RECORDS & RETENTION · RPMP TOPIC 04

帳簿・記録の整え方と保存期間

閉鎖は毎年3月31日、保存は閉鎖後5年間。RI規制法第25条・施行規則第24条を軸に、測定・教育・健診の記録まで一枚で見渡す。

放射線取扱主任者AI 実務 TOPIC 04 読了 約12分
帳簿の法定保存期間
5年間

起算点は「作成から」ではなく閉鎖後。閉鎖日は毎年3月31日(施行規則第24条第2項・第3項)。

帳簿・記録ごとに根拠条文と期間が異なる(一括りにできない)
対象期限・期間根拠と注意点
帳簿の閉鎖毎年3月31日毎年3月31日に閉鎖。許可取消・廃止・死亡・解散の日も閉鎖事由になる。
閉鎖後の保存5年法第25条第4項の保存期間。ただし廃棄業の一部帳簿には別扱いがある。
測定の記録5年施行規則第20条。測定の都度記録し5年間保存する(帳簿とは別立ての義務)。
健診記録(電離則)30年労働安全衛生側の電離則では30年保存。RI規制法だけを見ていると足りない。
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  • 閉鎖は毎年3月31日。 「年度末だから」ではなく施行規則第24条第2項が日付を直接指定している。
  • 5年の起算点は閉鎖後。 記載した日からではない。閉鎖印のない帳簿は起算点が立たない。
  • 帳簿・測定・教育・健診は別々の条文。 一括りに「第24条」と書くと立入検査で根拠を示せない。
  • 訂正は二重線+訂正印。 修正液・修正テープ・フリクションは元の記載を消してしまい、真正性が立証できなくなる。
1条文

「どの記録が、どの条文で、何年か」を分けて持つ

Which record, which article
放射線管理記録の区分整理と保存バインダー

▲ 測定記録・点検記録・訓練記録など、法令の条文ごとに分類・バインダー保管する管理実務

放射線取扱主任者の実務でつまずく原因のほとんどは、記録の種類ごとに根拠条文が違うことを一つにまとめてしまう点にあります。RI規制法第25条が定めるのはあくまで「帳簿」であり、測定の記録AI健康診断の記録AIはそれぞれ別の条文に置かれています。条文の対応を問題形式で確かめたい場合は帳簿・保存義務の法規ドリルが近道です。

検査官に「その5年はどこに書いてありますか」と問われたとき、記録の種類ごとに条番号を即答できるかどうかが、実務力の分かれ目になります。主任者試験でも頻出の論点です。下の表は、条文にあたって確認した対応関係です。

記録の種類根拠条文閉鎖・作成保存期間
帳簿
受入払出・使用・保管・運搬・廃棄
法第25条
施行規則第24条第1項
毎年3月31日に閉鎖閉鎖後5年間
測定の記録
場所・人に係る測定
施行規則第20条測定の都度5年間
教育訓練の記録
実施年月日・項目・時間数・氏名
施行規則第24条第1項第1号ソ
(実施義務は第21条の2)
帳簿の一部として記載閉鎖後5年間
健康診断の記録
問診・検査・医師の判定
施行規則第22条健康診断の都度永久保存が原則
5年以上保存後、指定機関へ引渡す場合を除く
健診記録(労働安全衛生)
電離則の対象事業場
電離則第57条の3ほか健康診断の都度30年間

※ 教育訓練は第21条の2に保存期間の定めがありません。記録として残す根拠は第24条の記帳義務(第1号ソ)側にあります。「第24条第1項第8号」といった号数は条文に存在しないため、引用の際は注意してください。

2閉鎖

3月31日の閉鎖処理と、見落としやすい「もう一つの閉鎖事由」

Closing the ledger
年度末(3月31日)の帳簿閉鎖と管理印記帳実務

▲ 毎年度末(3月31日)に帳簿を確実締め切り、閉鎖年月日および管理責任者印を捺印・記録

施行規則第24条第2項は、閉鎖日を「毎年三月三十一日」と明記したうえで、これに加えて許可の取消しの日AI、使用・販売・賃貸・廃棄の業を廃止した日、死亡・解散・分割の日にも閉鎖しなければならないと定めています。年度末だけを見ていると、装置の更新にともなう許可の変更・廃止の場面で閉鎖漏れが起きます。閉鎖の手順を誰が担うかは、予防規程に書き込んでおくと引き継ぎで途切れません。

1
3月31日時点の実在庫を照合する
貯蔵施設内の密封線源AI、非密封の試薬、廃棄待ちの保管物を現物で確認し、帳簿残高と突き合わせます。差異があれば、閉鎖前に原因を記録に残します。
2
最終行の下で締め切り、閉鎖を明示する
最終記載行の下に線を引き、閉鎖した旨と年度、確認者を記載して押印します。この押印が5年の起算点を示す唯一の証跡になります。
3
新年度の帳簿へ繰り越す
4月1日付で新しい帳簿を起こし、核種AIごとの残量・保管場所を転記します。前年度末の残高と一致していることを確認します。
4
閉鎖済み帳簿を5年分そろえて保管する
閉鎖した帳簿と測定・教育・健診の記録を年度単位でまとめ、施錠できる場所に保管します。年度ごとの背表紙を付けると検査当日の取り出しが速くなります。
3/31
定例の閉鎖日
4事由
取消・廃止・死亡・解散
5
閉鎖後の保存年数
3訂正

誤記の訂正 ─ 「消さない」ことが証拠になる

Correcting entries

立入検査で繰り返し指摘されるのが、誤記の訂正方法です。修正液・修正テープ・摩擦熱で消えるボールペンAIは、いずれも元の記載を復元できなくする点で共通しています。帳簿AIの価値は「正しい数字が書いてあること」ではなく「書かれた過程をあとから検証できること」にあります。消してしまえば、その検証ができません。

  • 誤記の上に二重線を引く。元の文字が読める状態を保ちます。
  • 二重線の近くに正しい数値・文字を記載します。
  • 余白に訂正印を押し、訂正した年月日を併記します。誰がいつ直したかが残ります。
💬

この記事は現場のリアルな疑問とポイントについて、LINAとラッコ先輩の対話形式でわかりやすく進めていきます

ラッコ先輩
ラッコ先輩
検査で見られているのは数字そのものより、記録の直し方なんです。二重線と訂正印が揃っていれば、間違いがあったこと自体は減点になりません。
LINA
LINA ─ 技師1年目
きれいに直したほうが良いと思って、つい修正テープを使いたくなっていました……。消さずに残すほうが正しいんですね。
ラッコ先輩
ラッコ先輩
そう。きれいな帳簿より、たどれる帳簿です。あとは閉鎖印だけは絶対に忘れないこと。5年を数え始める起点がそこにしかありませんから。
LINA
LINA ─ 技師1年目
つまり、間違いを隠さないことと、閉鎖印で区切りをつけること。この2つが揃って初めて「5年保存しています」と言えるんですね。年度末までに自分の帳簿を見直してみます。
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電子保存で満たすべき3つの性質

Electronic retention
電子保存システムによる放射線測定記録の安全管理とモニタリング

▲ 電子保存における真正性・見読性・保存性を満たす放射線管理データベースシステム運用

紙の帳簿を表計算ソフトや放射線情報システムAIへ移す施設が増えています。電子化そのものは差し支えありませんが、紙で自然に満たせていた性質を、システム側で意識して作り込む必要があります。文書の電子保存で一般に求められるのは次の3点です。

読性
求めに応じて直ちに画面表示・印刷できる
正性
入力者・変更履歴が残り、遡って書き換えられない
存性
5年間を通じて滅失しない冗長構成がある

とくに真正性AIが難所です。表計算ファイルを共有フォルダに置いただけの運用では、誰がいつ書き換えたのか残りません。タイムスタンプAI監査ログAIの保全といった仕組みで、変更の履歴を後から追える状態にしておきます。あわせて、検査当日にその場で印刷できる導線(プリンタ・権限・操作できる担当者)まで含めて点検しておくと安全です。当日の動線そのものは立入検査・監査の備えにまとめています。

Self Check · 保存状態のセルフチェック

6項目
帳簿・記録の点検
0 / 6 完了
帳簿に3月31日の閉鎖と押印があり、翌年度へ繰り越されている
施行規則第24条第2項。閉鎖印が5年の起算点になる。
訂正箇所が二重線と訂正印で処理されている
修正液・修正テープ・消せるボールペンの痕跡がないこと。
測定の記録が過去5年分そろい、すぐ取り出せる
施行規則第20条。帳簿とは別立ての保存義務。
教育訓練の実施年月日・項目・時間数・受講者氏名が記載されている
施行規則第24条第1項第1号ソ。項目ごとの時間数まで必要。
健康診断の記録と医師の判定が保存されている
施行規則第22条。電離則の対象なら30年保存も併せて確認する。
電子保存の場合、変更履歴が残り、その場で印刷できる
見読性・真正性・保存性。印刷できる担当者がいるかまで確認する。
すべて確認できました。年度をまたいでも同じ手順で点検できるよう、この6項目を予防規程の運用側に落とし込んでおくと安定します。

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