診療報酬改定2026 放射線部門まとめ|共同利用・遠隔読影・BNCT収益戦略

2026年度の診療報酬改定は、放射線部門にとって「攻め」と「守り」の両面で戦略の転換を迫る内容です。 「装置を持っているだけ」では減収する時代に突入し、地域連携・共同利用・遠隔読影という「繋がる力」が収益を左右します。

Lina

ゆんさん、診療報酬改定って正直よく分からないんですけど、私たち技師の仕事や給料に影響あるんですか?

Yun

めちゃくちゃ影響あるよ。今回の改定は「装置を持っているだけでは減収」になりかねない。逆に、地域連携の仕組みを作れば年間数百万円の増収も可能。しかもベースアップ評価料で技師の給与にも直結する。知らないでは済まされない改定なんだ。

TL;DR(結論を先に)

2026年度改定の3本柱: ①CT/MRI共同利用で+20点/件(年間100万円以上の増収ポテンシャル)、 ②遠隔読影の受信側で画像診断管理加算が算定可能に(新たな収益源)、 ③寡分割照射の評価明確化で治療枠の回転率UP(ただし中断リスクに注意)。 さらにBNCT保険収載核医学治療の適応拡大ベースアップ評価料で技師の待遇改善も。

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診療報酬改定は、現場の業務・キャリア・部門経営すべてに波及します。

  • 放射線部門経営:共同利用の施設基準届出、収益シミュレーション
  • 放射線治療:寡分割照射の施設基準と中断時の減算リスク管理
  • キャリア・待遇:ベースアップ評価料による技師の給与改善

「制度を知っている人」と「知らない人」で、部門の収益に数百万円の差がつく。これが診療報酬改定です。

図1:2026年度改定の3本柱と収益インパクト

1. CT/MRI共同利用で+20点 ― 画像診断の点数差がつく時代へ

1-1. 何が変わったのか

Yun

今回最も注目すべき変更がこれだ。64列以上のCTと1.5T以上のMRIについて、「共同利用施設」かどうかで撮影料に差がつくようになった。つまり、装置の性能だけでなく「地域の他院と連携しているか」が点数に反映されるということ。

装置区分共同利用施設その他点数差
CT 128列以上1,120点1,100点+20点
CT 64列以上128列未満1,020点1,000点+20点
CT 16列以上64列未満900点(差なし)
MRI 3T以上1,720点1,700点+20点
MRI 1.5T以上3T未満1,350点1,330点+20点
Lina

+20点って、1件あたり200円ですよね…。それってそんなに大きいんですか?

Yun

1件200円を甘く見てはいけない。年間CT 5,000件の病院なら、+20点 × 5,000件 = 100万円の増収。MRIも合わせれば200万円以上になりうる。しかもこれは「やるかやらないか」だけで決まる。装置を買い替える必要も、人を増やす必要もない。施設基準を届け出て、近隣からの紹介を受け入れる体制を作るだけだ。

図2:CT/MRI共同利用の収益インパクトフロー

1-2. 施設基準の届出要件

「共同利用施設」になるために必要なこと

  • 地方厚生局への施設基準の届出が必須
  • 他の医療機関からの検査依頼(紹介検査)を受け入れる体制の整備
  • 予約枠の開放、画像データの提供体制の構築
  • 詳細な実績基準(紹介件数等)は告示・通知で今後規定される

1-3. アクションプラン:共同利用の立ち上げ

部門リーダーが今すぐ動くべき5ステップ

  1. 自院のCT/MRI装置の列数・テスラ数を確認(64列以上 or 1.5T以上が対象)
  2. 地域連携室と連携し、近隣クリニックへの「共同利用枠」の提案を準備
  3. 紹介検査の予約フローを整備(WEB予約、電話窓口、FAX受付など)
  4. 地方厚生局への施設基準届出の準備(事務部門と協働)
  5. 近隣施設への営業・説明会を実施(「共同利用によるメリット」を提示)

2. 遠隔画像診断の管理加算 ― 受信側の収益化が解禁【2026改定】

2-1. 従来の課題と改定のインパクト

Lina

うちの病院、近隣のクリニックからCTの画像を送ってもらって放射線科の先生が読影してますけど、あれってちゃんと「お金」になってるんですか?

Yun

実は、これまで遠隔読影の「受信側(読影する病院)」は、正規の診療報酬として評価されにくかった。ボランティア的、あるいは安い契約料で対応している施設が多かった。でも今回の改定で、受信側でも画像診断管理加算(2, 3, 4)が正式に算定可能になったんだ。

図3:遠隔画像診断の新スキーム — 受信側での管理加算算定

受信側で算定可能になる条件

  • 対象検査:核医学診断(E102)、コンピューター断層診断(E203)
  • 受信側が画像診断管理加算2, 3, 4の施設基準に適合していること
  • 画像診断を専ら担当する常勤医師が読影・報告を行うこと
  • セキュリティを担保した画像転送ネットワークの構築が必要

2-2. 収益化のシナリオ

Yun

これは放射線科医の専門性を収益に変える画期的な変更だ。読影レポートを作成すること自体が正式な「医療行為」として評価される。常勤専門医がいる病院にとっては、「読影受託」という新しい収益源が生まれたことになる。

アクションプラン:遠隔読影の事業化

  1. 自院の画像診断管理加算の施設基準を確認(加算2〜4のどれに該当するか)
  2. 常勤放射線診断専門医の稼働状況を把握(遠隔読影に割ける時間の見積もり)
  3. 近隣の専門医不在のクリニック・中小病院をリストアップ
  4. セキュアな画像転送システム(VPN、クラウドPACS等)の整備
  5. 読影レポートのターンアラウンドタイム(返送速度)を売りにした営業資料を作成

3. 寡分割照射の診療報酬 ― 放射線治療「高精度・短期間」の評価

3-1. 寡分割照射の評価明確化

Yun

放射線治療の改定で最も注目すべきは「寡分割照射」の評価明確化。1回の線量を高めて総治療回数を減らす手法が、正式に算定要件として明記されたんだ。

がん種照射法寡分割の基準一連の点数
乳癌全乳房照射1回 2.5Gy 以上41,500点
前立腺癌IMRT1回 3Gy 以上96,500点
Lina

治療回数が減れば患者さんの負担も減りますし、治療枠も空きますよね! Win-Win じゃないですか!

3-2. 要注意:治療中断時の大幅な減算リスク

Yun

ただし、最大の落とし穴がある。治療を途中で中止した場合の減算ルールが厳格化されたんだ。これを知らずに寡分割照射を始めると、大きな減収リスクを抱えることになる。

💀 寡分割照射の減収リスク:治療中断時の点数

乳癌(全乳房照射):完遂時 41,500点

  • 7回目までで中止 → 10,500点(完遂時の約25%)
  • 8回目以上で中止 → 14,000点(完遂時の約34%)

前立腺癌(IMRT):完遂時 96,500点

  • 9回目までで中止 → 24,000点(完遂時の約25%)
  • 10回目以上で中止 → 42,000点(完遂時の約44%)

アクションプラン:寡分割照射の安全な導入

  1. 施設基準の届出を速やかに実施(寡分割照射には専用の基準あり)
  2. 治療計画段階で患者の脱落リスクを評価(通院可能性、副作用耐性)
  3. 看護師・技師を含めた副作用マネジメントチームの強化(皮膚炎、直腸・尿路症状)
  4. 治療枠短縮で空いた枠を活用し、新規患者の受け入れ数を増やす集患対策
  5. 医学物理士と連携した高線量投与の品質管理体制の構築

4. BNCT保険収載(187,500点)& 核医学治療の適応拡大

4-1. BNCT — 187,500点の衝撃

Lina

BNCT って聞いたことはありますけど、保険適用になったんですか!? 187,500点って…1回で約190万円ですよね!

Yun

その通り。ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が区分番号 M001-5 として新設された。適応判定加算(40,000点)や医学管理加算(10,000点)も設定されている。現時点では実施できる施設は限られるけど、将来のキャリアを考える上で知っておくべき技術だ。

4-2. 核医学治療の適応拡大

対象疾患点数ポイント
PSMA陽性 前立腺癌(遠隔転移あり)3,000点新設。ルテチウム(Lu-177)治療の保険適用
神経内分泌腫瘍2,660点新設/改定。PRRT(ペプチド受容体標的治療)
神経芽腫3,800点MIBG治療の評価

将来性:核医学治療は成長市場

PSMA治療は患者数が多い前立腺癌を対象としており、泌尿器科との連携で導入を検討すべき領域です。 RI病室の整備や放射性医薬品(ルテチウム等)の取り扱い承認がハードルですが、 核医学治療の適応は今後さらに拡大が見込まれます。「今から準備を始めた施設」が先行者利益を得る分野です。

5. ベースアップ評価料 — 技師の給与に直結する改定

Lina

これが一番気になってました! 技師の給料に関係する改定ってあるんですか!?

Yun

ある。「ベースアップ評価料」が新設・改変されている。これは「医師・歯科医師を除く医療従事者」の賃金改善を目的とした加算で、診療放射線技師も対象に含まれる。外来ベースアップ評価料と入院ベースアップ評価料がそれぞれ設定されているんだ。

ベースアップ評価料のポイント

  • 対象:主として医療に従事する職員(医師・歯科医師を除く) → 技師も対象
  • 外来ベースアップ評価料:初診時 15点〜4点(段階設定)
  • 入院ベースアップ評価料:入院時 160点〜80点(段階設定)
  • 目的:賃金改善(ベースアップ)を行う体制を評価するもの
  • 病院が届け出ることで算定 → 加算の原資を給与改善に充てる仕組み
Yun

技師としては、自院がベースアップ評価料を届け出ているか確認しよう。届け出ていない場合は、事務部門や経営層に声を上げるべきだ。「制度的に技師の給与改善に使える加算がある」ということを知っておくことが大切だよ。

6. 部門リーダーのための経営アクションプラン

6-1. 「攻め」の戦略 — 収益を増やす

収益増のための3本柱

① CT/MRI共同利用の施設基準届出

  • 対象装置を確認し、地方厚生局への届出を速やかに実施
  • 近隣クリニックへの検査依頼受付枠の開放
  • 年間100〜200万円の増収ポテンシャル

② 遠隔読影の事業化

  • 読影受託の提案資料を作成し、専門医不在の施設にアプローチ
  • 画像診断管理加算の算定で直接的な収益に
  • 放射線科医の専門性を「収益源」に転換

③ 寡分割照射の導入

  • 施設基準の取得と安全管理体制の整備
  • 治療枠の回転率UPによる新規患者の受け入れ拡大
  • ただし治療完遂率の管理を徹底(中断 = 大幅減算)

6-2. 「守り」の戦略 — 減収を防ぐ

💀 放置すると減収する3つのリスク

  • 共同利用の未届出:64列以上のCT、1.5T以上のMRIを持っているのに共同利用を行わない場合、相対的に低い点数のまま。同規模他院との点数差が開く
  • 寡分割照射の中断:治療を途中で止めると、完遂時の25〜44%まで点数が減算。副作用管理と患者スクリーニングの不備が直撃する
  • ベースアップ評価料の未届出:算定しなければ技師の給与改善の原資を逃す。人材確保・離職防止にも悪影響

6-3. 経営層へのプレゼンロジック

Yun

経営層にプレゼンするなら、こう伝えるといい。「今回の改定は、単独完結型から地域連携型への転換を求めています。共同利用の施設基準を届け出るだけで年間100万円以上の増収が見込め、遠隔読影の事業化で新たな収益源も確保できます。投資は最小限で、制度に乗るだけです。やらない理由がありません。」

現場で使える Q&A

共同利用施設としての施設基準を満たし届け出ている場合、自院の患者に対しても上位の点数(共同利用施設の点数)が適用される可能性があります。 ただし、告示・通知の詳細な規定を確認する必要があります。 いずれにせよ、施設基準を届け出ることでデメリットはないため、対象装置を持っているならまず届け出るのが正解です。

画像診断管理加算の施設基準に準じます。加算2であれば「画像診断を専ら担当する常勤医師」の配置が必要です。 加算3・4ではさらに厳しい基準(常勤専門医数、読影件数など)が求められます。 自院が現在取得している加算のレベルで遠隔読影にも適用できるため、追加の医師配置は不要な場合が多いです。

詳細は告示で規定されますが、一般的には以下が求められます:

  • 放射線治療を専ら担当する常勤医師の配置
  • 医学物理士や品質管理担当者の配置
  • IGRT(画像誘導放射線治療)の実施体制
  • 副作用管理のための多職種チーム体制

既にIMRTの施設基準を取得している施設であれば、追加要件は限定的と考えられます。

ベースアップ評価料は、病院が加算として算定した原資を「医師以外の医療従事者の賃金改善」に充てることを条件とした仕組みです。 直接「技師の給料が〇円上がる」という制度ではなく、病院の経営判断として配分されます。 技師としてできることは、①自院がベースアップ評価料を届け出ているか確認し、②届け出ていない場合は事務部門に情報提供すること、③賃金改善の対象に含まれているか確認することです。

関係あります。新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」では、電子的な診療情報(検査結果や画像情報含む)の共有に対する評価が段階的に設定されています。 CD/DVDでの画像受け渡しからネットワーク経由の画像共有への移行は、共同利用や遠隔読影の効率化にも直結します。 IT部門と連携してクラウドPACSやVPN環境の整備を検討すべきです。

まとめ — 今日から動くべき3つのアクション

Lina

これだけ変わると、知らないままでは完全に出遅れますね…! 私もまず、うちのCTが共同利用の対象になるか確認してみます!

Yun

その行動力が大事だね。制度を知って動く人知らずに放置する人で、部門の収益に年間数百万円の差がつく。それが診療報酬改定だ。

✅ 今日から動くべき3つのアクション
  1. CT/MRIの共同利用施設基準を確認・届出:自院の装置(64列以上CT / 1.5T以上MRI)が対象かを確認し、地域連携室と連携して施設基準の届出を準備する。これだけで年間100万円以上の増収
  2. 遠隔読影の受託体制を検討:画像診断管理加算の施設基準を活かし、近隣の専門医不在施設への読影受託を提案する。放射線科医の専門性を収益に変えるチャンス
  3. ベースアップ評価料の届出状況を確認:自院が届け出ているか事務部門に確認。未届出なら情報提供して改善を促す。技師の待遇改善に直結する制度

参考文献

[ 1 ]厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(答申)」中央社会保険医療協議会, 2026

[ 2 ]厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示)」令和8年厚生労働省告示, 2026

[ 3 ]日本診療放射線技師会「2026年度診療報酬改定に関する見解と対応指針」JART, 2026

[ 4 ]日本医学放射線学会「画像診断管理加算に係る施設基準の手引き」JRS, 2026

ABOUT ME
ゆん
技師歴15年。副業歴5年。投資歴5年。 資格、転職・副業などのキャリア情報と、患者さん向け情報を発信しています。