【速報】告示研修の地方開催が本年度で終了へ。未受講者が直面する現状と対策

告示研修の地方開催が本年度で終了へ。未受講者に残された時間と、来年度からの受講ルート
診療放射線技師の告示研修(実技研修)について、47都道府県を回る地方巡回型の開催が本年度(2026年度)で終了します。未受講のまま来年度を迎えると、静脈路確保や造影剤AI注入といった拡大業務が行えない状態が続き、当直帯では検査が止まり、転職市場では応募要件を満たせません。本記事では、終了の背景と残された期限、放置した場合に現場で起きること、そして来年度以降に残る中央開催・院内研修という二つのルートを整理します。
地方巡回型の実技研修は2026年度で終了。来年度以降は中央開催と院内研修の二択へ
Regional on-site practical training for the statutory expanded-scope program ends in FY2026.
2021年の法改正で始まった業務拡大に伴う告示研修は、e-learning(座学)と実技研修の二段構えです。このうち実技研修を各都道府県に講師を派遣して開催してきたのが「地方巡回型」で、これが本年度で役目を終えます。座学のe-learningは来年度以降も継続しますが、実技の受講機会は地理的に大きく絞られます。
Backgroundなぜ地方巡回型の実技研修が本年度で終了するのか
告示研修AIは、2021年の法改正で診療放射線技師の業務範囲が拡大AIされたことに伴って新設された研修です。JARTはこの数年、現役技師が無理なく受講を終えられるよう、経過措置として全国47都道府県に講師を派遣する巡回型の実技研修を続けてきました。
制度開始から5年が経ち、現役で稼働している技師の大半が受講を終えたと判断されたこと、そして全国巡回に必要な運営コストと講師リソースの確保が限界に達したことから、地方巡回というかたちは本年度(2026年度)で終了することになりました。
e-learning(座学)は来年度以降も継続します。終了するのは「地方を巡回する実技研修の開催形態」です。
Deadline今年度中に滑り込むための実質的なタイムリミット
地方巡回が終了する「本年度」とは、具体的には2027年3月末までを指します。ただしこの日付をそのまま期限と考えるのは危険です。各都道府県での実技研修は年度の後半に開催が集中し、申込の締切は開催日の数ヶ月前に設定されているのが通例だからです。
登録・受講
申込(夏〜秋)
(〜2027年3月)
実技研修の申込には、事前にe-learningの全単元を修了していることが条件として課されます。
この「e-learning修了が実技の申込条件」という順序が、実質的な締切を前倒しします。地元で実技枠の募集が始まった時点で座学が終わっていなければ、申し込むこと自体ができません。カレンダー上の期限は2027年3月でも、動き出すべきタイミングは今この瞬間です。
ラッコ先輩ついにその情報が回ってきたね。これは本当だよ。日本診療放射線技師会(JART)が進めてきた47都道府県での地方巡回型の実技研修は、本年度(2026年度)をもって終了するとアナウンスされたんだ。
受講ルート自体が消えるわけではないから、そこは落ち着いて聞いてほしい。ただ、受講するためのハードルが今までとは比べものにならないくらい高くなる。未受講のまま放置したときに何が起きるかと合わせて、順番に整理していこう。
未受講のまま放置すると直面する3つの業務リスク
「そのうち受ければいい」「今の職場では必須と言われていない」と受講を先送りにしていると、診療放射線技師として働き続けるうえで具体的な壁にぶつかります。順に見ていきます。
1. 静脈路確保と造影剤注入ができず、日常業務が止まる
告示研修(座学および実技)を修了していない技師は、法令上、以下の行為を行うことができません。
- 静脈路の確保AI(穿刺行為そのもの)
- 造影剤注入装置(パワーインジェクターAI)の接続・操作・抜針
- 造影剤等の投与に伴う観察と、副作用発生時の初期対応AI
これらはかつて運用が施設ごとに分かれていた領域ですが、法改正と告示研修の整備によって「研修修了者が担う拡大業務」として位置づけが明確になりました。未受講の技師は、造影CTや造影MRIのたびに看護師や医師の立ち会いを手配する必要があり、検査の回転が確実に落ちます。
2. 夜勤・当直帯で検査が止まり、自分がボトルネックになる
影響が最も鋭く出るのが、一人当直や少人数で回す夜間・救急の時間帯です。大動脈解離AIの疑いや急性脳梗塞AIなど、緊急の造影CTが必要な場面で当直技師が未受講だと、技師一人では造影検査を完結できません。
多忙な救急外来の看護師を呼び出して穿刺とインジェクター操作を依頼するか、医師が手を空けて穿刺しに来るまで検査を開始できない。緊急検査の待ち時間が、研修の受講状況ひとつで変わってしまう構図です。
3. 転職市場で応募要件を満たせなくなる
中途採用・新規採用を行う医療機関の募集要項には、「告示研修修了(または採用までに修了見込み)」が必須要件として記載されることが一般的になりました。
採用する側、すなわち病院経営の視点から見れば、当直帯やルーチン業務で任せられる範囲が狭い技師を迎える理由は乏しくなります。未受講のまま年数を重ねることは、自分のキャリアの選択肢をそのまま狭めることにつながります。
e-learningは来年度以降も受講できます。制約がかかるのは実技研修の開催地と開催回数です。
地方開催の終了後に残る受講ルート
では、今年度の地方巡回終了後に受講する場合、どのような道が残るのでしょうか。
継続するe-learningと、中央会場に絞られる実技研修
JARTによるe-learningシステムは来年度以降も継続します。実技研修そのものも消滅するわけではありません。ただし開催地はJART研修センター(東京)などの特定の中央会場に絞られる見込みです。
地方在住の技師にとっては、往復の交通費と宿泊費、そして休暇の調整が新たに発生します。費用負担の考え方は病院の予算編成にも左右されます。県内で受けられていたものが遠征になるという、費用と時間の両面での負担増です。
もう一つの選択肢としての院内研修
自施設の中で実技研修を実施する「院内研修」も選択肢として残ります。ただしこれを成立させるには、まず施設内で指導役となるベテラン技師または医師がJARTの指導者養成研修AIを受講し、指導者としての要件を満たす必要があります。
| 受講ルート | メリット | デメリット・課題 |
|---|---|---|
| 地方巡回 (本年度末で終了) | 地元の県内で実技を受けられる。移動の負担と費用が最小限で済む。 | 本年度の開催枠を逃すと、この形態はもう利用できない。 |
| 中央開催 (来年度〜) | 個人で申し込んで完結する。施設側の準備や調整が不要。 | 東京等の特定会場まで出向く必要があり、交通費・宿泊費が自己負担になりうる。 |
| 院内研修 (来年度〜) | 自施設の中で、日常業務の合間に実技トレーニングを組める。 | 指導者を養成し、プログラムと機材を整える院内調整の手間が大きい。 |
小規模なクリニックや、指導者を立てる人員的余裕のない中小病院では、院内研修の立ち上げ自体が現実的でない場合があります。その場合は中央開催に頼ることになります。
地方開催終了後の受講ルート
未受講者が今すぐ取るべき3つの行動
地方巡回のラストチャンスに間に合わせるために、未受講の場合は次の順番で動いてください。
- JARTの会員専用ポータルにログインし、地元の実技研修スケジュールを確認する。開催日と申込締切を先に押さえないと、逆算ができません。
- e-learningの受講を開始し、最短で修了させる。実技の申込条件なので、ここが遅れると申込資格そのものが間に合いません。
- 上長に今年度の地方枠で受講したい旨を相談し、公休や出張としての扱いを確認する。来年度の遠征になるより施設側の負担も小さい、という説明が交渉材料になります。
- 「うちは看護師が刺してくれるから大丈夫」
タスク・シフト/シェアAIの流れの中で、看護師の業務分担は見直しが進んでいます。方針が変わって「今日から技師が穿刺してください」となったとき、未受講であればその業務から外れることになります。 - 「e-learningが終わってから実技を申し込めばいい」
実技の枠は定員制で、締切も開催の数ヶ月前です。座学がぎりぎりで終わった頃には、地元の実技枠の募集が終わっているという順序の問題が起きます。 - 「中央開催になっても病院が出張費を出してくれるはず」
今年度中に地元で受けられたはずの研修に対して、来年度の遠征費を確実に出してもらえるとは限りません。自己負担になる可能性を前提に、今年度の枠を優先するのが安全です。
LINAよくわかりました……!「あとでやろう」が一番危ないんですね。今夜帰ったら、まずJARTのマイページを開いて、e-learningの受講状況を確認します。地元の実技枠のスケジュールも一緒に見て、申込の締切から逆算して動きます!
ラッコ先輩その順番で正解だよ。告示研修は「やらされるもの」ではなく、チーム医療の中で自分が担える範囲を広げ、根拠をもって業務にあたるための土台なんだ。スキルハブの記事も、次の一歩を選ぶときに使ってほしい。この機会に一気に終わらせてしまおう。
Q. 告示研修の実技研修について、地方巡回開催が終了する2026年度以降、地方在住の未受講者が実技研修を受けるための現実的な手段はどれか。
参考文献・出典
- 公益社団法人 日本診療放射線技師会「診療放射線技師法に基づく告示研修」. https://www.jart.or.jp/activity/kokushi_kenshu.html
- 厚生労働省「『現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について』等に関するQ&Aについて〔診療放射線技師法〕」(令和6年6月14日 事務連絡). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8578
- 厚生労働省「診療放射線技師法(昭和26年法律第226号)」(業務範囲および第26条関係). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80012000
開催スケジュール・申込締切・会場は変更される場合があります。受講にあたっては必ずJART会員ポータルの最新情報をご確認ください。あわせて制度・法改正のニュースも参照してください。


