「AIが診断するようになれば、放射線技師はいらなくなる」 そんな不安を煽るニュースを目にすることがあります。

確かにAI(人工知能)の進化は凄まじく、画像診断支援AIはすでに臨床現場に入ってきています。 しかし結論から言うと、「診療放射線技師の仕事はなくなりません」。 ただし、「求められるスキル」は劇的に変わります。

これからの時代に生き残る技師と、淘汰される技師の分かれ道について解説します。

1. AIに「奪われる仕事」と「残る仕事」

AIが得意なのは「大量のデータ処理」と「パターン認識」です。

AIに代替される(効率化される)業務

  • 単純な画像チェック: 「ブレがないか」「範囲が正しいか」の確認。
  • スクリーニング(一次読影): 「異常陰影があるか」のピックアップ。
  • 被ばく線量の最適化計算: 体格に合わせた条件設定の自動化。
  • ポジショニングの微調整: 自動位置合わせ機能の向上。

これらの「ルーチンワーク」は、間違いなくAIの方が正確で早くなります。

人間にしかできない(残る)業務

  • 患者対応(コミュニケーション): 不安がる患者さんへの声かけ、痛みを訴える患者さんへの臨機応変な体位の工夫。
  • 安全管理の最終判断: AIが出した条件が本当に適切か、造影剤副作用のリスクはないか、最終的な責任を持って判断すること。
  • チーム医療の調整: 医師や看護師と連携し、検査の優先順位を決めたり、複雑な検査プランを提案したりすること。
  • AIの管理(品質管理): AIが正しく動いているか監視し、メンテナンスすること。

2. 生き残るための3つの戦略

これからの技師に求められるのは、「ボタンを押すだけのオペレーター」ではなく、「AIを使いこなすマネージャー」としての能力です。

戦略①:AIリテラシーを高める

「AIなんて分からない」と毛嫌いするのは致命的です。 「AIはどのような原理で動いているのか」「何が得意で何が苦手なのか」を知っておくことで、AIのエラーに気づき、適切に使いこなすことができます。 「AI認定診療放射線技師」などの資格取得も視野に入れましょう。

戦略②:対人スキル(ホスピタリティ)を磨く

AIには絶対にできないのが、「温かみのある医療」です。 「この技師さんに検査してもらって安心した」と言われるような接遇スキルは、AI時代において最強の武器になります。

戦略③:プラスアルファの専門性を持つ

画像撮影だけでなく、

  • 読影補助: AIの診断結果を検証し、医師に進言できるレベルの読影力。
  • ITスキル: 院内ネットワーク(PACS、RIS)の管理やセキュリティ対策。
  • 経営視点: 検査効率を上げて病院の収益に貢献するマネジメント能力。

まとめ

AIは「敵」ではなく、「最強の相棒」です。 面倒なルーチンワークをAIに任せることで、私たち技師は「人間にしかできない業務(患者ケアや高度な判断)」に集中できるようになります。

「AIに仕事を奪われる」と恐れるのではなく、「AIを使ってさらに質の高い医療を提供する」というマインドセットがあれば、あなたの市場価値は下がるどころか、ますます上がっていくでしょう。

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ゆん
技師歴15年。副業歴5年。投資歴5年。 資格、転職・副業などのキャリア情報と、患者さん向け情報を発信しています。