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2026年度の診療報酬改定は、放射線部門にとって単なる「点数の増減」にとどまらないパラダイムシフトです。 「装置を持っているだけ」では減収する時代に突入し、地域連携・共同利用・遠隔読影という「繋がる力」が収益を左右します。

Lina

ゆんさん、診療報酬改定って正直よく分からないんですけど、私たち技師の仕事や給料に影響あるんですか?

Yun

めちゃくちゃ影響あるよ。今回の改定は「装置を持っているだけでは減収」になりかねない。逆に、地域連携の仕組みを作れば年間数百万円の増収も可能。しかもベースアップ評価料で技師の給与にも直結する。さらにIMRT施設基準の緩和救急外来での技師の常時配置要件まで ―― 知らないでは済まされない改定なんだ。

Lina

そもそも国は、医療の仕組みをどういう方向に変えたいんですか? 全体像がわかると、個別の変更も理解しやすい気がして…。

Yun

いい視点だね。中医協(中央社会保険医療協議会)が今回の改定で掲げた基本方針は、大きく3つの柱に集約される。

① 医療DXの推進 ―― 電子カルテ情報の共有、遠隔医療、AI活用。「紙とCD-ROMの時代」を終わらせて、データが施設間を行き交うインフラを作る。

② 地域医療構想と機能分化・連携 ―― 2025年以降の超高齢社会で、すべての病院がフルスペック装備する時代は終わり。「持つ病院」と「使う病院」に分かれ、地域全体で医療資源をシェアするのが国の描く未来図だ。

③ 医療従事者の処遇改善と働き方改革 ―― 2024年4月から始まった医師の時間外労働規制に続き、コメディカルの賃金を「制度として底上げする」仕組みを作った。人材が集まらなければ、どんな制度設計も絵に描いた餅だからね。

今回の改定項目を1つ1つ見ていくと、すべてがこの3本柱のどれかに紐づいている。点数の数字だけを追うんじゃなくて、「国がどこに向かっているか」を読み取れる技師は、部門の中で替えの利かない存在になれるよ。

2040年を見据えた「医療提供体制の構造改革」

今回の改定は単なる点数調整ではなく、日本の医療提供体制の骨格を組み替える歴史的転換点です。背景にある国の意図を理解しておきましょう。

  • 「コストカット型」から「賃上げ・物価対応型」へ ―― デフレ経済下のコスト抑制策から決別。物価高騰と人材確保難に対し、診療報酬本体で構造的に対応する方針へ転換。
  • 2040年問題への「ラストスパート」 ―― 高齢者人口ピーク+現役世代激減に向け、医療資源(ヒト・モノ・カネ)の散逸を防ぎ、集約化と重点化を強制。
  • 「なんとなく急性期」を許さない ―― 実績に基づく厳格な選別。手術数・救急搬送数などのハードルで、機能に見合った評価へ。

この改定が突きつけるメッセージ:
賃上げができなければ淘汰 ― ベースアップ評価料は「職員給与を上げること」が絶対条件。減算ペナルティも用意。
「連携」と「DX」が生存の鍵 ― 単独完結は不可能。ICT連携、電子処方箋、他院への医師派遣など、ネットワークの一部として機能することが最も高く評価される構造に。
地域の中での立ち位置を明確に ― 救急の受け皿、在宅の後方支援など、自院の機能を再定義し、地域ニーズと合致するポイントへ経営資源を集中。

TL;DR(結論を先に)

2026年度改定の放射線部門インパクト: 【攻め】 ①遠隔読影の受信側で画像診断管理加算2〜4(175〜340点)が算定可能に ― 送受信双方がWin-Winで収益化、②128列CT新区分+100点・3T MRI+100点の新設(既存の共同利用+20点と合わせると最大+120点/件)。 【守り&攻め】 ④IMRT施設基準が常勤医1名+遠隔支援で算定可能に、⑤乳癌・前立腺の寡分割照射が包括評価に移行(出来高→一連点数化、IGRTも一連化)。 【人材】 ⑥ベースアップ評価料で技師の給与改善、⑦救急外来の技師常時配置が要件化。 さらに粒子線治療の小児加算7,000点新設+大腸がん肺転移の保険適応追加核医学治療の適応拡大(PSMA PET保険収載)も。 【画像診断】 CT 128列以上の区分新設(+100点)、3T MRI+100点増点、FFR-CT7,800点に変更(9,400→7,800点に減額)、骨密度検査は原則年1回に制限【IVR】 腎デナベーション31,840点・TCAR 34,740点・クライオアブレーション最大66,200点が新設。

図1:2026年度改定の全体俯瞰 — 収益最大化と待遇改善の構造

1.【攻め】遠隔画像診断の管理加算 ― 受信側の収益化が解禁

1-1. 従来の課題と改定のインパクト

Lina

うちの病院、近隣のクリニックからCTの画像を送ってもらって放射線科の先生が読影してますけど、あれってちゃんと「お金」になってるんですか?

Yun

いい質問だね。これまで遠隔読影の「受信側(読影する病院)」は、正規の診療報酬として評価されにくかった。ボランティア的、あるいは安い契約料で対応している施設が多かったんだ。でも今回の改定で、受信側でも画像診断管理加算(2, 3, 4)が正式に算定可能になった。これは画期的な変更だよ。

図2:遠隔画像診断の新スキーム — 受信側での管理加算算定

受信側で算定可能になる管理加算と条件(通則第8号 新設)

加算区分点数(月1回)主な施設基準(受信側・病院要件)
画像診断管理加算2175点病院標榜・放射線科等専任常勤医師配置(10年以上経験or所定研修修了)・核医学/CT診断の8割以上を翌診療日までに文書報告
画像診断管理加算3235点加算2の要件+常勤放射線診断専門医2名以上・年間4,000件以上の読影
画像診断管理加算4340点加算3の要件+常勤放射線診断専門医4名以上・年間8,000件以上の読影
加算2(一部委託)166点 ★2026新設送信側が病院で加算2取得済み・受信側が加算2取得病院に読影を委託する場合
  • 対象検査:核医学診断(E102)、コンピューター断層診断(E203)
  • 受信側が画像診断管理加算2, 3, 4の施設基準に適合し、届け出ていること
  • 「画像診断を専ら担当する常勤の医師」が読影(診断)を行い、結果を送信側に文書で報告すること
  • セキュリティを担保した画像転送ネットワークの構築が必要

1-2. 具体的な算定シミュレーション

Lina

点数の表はわかったんですけど、具体的に送信側と受信側でそれぞれ何を算定できるのか、実例で見たいです!

Yun

じゃあ具体的なケースで見てみよう。クリニックA(送信側・64列CT保有)が胸部CTを撮影し、画像診断管理加算3を取得している病院B(受信側)の常勤放射線科医が読影レポートを作成した場合のシミュレーションだ。

算定シミュレーション:クリニックA(送信側)→ 病院B(受信側)

算定項目算定する医療機関点数
CT撮影料(64列以上)クリニックA(送信側)900点 ※64列以上・クリニック
電子画像管理加算クリニックA(送信側)120点
CT診断料(E203)クリニックA(送信側)450点
画像診断管理加算3病院B(受信側)235点 ★NEW

★ 今回の改定で、受信側(病院B)が自施設の施設基準に基づき算定可能に。クリニックのCT撮影料は64列以上装置を持っていても900点が標準(画像診断管理加算2以上の届出には「病院」標榜が必須のため、クリニック単独では高点数区分に届かない)。なお、画像診断管理加算2(175点)は病院のみ届出可能であり、クリニックAは算定しない。

常勤要件の厳格化に注意

  • 受信側で管理加算を算定するには、「画像診断を専ら担当する常勤の医師」による読影が必須。非常勤医師やアルバイト医師による読影では上位の管理加算は算定不可
  • 常勤医師の勤務実態が問われるため、勤務シフトと読影レポートの整合性を管理する体制が不可欠
  • クリニック(送信側)の撮影料は装置列数・加算体制で上限が変わる。64列以上CT保有でも加算2以上(病院要件)がなければ900点が上限となるのは制度上必然的な結果。高点数を狙うには連携病院との遠隔読影スキームが現実的な選択肢

1-3. 過去との比較 ― 何が変わったのか

Lina

以前は受信側(病院B)は点数を算定できなかったってことですか?送信側からの読影料金を受け取ってただけ?

Yun

その認識はほぼ正しいよ。正確に言うと、以前も限定的な条件下では低い点数を算定できたんだけど、「送信側も画像診断管理加算2を取得していること」という厳しい条件があったから、基本的には読影委託料(契約金)でのやり取りが主流だった。今回の改定で「受信側の能力だけで高い点数を算定できる」ように変わったんだ。

遠隔画像診断 ― 過去と現在の比較

項目過去(〜2025年度まで)今回(2026年度改定)
送信側
(撮影した病院)
撮影料+診断料を算定。読影を依頼する場合、受信側へ「委託料」を支払う撮影料+診断料を算定。「共同利用施設」の届出で撮影料も高く算定可能
受信側
(読影した病院)
原則、点数算定なし(委託料のみ)。送信側も管理加算2を取得している場合のみ、低い点数が認められる程度管理加算2〜4を算定可能(175〜340点)。自院が施設基準を満たしていれば、送信側の体制に関わらず算定できる
お金の流れ患者 → 送信側(全額)
送信側 → 受信側(読影契約料)
患者 → 送信側(撮影料など)
管理加算は受信側で算定(レセプト請求は送信側が代理請求し配分する運用等が想定される)

送信側・受信側ともに遠隔画像診断に関する施設基準(セキュリティ対策など)への適合が必要です。

Lina

つまり「送受信の双方が診療報酬を算定できるWin-Winの構造」になったってことですね! 受信側は「下請け的な委託料」じゃなく、自院の専門医の技術料として公定価格に基づいた収益を確保できる……これは大きい変化だ!

ただし、クリニックが送信側の場合は少し注意が必要だよ。クリニック自身のCT撮影料は加算2なしで900点に止まるから、受信側病院が管理加算175点〜を算定する形になる。患者負担という観点では「受信側病院への収益シフト」が起こる。クリニックが遠隔読影連携に参加するなら、委託コストの還元をどう契約に盛り込むかが現実的な課題になるね。

1-4. 収益化のシナリオ

Yun

これは放射線科医の専門性を収益に変える画期的な変更だ。地域連携室と協働して、近隣のクリニックや中小病院に「当院へ画像を送ってもらえれば、専門医が読影し、貴院の点数算定にも寄与できる(かつ当院も収益化できる)」というモデルを提案すべきだ。

アクションプラン:遠隔読影の事業化

  1. 自院の画像診断管理加算の施設基準を確認(加算2〜4のどれに該当するか)
  2. 常勤放射線診断専門医の稼働状況を把握 — 院内読影と院外からの遠隔読影のワークフローを再構築
  3. 近隣の専門医不在のクリニック・中小病院をリストアップ
  4. セキュアな画像転送システム(VPN、クラウドPACS等)の整備
  5. 読影レポートのターンアラウンドタイム(返送速度)を売りにした営業資料を作成
  6. 収益性の高い「外部読影受託」を事業として確立する

国の狙い:「医療DX」が遠隔読影を後押しする理由

遠隔読影の評価拡充は、中医協が掲げる「医療DX推進」の中核施策です。政府は2030年までに全国の医療機関を電子カルテ情報の共有ネットワークで接続する「全国医療情報プラットフォーム」構想を掲げており、画像データもその対象です。今回の改定で遠隔読影に正当な対価がつくようになったのは、データが施設間を流通する「基盤」を経済的に成り立たせるための布石。つまり、遠隔読影の事業化は「国策に乗る」ことと同義です。

ただし、受信側で上位加算(加算2〜4)を算定するには常勤放射線科医の専任配置が必須であり、遠隔読影件数が増えれば読影業務も比例して増加します。制度を「事業化」する際は、読影医師の労働時間管理・待遇改善を並行して整備することが持続可能な運営の前提です。人材確保なき事業拡大は、現場の疲弊につながる点を忘れてはなりません。

1-5. クリニック・画像診断専門クリニック(画像センター)の実務ポイント

Lina

クリニックや画像センターでも画像診断管理加算って取れるんですか? 病院じゃないと無理なイメージがあって……。

Yun

いい質問だ。結論から言うと、加算1(70点)はクリニックでも届出可能。加算2(175点)以上は「病院」標榜が必要なのでクリニックでは基本算定不可。ただし、遠隔読影の仕組みを使えば間接的に恩恵を受ける道がある。この違いを正確に理解しておくことが、クリニック経営の収益戦略のスタートラインだよ。

画像診断管理加算のクリニック可否マップ(令和8年度改定後)

加算区分点数クリニック可否主な要件
加算170点✅ 届出可放射線科標榜+専ら画像診断担当の常勤医師1名以上(経験10年以上or所定研修修了)
加算2175点❌ 病院のみ病院標榜が必須要件
加算3・4235/340点❌ 病院のみ病院標榜+高度専門体制
遠隔読影(受信側)加算2175点⚠️ 受信側は病院受信側(読影する病院)が加算2取得 → 送信側クリニックの患者に適用
CT撮影料(64列以上)900点⚠️ 高点数は病院のみ加算2以上(病院要件)がなければ900点が上限となるのは制度上必然的な結果。1,000点〜は病院算定

※ 加算1の「所定の研修」とは、関係学会が実施する規定研修を指します。CT撮影料の区分・施設基準の詳細は地方厚生局にご確認ください。

クリニックで加算1を取った場合の収益シミュレーション

例:CT月300件(64列以上保有・放射線科標榜クリニック)

算定項目月間増収備考
画像診断管理加算1(70点×月1回/患者)+21,000点
約21万円/月
300件 × 70点
年間換算約252万円/年加算1届出だけで実現できる増収

⚠️ なお、64列以上CT保有でもクリニック単独では撮影料の上限が900点となるのが標準(加算2以上が病院要件のため)。高点数(1,000点以上)の算定を狙う場合は、加算2取得病院との遠隔読影連携スキームの構築が必要です。

クリニックが狙うべき現実的な戦略:「加算1取得+遠隔読影連携」

  1. 放射線科を標榜し、経験10年以上の放射線科医(または所定研修修了医)を常勤配置 → 加算1(70点)の届出(様式16の3)で年間約252万円の増収
  2. CT撮影料の現実を正確に把握:64列以上CT保有でも加算2以上がなければ撮影料は900点が上限となるのは制度上必然的な結果。「装置があれば高点数」と誤解しないこと
  3. 遠隔読影連携(令和8年度改定の新スキーム):加算2・3取得の病院を受信側に設定することで、クリニック患者の画像に高水準の読影を提供。送受信Win-Winの地域連携モデル
  4. 厚生局への事前相談を必ず実施(相談は無料)。特に施設基準の解釈・届出方法の確認が重要
Lina

じゃあ「クリニックで加算2は無理」って諦めていた先生も、加算1からスタートして、遠隔連携で上位加算の恩恵を受ける……という戦略があるってことですね?

Yun

そう、それが現実的な正解だよ。「加算1(70点)で十分スタート可能」。そこから地域の読影ネットワークに入ることで、患者さんへの専門的な読影サービスを担保しつつ、収益も積み上げる。開業医の先生は「加算2は病院じゃないと無理」と思って諦めがちだけど、加算1だけでも年間200万円以上の収益改善は十分狙える。厚生局への相談コストはゼロに等しい。まず動くことだね。

2.【画像診断】128列CT新区分+100点 ― 共同利用との合わせ技で最大+120点へ

2-1. 2026年の本命:128列CT新区分(+100点)の新設

Yun

2026年改定でCT撮影料(E200)の最大の変更点は「128列以上」という新区分の新設だ。旧制度では「64列以上」が最上位区分(1,000点)で頭打ちだったものが、128列CT保有施設は一気に+100点の1,100点になった。MRIも同様で3テスラ以上が1,600点→1,700点に+100点増点

一方、共同利用施設への+20点加算は2016年度改定から続く既存の仕組みだ。今回の改定で「新設」されたわけじゃない。ただし、この既存の+20点が新設の128列CT区分にも適用されるため、128列CT+共同利用施設の場合は「基本+100点」と「共同利用+20点」が重なって最大+120点/件という新水準に到達できる。

装置区分共同利用施設その他点数差
CT 128列以上1,120点1,100点+20点
CT 64列以上128列未満1,020点1,000点+20点
CT 16列以上64列未満900点(差なし)
MRI 3T以上1,720点1,700点+20点
MRI 1.5T以上3T未満1,330点(共同利用区分なし)

整理:2026年の「新設」と「既存」の切り分け

  • 新設 CT 128列以上区分(1,100点)・MRI 3T以上増点(1,700点):旧制度の最上位区分から+100点アップ
  • 既存 共同利用施設への+20点加算:2016年改定からの仕組み。今回は据え置き
  • 128列CT+共同利用の組み合わせで1件あたり+120点(1,200円) ― ただしこれは新設区分の恩恵に既存加算が乗っかった合わせ技
  • ※64列以上128列未満の区分は据え置き(共同利用1,020点/その他1,000点)
Lina

128列CTって高額ですけど、持っている施設には一気に+100点ですよね。しかも共同利用の届出もしていれば+20点が上乗せされて+120点……共同利用って既存の仕組みなのに、やってない施設は完全に損しているってことですか?

Yun

まず128列CT保有施設は、届出なしでも基本点数が64列比+100点アップしている。これは自動的な恩恵だ。その上で共同利用の施設基準を届け出ればさらに+20点。年間CT 5,000件なら共同利用の+20点だけで100万円の増収。MRIも合わせれば年間200万円以上になりうる。しかもこれは「届け出るかどうか」だけで決まる。装置を買い替える必要も、人を増やす必要もない。近隣からの紹介を受け入れる体制を作るだけだ。

図3:128列CT新区分+共同利用の収益インパクトフロー

⚠️ 盲点:共同利用率「10%」の壁

単に施設基準を届け出るだけでは足りません。「他の医療機関からの依頼件数」が、その装置の全使用症例数の1割(10%)以上でなければ、共同利用施設としての点数(+20点)は算定できません。

  • 計算式:(依頼件数 – 特別関係機関件数) / (全件数 – 特別関係機関件数) × 100 ≥ 10%
  • リスク:128列CTの基本点数+100点分も含め、10%基準を割ると上位区分から脱落し、大幅な減収になります。

アクションプラン:共同利用の基準クリア戦略

  1. 共同利用率の現状把握:施設全体の装置稼働数に対し、外部依頼が何%あるか算出。
  2. ターゲットの絞り込み:地域の小規模診療所10件と提携するより、近隣の中規模病院1〜2件とガッツリ契約する方が、件数確保の効率が良いです。
  3. 契約と届出:共同利用契約書を交わし、様式37で厚生局に届出(事前届出が必須)。
  4. 専従技師の配置:64列以上CT・1.5T以上MRIでは、従前通り専従の診療放射線技師1名以上が必要です。
Yun

ここで大事なのは、共同利用は単なる「+20点」の話じゃないということ。国が進める「地域医療構想」では、2040年に向けて人口減少が進む中、すべての病院がCT・MRIをフル装備する時代は持続不可能と明言している。高額装置は「地域でシェアする」のが前提の社会設計なんだ。つまり共同利用に対応しない施設は、将来の点数引き下げや基準厳格化の対象になるリスクがある。「攻め」の施策であると同時に、「守り」でもあるんだよ。

3.【新規】IMRT施設基準の緩和 ― 常勤医1名+遠隔支援で算定可能に

3-1. 何が変わったのか

Lina

IMRTって施設基準が厳しくて、常勤医2名いないと算定できなかったんですよね? 地方の病院では無理だって聞いたことあります…。

Yun

その通り。でも今回の改定で大きく変わった。人口減少地域のがん治療アクセスを改善するため、ICTを活用した遠隔支援体制があれば、常勤医1名でもIMRTの施設基準を満たす特例が新設されたんだ。

図4:IMRT遠隔支援体制 — 常勤医1名での算定スキーム

3-2. 対象となる医療機関の条件

IMRT常勤医1名特例の全要件

対象施設:

  • 地域がん診療連携拠点病院、または
  • 地域がん診療病院(体外照射を年間200症例以上実施)
  • かつ、当該がん医療圏内に他にIMRTの届出施設が存在しないこと

配置する1名の医師要件:

  • 放射線治療を専ら担当する常勤医師
  • 放射線治療の経験を5年以上有すること

実施施設(自院)の設備要件:

  • 直線加速器、治療計画用CT、三次元放射線治療計画システム
  • セキュリティ対策を講じた遠隔放射線治療システム
  • 第三者機関による直線加速器の出力線量の評価を受けていること
  • 支援施設の担当医師と常時連絡がとれる体制
  • 遠隔放射線治療および医療情報のセキュリティ対策に関する指針を策定

支援施設(相手方)の要件:

  • 特定機能病院、都道府県がん診療連携拠点病院、または地域がん診療連携拠点病院
  • 放射線治療を専ら担当する常勤医師が3名以上(うち2名は経験5年以上)
  • 支援担当医は経験5年以上の常勤医(1名で2施設まで支援可能)
  • 遠隔放射線治療システムを備え、実施記録を保存
Yun

要するに、経験豊富な常勤医が1名在籍し、大学病院など常勤医3名以上の充実した施設からICT遠隔支援を受ける体制を結べば、IMRTの算定が可能になる。地方の中核病院にとっては大きなチャンスだね。

なお、緊急時の治療計画を別の保険医療機関と共同して策定した場合の評価として、遠隔放射線治療計画加算(2,000点)も継続して設定されています。

国の狙い:「がん医療の均てん化」が施設基準緩和の背景

IMRT施設基準の緩和は、第4期がん対策推進基本計画が掲げる「がん医療の均てん化(地域格差の是正)」の具体策です。都市部ではIMRT施設が充実している一方、地方では放射線治療専門医の不足により高精度治療を受けられない患者が存在します。国は「住んでいる地域によって受けられる治療に差が出る」ことを是正するために、ICTを活用した遠隔支援モデルを制度として整備しました。今後、VMATや粒子線治療など他の高度治療にも同様の遠隔支援モデルが拡大する可能性があります。

3-3. 収益インパクト ― IMRT vs 3D-CRT 点数差16万円+スロット機会損失のダブルダメージ

Lina

常勤医1名でもIMRTが算定できるようになったのはわかりました。でも、IMRT自体の点数は医師が1名でも2名でも同じですよね? 何が変わるんですか?

Yun

そう、大事な視点だね。今回の緩和で変わるのは「IMRTを算定できるか・できないか」という参入障壁の部分だ。IMRTが算定できない施設は3D-CRT(従来照射で寡分割は不可)しか選べない。そこに2つのダメージが発生する。①1人あたり約16万円の直接収益差、②そして3D-CRTは寡分割照射ができないため1患者あたり37回照射が必要で、IMRTの約20回と比べて17スロット余分に消費してしまうスロット機会損失(スロット単価53,300円×17回=約91万円)だ。

ケースA:IMRT算定可能(医師1名+遠隔支援 or 2名体制)

前立腺癌 ― 包括評価(一連につき)/寡分割照射 約20回

算定項目点数金額根拠
IMRT(前立腺癌・一連につき)96,500点965,000円M001 3 イ
画像誘導放射線治療加算(一連につき)9,000点90,000円M001 注10(一連)
医療機器安全管理料21,100点11,000円1,100点(治療開始時1回)
合計106,600点1,066,000円

⚠️ 包括評価の核心:照射回数を増やしても収益は増えない
IMRT前立腺癌の点数は「一連につき」の固定額(106,600点)。20回照射しても37回照射しても医療機関の収益は同じ。回数を増やすほどリニアック(照射枠)スロットだけが消費する。だから3D-CRTで37回照射を余儀なくされることの真のコストは「点数差」ではなく「スロット(照射枠)単価 × 超過回数」で測る必要がある。

ケースB:従来通り3D-CRTの場合― IMRT・寡分割照射ができず37回照射(医師1名 or 遠隔支援確保できず)

前立腺癌 ― 出来高評価(3D-CRT・寡分割照射不可のため全37回照射・6門照射の場合)

算定項目点数金額根拠
体外照射(2門以上)64,750点647,500円1,750点×37回
画像誘導放射線治療加算(ハ)16,650点166,500円450点×37回
放射線治療管理料4,000点40,000円4,000点×1回
放射線治療専任加算330点3,300円330点×1回
外来放射線治療加算4,070点40,700円110点×37回
医療機器安全管理料21,100点11,000円1,100点(治療開始時1回)
合計90,900点909,000円
Lina

ケースAが1,066,000円でケースBが909,000円……差額って157,000円(約16万円)ですよね。これが損害分じゃないんですか?

Yun

それは「直接収益差」だけを見た数字だよ。包括評価の施設には、もう一つ大事な損失がある。3D-CRTは37回かかるのにIMRTは20回で終わる。その差17回分のリニアックスロットは、別の患者さんの治療に使えたはずなんだ。

Lina

スロット1回あたりの価値……それって計算できるんですか?

Yun

IMRT収益(106,600点)÷ 20回 = 5,330点/回。これがスロット単価。あとは式に当てはめるだけだよ。

📐 損害試算の式(フル稼働施設の場合)

損害 = 超過照射回数 × スロット単価 + 直接収益差
   = (37 − 20) × 5,330点 + (106,600 − 90,900)点
   = 17 × 5,330 + 15,700
   = 90,610 + 15,700
   = 106,310点 ≒ 1,063,100円(約106万円 / 患者)

※スロット機会損失はリニアック稼働率が高い施設ほど大きくなる。稼働率が低い施設では直接収益差(約16万円)が主体。

Yun

患者1人あたり最大約106万円の機会損失。年間200症例なら約2億1260万円。この2つの損失を数字で語れば、経営会議は動くよ。

REVENUE IMPACT ― ダブルダメージ分析

① 点数差(直接損失)

IMRT(包括):1,066,000円 − 3D-CRT(出来高):909,000円 = 157,000円(約16万円/患者

② スロット機会損失(間接損失)― 包括評価だからこそ生まれる視点

3D-CRT(37回)− IMRT(20回)= 17スロット/患者 の超過消費

スロット単価(IMRT):1,066,000円 ÷ 20回 = 53,300円/スロット

17スロット × 53,300円 = 約91万円/患者(リニアックがフル稼働の施設)

③ 合計(フル稼働施設)

157,000円 + 906,100円 = 1,063,100円(約106万円)/患者 の機会損失

例)年間収益インパクト試算(新患500人・うち前立腺40%=200人/年):

1患者あたり年間200人
ケースA(IMRT算定可)収益1,066,000円2億1,320万円
ケースB(IMRT算定不可)収益909,000円1億8,180万円
① 直接収益差157,000円3,140万円
② スロット機会損失(フル稼働)906,100円1億8,122万円
合計損害(フル稼働施設)1,063,100円2億1,262万円

合計損害(2億1,262万円)≒ ケースA年間収益(2億1,320万円)の99.7%。IMRT体制整備は約2億円/年の収益確保と等価。スロット機会損失はリニアック稼働率が低い施設では直接差額(3,140万円)が主体。

Lina

包括評価だから回数を増やしても収益は増えない、むしろスロットを17回余分に消費して約91万円の機会損失が発生するんですね! フル稼働の施設なら直接収益差16万円と合わせて患者1人あたり約106万円……スロット単価の視点がこれだけ重要とは!

Yun

そう。経営層へのプレゼンではこう伝えるといい。「IMRT(前立腺癌)は包括評価(106,600点・一連)なので、医師が1名でも2名でも収益は同額です。問題は今の施設がIMRTを算定できないことにあります。3D-CRTは寡分割照射ができず37回の照射が必要で、IMRTの20回と比べてリニアックスロットを17回余分に消費します。スロット単価(53,300円/回)で換算すると906,100円の機会損失、さらに直接収益差157,000円を加えると、フル稼働施設では患者1人あたり約106万円の損失です。新患500人・前立腺40%という当院規模では年間200人が対象となり、合計損害は約2億1,262万円——IMRT算定時の年間収益(約2億1,320万円)とほぼ同額です。遠隔支援体制を整えてIMRT施設基準を届け出ることが最優先の経営課題です。」――この数字を出せば、経営会議は動くよ。

⚠️ 試算を読む際の注意点

上記は収益面のみに絞った試算です。実際にIMRT体制を整備するには、導入コスト(治療計画システム・遠隔支援システム等)、施設基準を満たすための人員確保・人件費増、スタッフ教育期間、施設基準届出から算定開始までの準備期間(一般に数か月〜1年超)が伴います。収益回収までのリードタイムと初期投資を合わせたROI(投資対効果)の試算は別途行う必要があります。

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IMRT体制整備のROI完全試算|初期投資・回収期間・収益分岐点をシミュレーション

治療計画システム・遠隔支援コスト・人件費増を加味した実践的な投資対効果シミュレーションを提供予定。

アクションプラン:IMRT収益化の3ステップ

  1. 自院のIMRT適応患者数とリニアック稼働率を把握 ― 過去1年の前立腺癌・頭頸部癌等の治療実績を医事課に確認。稼働率が高い施設ほどスロット機会損失も大きくなるため、両軸で損失額を試算すること
  2. 支援施設との連携協定を締結 ― 近隣の大学病院・都道府県がん診療連携拠点病院に遠隔支援の打診。支援医1名で2施設まで対応可能
  3. 施設基準届出の準備 ― 遠隔放射線治療システムの整備、セキュリティ指針の策定、第三者機関による出力線量評価の受検を事務部門と並行で進める

4. 寡分割照射の診療報酬 ― 放射線治療「高精度・短期間」の評価

4-1. 寡分割照射の評価明確化

Yun

放射線治療でもう一つ注目すべきは「寡分割照射」の評価明確化。1回の線量を高めて総治療回数を減らす手法が、正式に算定要件として明記されたんだ。しかも今回は単なる点数変更じゃない。算定構造そのものが大きく変わった

Lina

算定構造が変わった……? 点数だけじゃなくて、算定の仕組み自体が変わったってことですか?

Yun

そう。従来は「1回ごとの照射料 × 回数」の出来高方式で算定していた。前立腺IMRTなら3,000点×回数、乳癌なら840点×回数のように積み上げていたわけだ。今回の改定で、乳癌の全乳房照射と前立腺のIMRTは「一連につき」の包括点数に変更された。さらにこの変更に伴い、2つの加算が廃止されている。

包括化に伴い廃止・変更された加算

  • 一回線量増加加算:乳癌 690点、前立腺 1,400点 → 廃止(寡分割の線量設計が包括点数に織り込み済み)
  • 日々のIGRT加算(150〜450点/回) → 乳癌全乳房照射・前立腺IMRTでは日々の算定は不可。代わりに一連定額のIGRT加算(下記テーブル参照)を算定。その他の照射(3D-CRT等)は従来通り150/300/450点/回
  • 呼吸性移動対策加算(注11・150点/回)乳癌全乳房照射(M001 2 イ)に係るものは一連2,400点(包括)に変更。前立腺IMRT・その他の治療は従来通り150点/回

※ 従来の出来高方式で算定している施設は、レセプトシステムの設定変更が必要です。移行期に旧コードで請求すると返戻リスクがあります。

がん種照射法寡分割の基準一連の点数IGRT加算(一連)
乳癌全乳房照射1回 2.5Gy 以上41,500点2,400点
前立腺癌IMRT1回 3Gy 以上96,500点9,000点

📋 M001 2 ロ「その他の場合」(3D-CRT等)― 門数区分の簡素化と点数変更

乳癌以外の体外照射(3D-CRT等)は引き続き出来高。2026年度改定で区分が3段階→2段階に簡素化された。

区分改定前改定後(2026)
1門照射(1回目)840点840点(据え置き)
1門照射(2回目)420点336点(▲84点 減額)
2門以上・運動・原体照射(1回目)
旧:非対向2門/3門1,320点・4門以上/運動/原体1,800点を統合
1,320〜1,800点1,750点(統合)
2門以上・運動・原体照射(2回目)
旧:660〜900点を統合
660〜900点700点(統合)

※「1回目」「2回目」は同日に異なる部位・領域を照射する場合の区別(別日の分割照射は毎回1回目で算定)

Lina

なるほど! 日々の150点や450点がなくなったわけじゃなくて、「標準的な回数分」があらかじめセット(包括)された形なんですね。これなら回数を減らして(寡分割)も、病院の収入は減らない……むしろ「早く終わらせた方が時間単価が高い」構造になったんですね!

Yun

その通り。「高回転・高単価」への誘導だ。だらだら長く照射するよりも、高精度に短期間で終わらせる施設が優遇される。これが2026年以降の放射線治療経営の「本丸」だよ。

Lina

出来高から包括へ――治療回数が減れば患者さんの負担も減りますし、治療枠も空きますよね! ただ、レセプトの設定変更を忘れると返戻リスクがあるのは要注意ですね……!

4-2. 要注意:治療中断時の大幅な減算リスク

Yun

ただし、最大の落とし穴がある。治療を途中で中止した場合の減算ルールが厳格化されたんだ。これを知らずに寡分割照射を始めると、大きな減収リスクを抱えることになる。

💀 寡分割照射の減収リスク:治療中断時の点数

乳癌(全乳房照射):完遂時 41,500点

  • 7回目までで中止 → 10,500点(完遂時の約25%)
  • 8回目以上で中止 → 14,000点(完遂時の約34%)

前立腺癌(IMRT):完遂時 96,500点

  • 9回目までで中止 → 24,000点(完遂時の約25%)
  • 10回目以上で中止 → 42,000点(完遂時の約44%)

アクションプラン:寡分割照射の安全な導入

  1. 施設基準の届出を速やかに実施(寡分割照射には専用の基準あり)
  2. 治療計画段階で患者の脱落リスクを評価(通院可能性、副作用耐性)
  3. 看護師・技師を含めた副作用マネジメントチームの強化(皮膚炎、直腸・尿路症状)
  4. 治療枠短縮で空いた枠を活用し、新規患者の受け入れ数を増やす集患対策
  5. 医学物理士と連携した高線量投与の品質管理体制の構築

5. 粒子線・核医学治療の拡大

5-1. 核医学治療の適応拡大 ― 放射性同位元素内用療法管理料

2026年度改定で放射性同位元素内用療法管理料(M000-2)に新たな区分が追加されました。新設されたのは去勢抵抗性前立腺癌(2区分)・神経芽腫の3区分です。B細胞性非ホジキンリンパ腫・神経内分泌腫瘍・褐色細胞腫などは既存の評価です。

対象疾患・区分点数ポイント
去勢抵抗性前立腺癌
イ 骨転移のあるもの
2,630点新設(2026年度)Ra-223(ゾーフィゴ)治療対象
去勢抵抗性前立腺癌
ロ PSMA陽性 遠隔転移を有するもの
3,000点新設(2026年度)Lu-177 PSMA(プルビクト)治療対象
B細胞性非ホジキンリンパ腫3,000点既存。放射免疫療法(ゼヴァリン等)
神経芽腫3,800点新設(2026年度)MIBG治療の新たな評価
神経内分泌腫瘍2,660点既存。PRRT(ペプチド受容体標的治療)
褐色細胞腫1,820点既存。MIBG治療(褐色細胞腫)

将来性:核医学治療は成長市場 ― 2026年度は3区分が新設

今回新設された3区分のうち、特に注目は去勢抵抗性前立腺癌(Ra-223 骨転移あり・Lu-177 PSMA陽性)。患者数が多く泌尿器科との連携で導入を検討すべき領域です。 RI病室の整備や放射性医薬品の取り扱い承認がハードルですが、 核医学治療の適応は今後さらに拡大が見込まれます。「今から準備を始めた施設」が先行者利益を得る分野です。

5-2b. PSMA PET検査の保険収載 ― 前立腺癌の診断が変わる

ルテチウム治療と並行して、その診断側であるPSMA PET検査も新たに保険収載されました。

検査区分点数ポイント
E101-2 PET(PSMA)2,780点ポジトロン断層撮影
E101-3 PET/CT(PSMA)3,905点CT融合撮影
E101-4 PET/MRI(PSMA)4,440点MRI融合撮影
Lina

PSMA PETが保険になったんですね! これまで自費だった検査が保険適用になれば、泌尿器科からの紹介が一気に増えそうです!

5-2. 粒子線治療の評価強化 ― 小児加算の新設と適応拡大

Lina

粒子線治療って陽子線や重粒子線のことですよね。保険適用の範囲が広がったりしてるんですか?

Yun

今回の改定では粒子線治療に2つの大きな動きがある。1つは小児加算の新設、もう1つは大腸がん肺転移の保険適応追加だ。特に小児加算は、小児がん拠点病院との連携において重要なポイントになる。

粒子線治療の2つの評価強化

1. 小児放射線治療加算の新設(7,000点)

M001-4 粒子線治療(一連につき)の注4として、15歳未満の小児に対する陽子線・重粒子線治療に小児放射線治療加算 7,000点が新設されました。小児がんは治療の難易度が高く、麻酔管理や固定具の作成など成人以上の工数がかかるため、その評価が反映された形です。

2. 切除不能な大腸がん肺転移(3個以内)の保険適応追加

これまで先進医療として実績を積んできた「切除不能な大腸がん肺転移(転移巣3個以内)」に対する粒子線治療が、新たに保険適応として追加されました。中医協の技術評価分科会で「優先度が高い」と判定された技術であり、大腸外科・呼吸器外科との連携で適応患者の紹介フローを整備しておく必要があります。

粒子線治療に関するアクションプラン

  • 小児がん拠点病院との連携確認:自院に粒子線設備がなくても、紹介元として小児がん患者の治療方針カンファレンスに参加する体制を検討
  • 大腸がん肺転移の紹介パス整備:消化器外科チームと連携し、切除不能な肺転移症例で粒子線治療の適応を検討するフローを確立
  • 粒子線治療施設の場合:小児加算の届出準備と、新たな保険適応に対応した患者受入れ体制の整備

6.【新規】救急外来の技師常時配置要件 ― オンコールでは不可

Lina

救急外来の施設基準に技師の配置要件が入ったって本当ですか? オンコールじゃダメなんですか?

Yun

その通り。新設された「救急外来医学管理料」の施設基準において、診療放射線技師が常時、院内に配置されていることが明記されたんだ。「呼び出し(オンコール)」ではなく「当直等による常時配置」が要件だ。

救急外来医学管理料の配置要件

  • 救急外来を24時間提供する体制として、以下が常時院内に配置されていること:
    • 薬剤師
    • 臨床検査技師
    • 診療放射線技師
  • 血液検査、CT撮影、MRI撮影を実施できる体制が常時確保されていること
Yun

これは部門運営に大きく影響する。夜間休日の技師当直体制の維持・強化が上位点数算定の必須条件になるからね。人員確保の面で経営層への交渉材料にもなる。「救急加算を算定するには技師の当直が必要です」と言える根拠ができたわけだ。

7. ベースアップ評価料の詳細 ― 放射線技師の給与に直結する改定

Lina

これが一番気になってました! 技師の給料がどう変わるのか、具体的に教えてください!

7-1. ベースアップ評価料の構成

Yun

「ベースアップ評価料」「医師・歯科医師を除く医療従事者」の賃金改善を目的とした加算で、診療放射線技師も対象に含まれる。構成は3種類あるんだ。

評価料の種類算定タイミング備考
外来・在宅ベースアップ評価料(I)初診時・訪問診療時基本の賃上げ原資
入院ベースアップ評価料入院1日につきレベル1〜500まで細分化
外来・在宅ベースアップ評価料(II)(I)で不足する場合上乗せ項目

7-2. 配分の「3分の2以上」ルール

図5:ベースアップ評価料の配分ルール

配分ルールの全体像

  • 3分の2以上:「基本給」または「決まって毎月支払われる手当(固定手当)」の引上げに充当(義務)
  • 3分の1未満:賞与(ボーナス)や一時金による改善も可
  • 夜勤手当の特例:交代勤務制をとっている職場の「夜勤手当」は、毎月の固定手当に準じて「3分の2以上」の計算に含めて差し支えない
  • 対象:主として医療に従事する職員(医師・歯科医師を除く) → 診療放射線技師を含む
Lina

つまり、一時金やボーナスだけでお茶を濁すのはNGで、きちんと月給(基本給や手当)を上げないといけないんですね! 夜勤手当の増額にも使えるのは当直がある技師にとって嬉しい!

7-3. 継続的な賃上げの評価

Yun

もう一つ重要なのは、「継続的に賃上げを行っている医療機関」は通常よりも高い点数区分で評価される仕組みが導入されたこと。つまり、毎年きちんと給与改善を行うことが経営上のメリットにもなる。技師としてできることは3つ ―― ①自院がベースアップ評価料を届け出ているか確認、②未届出なら事務部門に情報提供、③賃金改善計画の内容と自分たちへの配分を確認することだ。

【2026年度改定】ベースアップ評価料の強化ポイント

  • 対象職種の拡大:事務職員や看護補助者も含めた「全職種(医師・歯科医師除く)」の賃上げ支援へ。
  • 点数の引き上げ
    • 外来・在宅ベースアップ評価料(I):初診時 6点 → 17点(大幅増)
    • 入院ベースアップ評価料:最大165点 → 最大500点(1〜500段階に拡大)
      ※1〜250段階:2026年6月〜、251〜500段階:2027年6月以降解禁(2段階実施)
  • 物価対応の評価新設:光熱水費・食材料費の高騰に対応する評価が新設され、経営の安定化による間接的な賃上げ原資の確保が可能に。
  • 要件の厳格化:賃上げ未実施施設に対する入院基本料の減算措置が導入される可能性があり、「やらないと損」から「やらないとペナルティ」へ。

国の狙いと生存戦略:賃上げ×DXの好循環

2026年改定のメッセージは明確です。「賃上げで人を確保し、DXや連携で稼ぐ施設だけが生き残る」。 ベースアップ評価料で技師の待遇を改善し、その人材で「遠隔読影」「共同利用」「フュージョンIVR」等の高収益業務を回す。この「ヒトへの投資 → 収益化」のサイクルを作れない施設は、人材流出と減収のダブルパンチを受けることになります。

8. 経営層へのプレゼンロジック ― なぜ今、放射線部門に投資すべきか

Yun

病院長や事務長に設備投資や人員確保を要求するためのロジックを整理しよう。タイトルは「地域完結型 画像診断センター化による収益構造の転換」だ。

8-1. 現状の課題を提示する

💀 放置すると起こる4つのリスク

  • 共同利用の未届出:64列以上のCT・3T以上のMRIを持っているのに共同利用を行わない場合、相対的に低い点数のまま(CTは+20点、3T以上MRIは+20点)。同規模他院との点数差が年間数百万円に。※1.5T以上3T未満のMRIは共同利用加算の区分なし
  • 遠隔読影の未事業化:専門医が無償で読影している状態は「逸失利益」。受信側で管理加算が算定できるのに、制度を知らないまま放置
  • 寡分割照射の中断:治療を途中で止めると完遂時の25〜44%まで点数が減算。副作用管理と患者スクリーニングの不備が直撃する
  • ベースアップ評価料の未届出:算定しなければ技師の給与改善の原資を逃す。人材流出のリスク増大

8-2. 提案内容 ― 3つの投資領域

ROI(投資対効果)が見える3つの施策

① 共同利用の推進

  • 地域連携枠を拡大し、CT/MRI撮影料の上位区分(1,120点/1,020点)を確実に算定
  • 年間CT+MRI合計8,000件 × +20点 = 年間160万円の増収
  • 投資:施設基準届出の事務コストのみ(設備投資不要)

② 遠隔読影の受託事業化

  • 地域の画像診断センターとしての機能を強化
  • 画像診断管理加算2〜4の算定で直接的な収益に
  • 投資:クラウドPACS or VPN環境の整備(月額数万円〜)
Yun

プレゼンの締めくくりはこうだ。「今回の改定は、単独完結型から地域連携型への転換を求めています。共同利用の施設基準を届け出るだけで年間100万円以上の増収が見込め、遠隔読影の事業化で新たな収益源も確保できます。さらにベースアップ評価料で技師の待遇を改善し、高度人材の流出を防ぐ。投資は最小限で、制度に乗るだけです。やらない理由がありません。」

9.【画像診断】FFR-CT・骨密度・ガンマナイフ ― 見落としがちな改定ポイント

Yun

ここからは、主要トピック以外で現場の算定に直結する「見落としがちな改定ポイント」を一気に整理するよ。FFR-CTの点数変更(減額)、骨密度の算定制限厳格化、ガンマナイフの短期滞在手術等基本料の改定、の3点だ。

9-1. FFR-CT の減額(9,400→7,800点)

E200-2 血流予備量比コンピューター断層撮影(7,800点)

冠動脈CTデータから流体解析でFFR(血流予備量比)を非侵襲的に推定する検査が、9,400点から7,800点に▲1,600点の減額。 従来の「E200-2 血流予備量比コンピューター断層撮影解析(9,400点)」が「E200-2 血流予備量比コンピューター断層撮影(7,800点)」に名称変更・統合され、旧「解析」区分は廃止されました。 心カテ前のスクリーニングとして臨床的価値は認められているものの、点数は引き下げとなりました。循環器内科との連携で冠動脈CT撮影の紹介件数増加につなげることが引き続き重要です。

9-2. 骨密度検査(DEXA)の算定制限 ― 「4月に1回」→「1年に1回」

Yun

これは要注意の変更だ。骨塩定量検査(DEXA法)の算定頻度が原則「4月に1回」から「1年に1回」に厳格化された。骨代謝は緩やかに変化するため、安定期の頻回検査は医学的根拠が乏しいというガイドラインに合わせた適正化だ。

骨密度検査の算定変更 ― 例外を見逃すな

  • 原則:「1年に1回」に制限
  • 例外(従来通り4月に1回可能)
    • 骨粗鬆症の治療開始から1年以内
    • 新たに骨折した場合
    • ステロイド・アロマターゼ阻害薬など骨減少をきたす薬剤投与中
    • ビスホスホネート薬治療の中断を検討する場合

対策:予約受付時に前回検査日と治療状況を確認するフローを整備すること。返戻リスクを防ぐためレセプトコメントへの理由記載も必須です。

9-3. ガンマナイフ ― 短期滞在手術等基本料3の増点

項目改定前改定後増減
短期滞在手術等基本料3(ガンマナイフ)59,673点60,796点+1,123点
M001-2 技術料(単体)50,000点50,000点据え置き

技術料単体は据え置きで、増点分は入院基本料部分や物価高騰対応分の上乗せです。照射線量の基準変更はなく、ガンマナイフ実施施設にとっては純粋な増収(1件あたり約11,230円)となります。

10.【検査・治療】超音波・IVR ― 新設と適正化

10-1. 超音波検査の変更点 ― 心エコー領域の増点

Yun

超音波検査では、手技の難易度が高い心エコー領域の大幅増点が注目ポイントだ。

区分改定前改定後変更
経食道心エコー法1,500点1,800点+300点
胎児心エコー法診断加算1,000点1,200点+200点

超音波減衰法検査(200点)とは?

脂肪肝の定量評価(Attenuation Imaging等)に用いられる新検査法です。肝硬度測定やエラストグラフィーと併せて行った場合は主たるもののみ算定となるため、検査オーダー時の選択に注意が必要です。

10-2. IVR ― 新設された高額カテーテル治療(放射線に関係あるかも)

新設・変更手技点数概要
腎デナベーション(K613-2)31,840点薬物抵抗性高血圧に対する腎神経焼灼術
経頸動脈的ステント留置術(K609-3)34,740点TCAR:従来の大腿アプローチに加え頸部小切開法
冷凍凝固・焼灼術(2cm以内)51,200点骨・肺・肝・腎・骨盤内の悪性腫瘍
冷凍凝固・焼灼術(2cm超)66,200点同上(腫瘍径2cm超)
Lina

腎デナベーションもTCARも3万点超え…! IVR領域の保険収載が一気に進んだ感じですね。クライオアブレーションも複数臓器で使えるなら、ラジオ波だけの時代から変わりますね。

10-3. 透析シャントPTAの適正化 ― 軽症例は減算

K616-4 経皮的シャント拡張術の分割

  • 閉塞又は高度狭窄の場合:12,000点
  • その他の場合:9,840点(減算)

「その他の場合」は、超音波検査でシャント血流量400ml超かつ血管抵抗指数(RI)0.6未満のような緊急性の低いケースを指します。 シャントエコーの結果が算定区分を左右するため、検査結果の記録管理が重要です。

Yun

Section 9・10で挙げた項目は「知らなければ算定漏れ・返戻リスク」になるものばかりだ。特に骨密度の「4月→年1回」制限は返戻の原因になるので、整形外科との情報共有と受付時の前回検査日確認フローを整備しておこう。

現場で使える Q&A

地方厚生局への施設基準の届出が必要です。対象装置(64列以上のCT / 1.5T以上のMRI)を保有し、他の医療機関からの検査依頼を受け入れる体制を整備した上で、所定の届出書を提出します。 自院の患者に対しても上位の点数(共同利用施設の点数)が適用される可能性があるため、対象装置を持っているならまず届け出るのが正解です。

「(他の医療機関からの依頼による撮影症例数) ÷ (当該装置による全撮影症例数) ≥ 1/10」が基本です。ただし、特別の関係にある医療機関からの依頼は除外して計算する必要があります。 施設全体のCT・MRI全症例を対象に算出するため、特定の1台だけ達成していても全体で基準を満たさなければなりません。未達だと上位区分から脱落するため、地域連携の強化が必須です。

画像診断管理加算の施設基準に準じます。加算2であれば「画像診断を専ら担当する常勤医師」の配置が必要です。 加算3・4ではさらに厳しい基準(常勤専門医数、読影件数など)が求められます。 自院が現在取得している加算のレベルで遠隔読影にも適用できるため、追加の医師配置は不要な場合が多いです。読影レポートの品質管理としては、ターンアラウンドタイムの目標設定と、ダブルチェック体制の構築が推奨されます。

受信側(読影側)の医療機関で「画像診断を専ら担当する常勤の医師」が読影(診断)を行い、結果を送信側に文書で報告することが必須です。 非常勤医師やアルバイト医師による読影では上位の管理加算は算定できません。

  • 管理加算2(175点/月):画像診断を専ら担当する常勤医師の配置
  • 管理加算3(235点/月):上記に加え、より高度な読影体制(常勤専門医数等の要件あり)
  • 管理加算4(340点/月):最上位の専門体制が求められる

従来は「送信側も管理加算2を取得していること」が条件でしたが、今回の改定(通則第8号 新設)で、受信側の体制だけで算定できるように変更されました。

以下の全要件を満たす必要があります:

  • 対象施設:地域がん診療連携拠点病院、または年間体外照射200症例以上の地域がん診療病院
  • 地域要件:がん医療圏内に他のIMRT届出施設が存在しないこと
  • 医師:放射線治療経験5年以上の常勤医が1名配置
  • 支援施設:常勤治療医3名以上の特定機能病院等とICT連携(支援医1名で2施設まで)
  • 設備:リニアック、治療計画CT、遠隔放射線治療システム、第三者機関による出力線量評価
  • 運用:セキュリティ指針の策定、常時連絡体制、関係学会ガイドラインの遵守

前立腺癌を例にすると、IMRT(包括評価:106,600点=約107万円)と3D-CRT(出来高:90,900点=約91万円)で患者1人あたり約16万円の点数差が発生します。さらにIMRTは寡分割で20回、3D-CRTは37回照射となるため、スロット単価(53,300円/回)ベースで17スロット×53,300円=約91万円のスロット機会損失が上乗せされます。フル稼働施設では患者1人あたり約106万円・年間200症例で約2億1,262万円の機会損失です。

今回の改定で常勤医1名+遠隔支援体制でもIMRT算定が可能になったため、医師増員なしでも収益改善できる道が開かれました

はい、使えます。交代勤務制をとっている職場の職員(当直を行う放射線技師など)に支払われる「夜勤手当」については、毎月支払われる手当に準じて、「3分の2以上」の計算(基本給等)に含めて差し支えないとされています。 つまり、夜勤手当の増額も「ベースアップ」としてカウントされるため、当直がある技師にとっては実質的な月給アップに繋がります。

評価料の算定にあたり、病院は「賃金改善計画」を策定する必要があります。この計画には、対象職種ごとの賃金改善額、基本給と手当の配分比率、実施スケジュールなどを記載します。 個々の技師にいくら配分するかは各病院の計画によりますが、施設全体として「3分の2以上をベースアップに充当」のルールを満たす必要があります。 継続的に賃上げを行っている医療機関は上位の点数区分で評価されるため、毎年の改善が経営メリットにもなります。

「救急外来医学管理料」の上位点数を算定するには、技師の常時院内配置が必要です。オンコール(呼び出し)ではなく、当直等での24時間体制が求められます。 これにより、夜間休日の技師当直体制の維持・強化が必須となります。一方で、「救急加算を算定するには技師の当直が必要」という経営的根拠ができたため、人員確保や待遇改善の交渉材料として活用できます。

関係あります。新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」では、電子的な診療情報(検査結果や画像情報含む)の共有に対する評価が段階的に設定されています。 CD/DVDでの画像受け渡しからネットワーク経由の画像共有への移行は、共同利用や遠隔読影の効率化にも直結します。 IT部門と連携してクラウドPACSやVPN環境の整備を検討すべきです。

E202 注9の全身MRI撮影加算(600点)は令和2年(2020年)から存在する既存加算で、適応は「前立腺癌の骨転移診断」に限定されています。 関連学会の指針に従い、DWIBS法を用いて1.5テスラ以上のMRI装置で頸部から骨盤部を3部位以上に分けて撮像した場合に算定できます。 一般的ながん転移検索や他のがん種では算定できない点に注意が必要です。泌尿器科からの紹介で算定機会が生じます。

治療開始から1年以内、新たに骨折した場合、ステロイド・アロマターゼ阻害薬など骨減少をきたす薬剤投与中、ビスホスホネート薬治療の中断検討時などは従来通り「4月に1回」算定可能です。 ただしレセプトコメントへの理由記載が求められるため、整形外科と連携して対象患者を事前に把握しておく必要があります。

2026年改定で骨・肺・肝・腎・骨盤内の悪性腫瘍に対する冷凍凝固療法が保険収載されました。 腫瘍径2cm以内は51,200点、2cm超は66,200点です。従来のラジオ波焼灼術(RFA)に加え、患者の状態や腫瘍の部位に応じた治療選択肢が広がっています。

クリニック(画像センター含む)は64列以上CTを保有していても、CT撮影料は原則900点が上限となるのは制度上必然的な結果です。

CT撮影料の64列以上区分(1,000点〜)を算定するには、画像診断管理加算2以上の施設基準を満たすことが実務上求められます。しかし、加算2は「放射線科を標榜している病院であること」が必須要件(保医発0305第6号等)であり、クリニック・画像センターは病院として分類されないため届出不可です。

その結果、クリニック単独では64列以上CT保有でも撮影料は900点(16列以上64列未満と同一水準)止まりになるのが標準的な取り扱いです。

クリニックのCT撮影料まとめ
・16列以上64列未満 CT → 900点
・64列以上CT(クリニック単独・加算2なし)→ 900点が上限となるのは制度上必然的な結果
・64列以上CT(加算2取得病院が算定)→ 共同利用1,020点〜
加算1(70点):クリニックでも届出可能(放射線科標榜+常勤画像診断医1名以上)

クリニックの現実的な対応策:
加算1(70点)を届出し、読影管理体制の評価を確保する(年間200万円超の増収効果)
加算2取得病院との遠隔読影連携(令和8年度改定の新スキーム)を組み、患者へ高水準の読影を提供する
③ 施設基準の詳細は地方厚生局への事前相談で確認(無料)

加算2(175点)以上は病院標榜が必須のため、クリニックでの届出は基本的に不可です。ただし、加算1(70点)はクリニックでも届出可能です。放射線科を標榜し、「専ら画像診断を担当する常勤医師1名以上(経験10年以上または所定研修修了)」という要件を満たせば算定できます。

収益シミュレーション例:CT月300件のクリニックで加算1を届出 → 70点 × 300件 = 月2.1万点(約21万円)、年間約252万円の増収。なお、CT撮影料は64列以上保有でも加算2がなければ900点が上限となるのは制度上必然的な結果である点に注意が必要です。

なお、令和8年度改定で新設された遠隔読影(受信側)の加算2算定スキームを活用すれば、クリニックが送信側になり加算2取得病院が読影する構成を組めます。クリニック側は加算1を算定しつつ、患者には病院レベルの専門読影が提供される、Win-Winの地域連携モデルです。施設基準の詳細は地方厚生局への事前相談を強くお勧めします(相談は無料)。

令和8年度(2026年度)改定で新設された区分で、「画像診断管理加算2を取得している病院が、受信側の病院(加算2取得)に読影を一部委託した場合」に算定できる175点より低い点数(166点)です。

具体的には:

  • 送信側(撮影した病院)が画像診断管理加算2を取得済み
  • その病院が夜間・休日など自院だけでは対応しきれない読影を受信側の病院に委託する
  • 受信側の病院も加算2相当の体制を持つ
  • この場合、送信側が「加算2一部委託(166点)」として算定

通常の受信側算定(175点)より9点低いのは、委託コストが発生するため。この仕組みにより、夜間休日の読影体制を持てない中小病院でも加算算定が継続可能になります。

実務的な背景として、加算2を取得している病院でも「自院の常勤放射線科医だけでは夜間・休日・急患対応が追いつかない」ケースは現場では珍しくありません。そのような場合に、受信側の加算2取得病院へ読影を一部委託し、166点として算定するのがこの制度のリアルなユースケースです。根拠通知:保医発0305第8号(令和8年3月5日)を参照してください。

まとめ ― 放射線部門の未来は「連携」と「技術加算」にあり

Lina

こんなに多くの変更があるなんて…! 知らないままでは完全に出遅れますね。私もまず、うちのCTが共同利用の対象になるか確認してみます!

Yun

今回の改定全体を通底しているのは、「医療DXの推進」「機能分化・連携」「処遇改善」の3本柱だったね。冒頭で話した通りだ。放射線部門としても、単に画像を撮って読むだけでなく、「地域の画像データを集約し、高度な解析を付加して臨床に返す」というハブ機能を果たすことが、最も確実な収益維持・向上策になる。

Lina

ゆんさん、この先の改定でも同じ方向が続くんでしょうか? 2028年の次の改定とか…。

Yun

間違いなく続く。国が描いている2040年の医療提供体制の未来図では、今回の改定はまだ「序章」に過ぎない。

中医協の議論を追っていくと、「AI読影支援」「放射線治療の遠隔品質管理」「リアルワールドデータを活用した治療評価」といったテーマがすでに俎上に載っている。次の改定では、AIが生成した読影レポートのドラフトに放射線科医が最終判断を加えるワークフローや、治療計画のクラウド共有に対する加算が検討される可能性がある。

つまり、今回の改定で「連携」と「DX」の基盤を作った施設は、次の改定でさらに上位の加算を取りに行ける。逆に、ここで動かなかった施設は、次の改定でも出遅れる。制度改革は「複利」で効いてくるんだ。

✅ 今日から動くべき5つのアクション
  1. CT/MRI共同利用の施設基準を確認・届出:自院の装置が対象かを確認し、地域連携室と連携して施設基準の届出を準備。これだけで年間100万円以上の増収
  2. 遠隔読影の受託体制を検討:画像診断管理加算の施設基準を活かし、近隣の専門医不在施設への読影受託を提案。放射線科医の専門性を収益に変えるチャンス
  3. 骨密度検査の算定制限を院内周知:「4月に1回」→「原則年1回」の変更を整形外科・受付に共有し、前回検査日確認フローを整備。返戻リスク防止のためレセプトコメントの記載ルールも策定
  4. IVR新技術の導入可能性を評価:腎デナベーション(31,840点)、クライオアブレーション(腎51,200/肺66,200点)など高点数の新設IVRの施設基準を確認。新規収益源の開拓
  5. IMRT遠隔支援+ベースアップ評価料を同時に推進:地方がん拠点病院はIMRT算定の道が開かれ、ベースアップ評価料は技師の待遇改善に直結。収益と人材確保の両輪

※本記事は2026年度診療報酬改定の答申・個別改定項目資料および保医発0305第8号等の関連通知に基づいています。最終的な施設基準の詳細は、厚生労働省の告示・通知および地方厚生局へのご確認をお勧めします。

参考文献

[ 1 ] 厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会 資料(令和8年度改定)

[ 2 ] 厚生労働省:令和6年度診療報酬改定について

[ 3 ] 厚生労働省:令和4年度診療報酬改定について

[ 4 ] 厚生労働省:保医発0305第8号(令和8年3月5日)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について

ABOUT ME
ゆん
技師歴15年。副業歴5年。投資歴5年。 資格、転職・副業などのキャリア情報と、患者さん向け情報を発信しています。