法の講習会または院内研修を受けた常勤の医師と診療放射線技師が1名以上です(施設基準通知 第33 3)。PET検査の流れはPET検査ガイドで、線量の考え方は核医学と放射線治療の線量管理で扱っています。
粒子線治療(M001-4)
- 小児放射線治療加算 7,000点(注4・新設):15歳未満の小児に粒子線治療を行った場合、所定点数に7,000点を加算します。第12部通則の小児放射線治療加算(所定点数の100分の20〜80)は粒子線治療を対象にしていないので、粒子線には定額のこの加算が付きます。
- 大腸癌肺転移が対象に:陽子線・重粒子線とも、手術による根治的な治療法が困難な3個以内の大腸癌肺転移(原発巣切除後で局所再発がなく、肺外転移が制御されているもの)が算定の対象に加わりました。
救急外来医学管理料。技師の常時院内配置が要るのは管理料1
夜間休日救急搬送医学管理料などが再編され、救急外来医学管理料ができました。技師の配置要件は区分で違います。
| 区分 | 救急搬送件数 | CT・技師に関する要件 |
|---|---|---|
| 管理料1(救急外来緊急検査対応加算1) | 年間1,500件以上一部の地域は1,200件以上 | 血液検査・CT・MRIを常時実施できる体制。薬剤師・臨床検査技師・診療放射線技師が常時、院内に配置 |
| 管理料2(救急外来緊急検査対応加算2) | 年間800件以上一部の地域は640件以上 | 応需時間帯に血液検査とCTを実施できる体制。CTを行う職員は緊急呼出し当番でも可 |
「オンコールでは届け出られない」のは管理料1です。管理料2はCTの担当者を呼出し当番で確保してもかまいません。当直体制を見直すときは、自院がどちらを届け出ているか、または目指すかで必要な体制が変わります。
ベースアップ評価料は17点へ。令和9年6月にもう一段
ベースアップ評価料は令和6年度に新設された評価料で、令和8年度に点数と対象職員が広がりました。
| 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ) | 令和8年度 | 継続して賃上げした施設(注5) |
|---|---|---|
| 初診時 | 17点 前回 6点 | 23点 |
| 再診時等 | 4点 前回 2点 | 6点 |
| 訪問診療時(同一建物居住者等以外) | 79点 前回 28点 | 107点 |
| 訪問診療時(それ以外) | 19点 前回 7点 | 26点 |
- 令和9年6月以降:上の令和8年度の点数は所定点数の100分の200(2倍)になり、注5の点数は初診時40点・再診時等10点・訪問診療時186点/45点に変わります。
- 入院ベースアップ評価料:前回の1〜165から1〜500の区分に広がりました。251〜500の区分は令和9年6月以降に算定します。
- 対象職員:その医療機関に勤務する職員から、40歳以上の医師・歯科医師と業務委託の人を除いた人。診療放射線技師は対象です。
- 使い道:基本給か、決まって毎月支払われる手当の引き上げ(ベア等)と、それに伴う賞与・時間外手当・法定福利費の増加分。夜勤手当は基本給等に含めてかまいません。ベア等をしても収入が余る場合に限り、賞与などで改善できます。
- 入院料の減算(新設):令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料を届け出ておらず、一定水準のベアもしていないなど、継続的な賃上げの基準を満たさない病院は、入院料から1日あたり減算されます(急性期一般入院料1などで121点、急性期一般入院料2〜6などで85点、特定機能病院入院基本料で141点。医科点数表 第1章第2部通則第11号)。
- 物価対応料(新設):外来・在宅は初診時2点・再診時等2点・訪問診療時3点。入院は入院料ごとに1日あたりの点数が決まっています。
技師の月給が実際にどう動くかの試算はベースアップ評価料と技師の月給で、職場ごとの待遇の違いは技師の職場比較2026で扱っています。
見落としやすい変更
| 項目 | 令和8年度 | 前回との違い |
|---|---|---|
| E200-2 血流予備量比CT | 7,800点 名称「…断層撮影解析」 | ▲1,600点。月1回前回 9,400点(名称「…断層撮影」) |
| 短期滞在手術等基本料3(M001-2 ガンマナイフ) | 59,673点 | ▲1,123点。病院が入院5日以内に行うときは、原則すべての患者でこの点数を算定(診療所を除く。留意事項通知 A400(5)(6))。入院料や検査も含まれる。外来で行うM001-2は50,000点で据え置き前回 60,796点 |
| D215 経食道心エコー法 | 1,800点 | +300点前回 1,500点 |
| D215 胎児心エコー法診断加算 | 1,200点 | +200点(胎児心エコー法300点は据え置き)前回 1,000点 |
| K613-2 腎神経焼灼術 | 31,840点 | 新設前回なし |
| K609-3 経頸動脈的頸動脈ステント留置術 | 34,740点 | 新設前回なし |
| 冷凍凝固による凝固・焼灼術(腫瘍径2cm以内/超) | 51,200点 2cm以内。2cm超は66,200点 | 骨・軟部(K053-3)、肺(K514-8)、骨盤内・腹腔内(K645-4)、肝(K697-8)が新設。腎(K773-4)は腫瘍径で2区分に前回 腎のみ 52,800点 |
| フュージョンイメージング加算 | 200点 一連につき | 据え置き。対象は乳腺・肺・腎・骨・骨盤内・肝のラジオ波焼灼療法と肝マイクロ波凝固法の7手技で、前回と同じ。新設の冷凍凝固には規定がない前回 200点 |
| K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) | 12,000点 イ 閉塞・高度狭窄。ロ その他は9,840点 | イは閉塞、またはエコーで血流量400mL以下かRI 0.6以上。根拠を摘要欄に記載前回 12,000点 |
骨塩定量検査(D217)は原則1年に1回
骨塩定量検査は、検査の種類にかかわらず、患者1人につき1年に1回に変わりました(前回は4月に1回)。次のいずれかに当たる患者は、従来どおり4月に1回算定できます。
- 骨粗鬆症の治療を開始した日から1年以内
- 新たに骨折した場合
- 関係学会のガイドラインで示された骨折の危険因子が新たに増えた場合
- ビスホスホネート薬の治療の中断を検討する場合
- グルココルチコイド、アロマターゼ阻害薬、抗アンドロゲン薬、骨形成促進薬など、骨減少または骨増加をきたす薬剤を投与する場合
- 吸収不良、全身性炎症性疾患、長期不動、人工閉経など、骨減少または骨増加をきたす疾患等がある場合
令和8年5月に算定した場合、4月に1回の患者は9月以降、1年に1回の患者は令和9年5月以降に次の算定ができます(疑義解釈その5 問15)。予約の時点で前回の検査日と、上の例外に当たるかを確かめる流れを作っておくと、返戻を防げます。
部門で動くための確認リスト
経営層に提案するときは、点数 × 件数で計算できる数字だけを使い、仮定は仮定と書くのが基本です。
よくある質問
Q1 遠隔読影を受託している病院は、管理加算を自院で算定できますか。
算定するのは送信側(撮影した医療機関)です。受信側の費用は両者の合議で決めます(留意事項通知 第4部通則6(1))。告示の通則第6号・第8号は「受信側の医療機関が届出を行っており、受信側の医師が読影して送信側に報告した場合は、加算を算定できる」という書き方で、受信側が主語に見えますが、ここで受信側に求めているのは算定の条件です。管理加算は送信側が請求する核医学診断・コンピューター断層診断の所定点数に上乗せする加算で、受信側と送信側の両方が請求することはできません。受信側の届出が加算2〜4なら、送信側が加算2〜4を算定できる規定は前回からあります。
Q2 「加算2(一部委託)166点」は、委託した画像の分だけ166点になるのですか。
いいえ。一部委託を行う加算2の病院は、自院の常勤医が読影した場合も「加算2(一部委託)」として166点を算定すると告示に定められています。委託できるのは核医学診断とCT診断の2割以下です。
Q3 共同利用率が10%を下回ると、128列CTの1,100点も算定できなくなりますか。
いいえ。下回ったときに算定できなくなるのは共同利用施設の点数(1,120点)で、その他の場合の1,100点は算定できます。ただし128列以上の区分には、画像診断管理加算2〜4の届出と専従技師の配置が必要です。
Q4 診療所が64列以上のCTを持っていると、1,000点以上を算定できますか。
64列以上の区分は画像診断管理加算2〜4の届出が要件で、加算2以上は病院の要件です。そのため診療所は64列以上の区分では算定できず、16列以上64列未満の区分(900点)などで届け出ることになります。
Q5 前立腺IMRTの一連評価は、寡分割照射のときだけですか。
前立腺癌に前立腺照射をIMRTで行う場合は、分割にかかわらず3イ(一連96,500点)で算定します。1回3Gy以上の寡分割で行う場合は、別に施設基準の届出が必要です。症状緩和目的のIMRTは3ロで算定します(疑義解釈その10 問5)。
Q6 救急外来医学管理料のために、技師の当直は必須ですか。
管理料1は、診療放射線技師が常時院内に配置されていることが要件です。管理料2は、CTを行う職員を緊急呼出し当番で確保する体制でも差し支えありません。
Q7 ベースアップ評価料は夜勤手当の引き上げに使えますか。
恒常的に夜間を含む交替制勤務をとる職場の夜勤手当は、決まって毎月支払われる手当に準じて基本給等に含めてかまいません(施設基準通知 第105)。
Q8 全身MRI撮影加算(600点)は今回新設されましたか。
前回の点数表からある加算で、今回の新設ではありません。前立腺癌の骨転移の診断を目的に、1.5テスラ以上の装置で頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮像した場合に算定します(留意事項通知 E202(15))。
本記事のまとめ
- 改定率:診療報酬本体+3.09%は2年度平均。令和8年度は+2.41%で、賃上げ分+1.70%など使い道が決まった部分が大きい。
- 遠隔画像診断:算定は送信側。新設は加算2の「一部委託」166点で、委託は2割以下。
- CT・MRI:128列以上CTが1,100点(共同利用1,120点)で新設、3T MRIは1,700点(共同利用1,720点)に増点。上位区分は加算2〜4の届出と専従技師が要件。
- 放射線治療:IMRTは遠隔支援で常勤医1名でも届出可。全乳房照射41,500点・前立腺IMRT96,500点は一連の評価で、一回線量増加加算は廃止。
- 核医学・粒子線:内用療法管理料にPSMA陽性CRPC(3,000点)と神経芽腫(3,800点)、粒子線に小児加算7,000点と大腸癌肺転移。
- その他:骨塩定量は原則1年に1回、FFR-CTは7,800点、ガンマナイフの短期滞在手術等基本料3は59,673点に下がった。
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参考文献
- [1]厚生労働省:診療報酬改定について(令和7年12月24日 予算大臣折衝)(改定率と内訳)
- [2]社会保障審議会医療保険部会・医療部会:令和8年度診療報酬改定の基本方針(令和7年12月9日)
- [3]厚生労働省:診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 別表第一 医科診療報酬点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)
- [4]厚生労働省:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(医科)
- [5]厚生労働省:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号)
- [6]厚生労働省:疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日)(問97〜101・105)
- [7]厚生労働省:疑義解釈資料の送付について(その5)(令和8年5月8日)(問15・18)
- [8]厚生労働省:疑義解釈資料の送付について(その10)(令和8年7月17日)(問5〜9)
- [9]厚生労働省:令和6年度 医科診療報酬点数表(前回との比較に使用)
- [10]厚生労働省:令和8年度診療報酬改定について(関連資料の一覧)
点数・要件は2026年10月10日に上記の原本で確認しました。疑義解釈はその13(令和8年9月25日)まで、関連通知の訂正は令和8年10月7日付まで確認しています。実際の算定と届出は、管轄の地方厚生局の最新の取扱いを確認してください。










CTの撮影点数シミュレーションについて、クリニックでは共同利用にかかわらず、64列でも画像診断管理加算2(病院のみ)を届け出できないので、1020点⇒900点となると思うのですが、違うのでしょうか?また画像管理加算は57点ではなく120点と思います。
コメントありがとうございます!2点ともしっかり確認しました。
① 電子画像管理加算(57点→120点)
ご指摘の通りです。電子画像管理加算(CT)は120点が正しく、記事内で誤って57点と記載していた箇所を修正いたしました。57点は別の検査区分の点数でした。大切なご指摘をありがとうございます。
② CT撮影料の1,020点について
こちらは少し概念の整理が必要かもしれません。「画像診断管理加算2」と「共同利用施設のCT撮影料区分」は別々の制度です。
画像診断管理加算2(175点)は専任の常勤放射線科医の配置が必要で、病院のみ届出可能です。この点はご認識の通りです。
一方、共同利用施設のCT撮影料(64列以上128列未満 = 1,020点)は、他医療機関からの依頼を受け入れる共同利用施設として届け出た施設に適用される撮影料の区分であり、クリニックでも届出可能です。記事のシミュレーションは「クリニックAが共同利用施設として届出済み」という前提で設計しており、その場合の撮影料は1,020点が正しい算定です。
混乱を招きやすい箇所でしたので、シミュレーション表の注釈に「共同利用施設届出済み・画像診断管理加算は算定なし(別制度)」と追記しました。ご指摘いただけて助かりました、引き続きよろしくお願いいたします。
ご返信ありがとうございます。追加でご質問させてください。
私の認識では、そもそも64列以上のCT装置又は3テスラ以上のMRI装置においては、画像診断管理加算2以上の施設基準の届出を行っていないと、1000点や1600点などの高い点数がとれず、16列-64列未満として届け出たうえで、900点を算定するといわれておりました。
当院は放射線科Drが院長で加算1は取れるのですが、クリニックですので画像診断管理加算2(病院以上)が取れません。いままで上記の解釈で、64列CTをいれておりますが16列として届け出しておりました。
当院はほぼ画像センターですので共同利用の取り組みが可能ですので、今まで大損していたことになるのでしょうか??
ご返信ありがとうございます。
大変失礼いたしました。ご指摘の通り、「クリニックでも届出可能」という表現は誤りでした。画像診断管理加算2(175点)の施設基準は「放射線科を標榜している病院であること」が明確に要件となっており、クリニック(診療所)では届出・算定ができません。以下に正確な内容に修正いたします。
所管の厚生局により細かな解釈に差が出る可能性もありますが、最終的には管轄の厚生局に直接確認いただくのが確実です。
共同利用が可能であれば届出を見直すことで点数アップのチャンスはありますが、今までの900点算定は当時の基準内で適切だったと考えるのが一般的な解釈だと思われます。
ご指摘いただきありがとうございました。記事を大幅修正しましたのでご確認ください。記事や返信の正確性を高めるため、何か追加のご質問や進捗があれば、遠慮なくお知らせください!