【令和9年4月以降】マイナンバーで国家資格がデジタル化|診療放射線技師の免許はこう変わる(メリット・デメリット・対象資格)

POLICY BRIEF · NATIONAL QUALIFICATION DX
マイナンバーで国家資格がデジタル化する
診療放射線技師は「令和9年4月以降」
紙の免許証と保健所経由の申請が、マイナポータルの手続きとデジタル資格者証に置き換わります。診療放射線技師の開始予定は令和9年(2027年)4月以降。医師・看護師が先に始まり、技師はその次の波です。何が変わり、何がまだ変わらないのかを整理します。
- 診療放射線技師の開始予定は令和9年(2027年)4月以降。デジタル庁の最新スケジュール(2026年6月版)で、81資格のグループに区分されています。
- 医師・看護師・薬剤師などは令和8年4月〜令和9年3月に先行。技師はその1年後の波になります。
- 変わるのは手続き。免許登録・氏名変更などがマイナポータルからオンラインで完結し、戸籍抄本・住民票が不要になり、手数料もオンライン決済に対応します。
- デジタル資格者証を取得でき、QRコードで真正性を検証してもらえます。転職時の資格証明や施設の資格確認が電子化されます。
- ただしデジタル資格者証はまだ「免許証の原本」ではありません。原本化は「活用状況を踏まえ関係者と協議の上で検討」という段階です。
- 周辺資格は時期がバラバラ。エックス線作業主任者・ガンマ線透過写真撮影作業主任者はすでに開始済み、放射線取扱主任者・作業環境測定士は技師と同じ令和9年4月以降です。
語尾に AI が付いたリンクは、Google の AI モードで対話しながら深掘りできます(別タブで開きます)。
そもそも何の制度なのか
正式名称は「国家資格等情報連携・活用システム」といいます。デジタル庁が構築し、2024年8月6日から提供を開始した共通基盤です。
これまで国家資格の手続きは、資格登録も氏名変更も、紙の申請書に戸籍抄本AIや住民票を添えて郵送・持参するのが基本でした。資格を証明する場面でも、紙の免許証やそのコピーを出すしかありませんでした。デジタル庁の推進方針は、この状態を「紙・対面・郵送といったオフライン・アナログが主流であり、資格保有者・資格管理者の双方にとって負担が大きかった」と表現しています。
そこで、資格を所管する省庁がそれぞれシステムを作るのではなく、共同利用できる1つのシステムを国が用意しました。各資格の管理者はそこに順番に「乗る」形になります。診療放射線技師の場合、資格管理者は厚生労働省(医政局医事課)です。
制度の土台になっているのは番号法(マイナンバー法)の改正AIです。2021年(令和3年)・2023年(令和5年)・2025年(令和7年)の3回に分けて法改正が行われ、対象資格は段階的に広がっています。診療放射線技師は2021年度の改正で対象になった34資格のうちの1つ(一覧の⑮)です。
いつから使えるのか — 診療放射線技師は令和9年4月以降
ここが一番知りたいところだと思います。デジタル庁が公表している最新のスケジュール(2026年6月版)では、資格が3つの波に分けられています。
| 時期 | 資格数 | 主な資格 |
|---|---|---|
| 開始済み 令和6年8月〜令和8年3月 | 21資格 | 介護福祉士・社会福祉士・公認心理師・社会保険労務士・保険医・保険薬剤師・税理士・労働安全衛生法に基づく免許ほか |
| 開始予定 令和8年4月〜令和9年3月 | 28資格 | 医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科技工士・歯科衛生士・管理栄養士ほか |
| 開始予定 令和9年4月以降 | 81資格 | 診療放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・衛生検査技師ほか |
診療放射線技師は3つ目の波=令和9年(2027年)4月以降です。資料では81資格をまとめた※4の脚注に名前が入っており、「準備の整った資格より順次オンライン・デジタル化を開始(資格毎に調整中)」とされています。
注目したいのは医師・看護師が1つ前の波(令和8年4月〜令和9年3月)にいることです。同じ医療職でも技師は約1年遅れて始まる見込みで、院内で先に運用が変わるのは医師・看護師のほうになります。
技師と同じ令和9年4月以降の波には、検査で日常的に連携する職種がまとめて入っています。臨床検査技師・臨床工学技士・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・衛生検査技師。リハビリ職や検査系の国家資格が、技師と同じタイミングでまとめてデジタル化されるという絵姿です。
注意:この時期は「予定」です。資料には「準備の整った資格より順次」「資格毎に調整中」と書かれており、令和9年4月にいっせいに始まるわけではありません。前倒しも後ろ倒しもあり得ます。実際の開始は厚生労働省の資格申請案内とマイナポータルの告知で確認してください。
| 時期 | できごと | 診療放射線技師との関係 |
|---|---|---|
| 2021年度 (令和3年) | 番号法改正で34資格が対象に | 対象入り(⑮)。マイナンバー利用が法的に可能になった |
| 2023年度 (令和5年) | 番号法等改正で48資格が追加 | エックス線作業主任者など周辺資格がここで対象入り |
| 2024年8月6日 | システム提供開始・最初の4資格が稼働 | まだ対象外(介護福祉士など福祉系が先行) |
| 2025年〜 2026年3月 | 対象が順次拡大し計21資格が稼働 | まだ。エックス線作業主任者などはこの間に開始 |
| 2025年6月2日 | 利用拡大の共通化推進方針を決定 | 資格別の工程表が示される |
| 令和8年4月〜 令和9年3月 | 医師・歯科医師・薬剤師・看護師など28資格 | まだ。先に医師・看護師が始まる |
| 令和9年4月以降 | 81資格が順次スタート予定 | 診療放射線技師の開始予定 |
メリット — 何がラクになるのか
推進方針が挙げる資格保有者側のメリットは、大きく3つです。
資格試験の合格者が行う資格登録申請や、資格保有者が行う氏名変更等の手続きがオンラインで可能になります。窓口に行く・郵送する必要がなくなります。
システムが住基ネットと戸籍情報連携システムAIに直接つながるため、本人が役所で証明書を取る工程が丸ごと消えます。
名簿情報をもとに生成され、電子署名で改ざんを検知できる形式。QRコードから検証ページで真正性を確認してもらえます。
技師の生活で、具体的にどこが変わるか
結婚・離婚などで姓が変わったときが、最も分かりやすい変化です。現在は籍訂正・書換え交付AIの申請書に戸籍抄本を添えて出す必要があり、30日以内AIという期限もあります。これがスマホで完結し、添付書類が要らなくなります。
新卒で免許を取るときも同じです。国家試験に合格したあと、合格証だけでは働けず、診療放射線技師名簿への登録AIが必要です。この登録申請がオンライン化されます。国家試験対策の準備と並行して、手続きの流れも確認しておくとよいでしょう。
転職・入職のときには、デジタル資格者証が効いてきます。いまは免許証の原本を持参してコピーを取られる、という運用が一般的ですが、電子的に提示・送信できるようになります。応募書類の準備で「免許証どこにしまったっけ」と探す時間が減るのは、地味ですが実利があります。
雇う側・管理する側のメリット
推進方針は資格管理者側の効果として「申請の受付や審査の迅速化とコスト削減」「戸籍情報連携システム等と連携することによる管理情報の正確性の向上」を挙げています。
後者は施設運営の観点で見逃せません。名簿が住基ネット・戸籍情報連携システムと同期するため、資格が失効・変更されているのに古い情報のままになる、という状態が起きにくくなります。主任者の選任届出のように「有資格者であること」を前提に成立する届出でも、確認の確度が上がります。放射線障害予防規程を整備する場面でも、有資格者の把握が正確になります。
デメリット・注意点 — まだ決まっていないことがある
「免許証がスマホに入る」といった伝わり方をしがちですが、政府方針の文言を追うと、そこまでは決まっていません。誤解しやすい点を整理します。
① デジタル資格者証は、まだ「免許証の原本」ではない
推進方針の第4章に、こう書かれています。「免許証等のデジタル化及び交付手続における検討に当たっては、本システムにおけるデジタル資格者証を免許証等の原本とすることについて、当該システムの活用状況を踏まえつつ関係者と協議の上で検討する」。
つまり現時点では「原本にするかどうかを、これから検討する」段階です。当面は紙の免許証が原本として残り、デジタル資格者証はそれを証明する手段の1つ、という位置づけになります。紙の免許証を捨ててはいけません。
「デジタル化されたから紙の免許証はもう不要」——誤りです。原本性の扱いは未確定で、2025年度中に「携帯義務がある場合にデジタル資格者証で代替できないか」「提示等義務がある場合に送信等で代替できないか」を調査・検討するという段階にあります。制度が追いつくまでは、紙が正です。
② マイナンバーカードが実質的な前提になる
この仕組みはマイナンバーカードの電子証明書AIで本人確認を行います。カードを持っていない、あるいは電子証明書の有効期限が切れていると、オンライン手続きは使えません。
電子証明書の有効期限は発行から5回目の誕生日まで(カード本体は10回目の誕生日まで)。ここが切れていると、いざ申請しようとした日に手続きできません。カードを持たない人のために紙の手続きは残る想定ですが、利便性の差は開いていきます。
③ 「オンライン化された=経由事務が消えた」ではない
診療放射線技師は工程表で「経由事務の廃止等を検討している資格」に分類されています。現在は都道府県(保健所)を経由して申請する仕組みですが、この経由を廃止するかどうかは、システム導入とセットで各府省庁が協議中です。
推進方針は「効率化が図られる必要な体制整備が整い次第、オンラインによる手続の場合には、都道府県の経由を要しないことを基本とする」と書いています。方向は明確ですが、「体制整備が整い次第」という条件付きである点は押さえておきましょう。
④ 資格ごとに「できる手続き」が違う
推進方針には「利用開始時に可能な手続は資格ごとに異なる」と明記されています。先行した資格でも、最初は氏名変更だけ、といったケースがありました。診療放射線技師で何がどこまで開放されるかは、開始時の厚生労働省の案内を確認する必要があります。
⑤ 情報が集約されることへの不安をどう考えるか
資格情報がマイナンバーに紐づくことに抵抗を感じる人もいます。制度上は、名簿情報を扱うのは資格管理者であり、デジタル資格者証には電子署名による改ざん検知AIが組み込まれています。ただし「誰に何を提示するか」は保有者が選ぶ設計なので、提示先を絞る運用リテラシーは本人側にも求められます。医療者としての個人情報の扱いと同じ感覚で構えておくのが安全です。


技師に関連する資格は、どこまで対象か
診療放射線技師本人の免許だけでなく、業務で必要になる周辺資格も対象に入っています。ここは意外と知られていません。対象は3回の法改正で段階的に広がっており、2023年度(令和5年)の法改正で、労働安全衛生法AIによる免許がまとめて対象になったためです。
| 資格 | 開始時期 | 技師との関係 |
|---|---|---|
| 診療放射線技師 | 令和9年4月以降 | 本体の免許。81資格のグループ |
| エックス線作業主任者AI | 開始済み | 工業用X線など。労働安全衛生法に基づく免許としてすでに開始=技師本体よりずっと先 |
| ガンマ線透過写真撮影作業主任者AI | 開始済み | 非破壊検査領域。同じくすでに開始 |
| 作業環境測定士AI | 令和9年4月以降 | 放射性物質を含む作業環境の測定業務 |
| 労働衛生コンサルタントAI | 令和9年4月以降 | 労働衛生管理のコンサルティング。技師のキャリア拡張先の1つ |
| 第一種・第二種衛生管理者AI | 令和9年4月以降 | 院内の衛生管理体制。技師が取得しているケースも多い |
| 放射線取扱主任者 | 令和9年4月以降 | 環境省(原子力規制委員会)区分。技師本体と同じ波 |
| 臨床工学技士・臨床検査技師 | 令和9年4月以降 | チーム医療の同僚職種。ほぼ同時期にデジタル化 |
| 医師・看護師 | 令和8年4月〜令和9年3月 | 技師より約1年早い |
意外な順番:労働安全衛生法に基づく免許はすでに開始済みのグループです。つまりエックス線作業主任者・ガンマ線透過写真撮影作業主任者は、診療放射線技師本体よりずっと早くデジタル化されています。技師本体は令和9年4月以降。持っている資格によって、先に手続きが変わるものと後から変わるものがあるということです。
対象に入っていないもの:この制度の対象は国家資格等です。学会・団体が認定する資格——たとえば検診マンモグラフィ撮影認定技師AI、核医学専門技師AI、放射線治療専門放射線技師AI、X線CT認定技師AIなどは対象外です。国が交付する免許ではないためで、従来どおり各認定団体の手続きが続きます(国家資格である放射線取扱主任者とは扱いが異なります)。
放射線取扱主任者も対象に入った(令和7年改正)
気になるのが放射線取扱主任者です。第1種・第2種・第3種の免状は原子力規制委員会AIが交付する国家資格ですが、令和7年AI(2025年)の番号法等改正で対象に加わりました。この改正で追加されたのは44資格で、放射線取扱主任者は環境省(原子力規制委員会)の区分に、核燃料取扱主任者AI・原子炉主任技術者と並んで記載されています。
開始時期は令和9年4月以降のグループで、診療放射線技師と同じ波です。個別の年月は示されておらず「準備の整った資格より順次(資格毎に調整中)」とされています。
補足:放射線取扱主任者の免状交付・訂正・再交付は、現在は様式第50AIの様式で申請し、本籍記載の住民票を添付します。デジタル化されればこの添付が不要になりますが、切り替わるまでは従来の様式での手続きが続きます。
いま、技師がやっておくべきこと
令和9年4月以降の開始に向けて、いまのうちに済ませておくと詰まらないことが4つあります。まだ先の話に見えますが、①と②は期限切れに気づくのが当日だと詰むタイプなので、早めが安全です。
署名用AI・利用者証明用ともに発行から5回目の誕生日まで。切れていると当日に手続きできません。更新は市区町村の窓口で行います(マイナンバーカード総合サイト)。
暗証番号を忘れているケースが非常に多いです。3回間違えるとロックされ、窓口での再設定が必要になります。事前に一度ログインを試しておきましょう。
原本性は未確定です。デジタル化後も紙が正である期間が続きます。登録番号と登録年月日AIを控えておくと、各種申請で役立ちます。
結婚等で姓が変わったのに籍訂正をしていない場合、名簿の情報と戸籍が食い違います。デジタル化後の連携で不整合が表面化する可能性があるため、先に解消しておくのが安全です。
- 診療放射線技師の利用開始予定は令和9年(2027年)4月以降。81資格のグループで資格毎に調整中。
- 医師・看護師は令和8年4月〜令和9年3月と1つ前の波。技師は約1年遅れ。
- メリットはオンライン完結・添付書類不要・デジタル資格者証の3つ。
- デジタル資格者証はまだ免許証の原本ではない。紙は捨てない。
- エックス線作業主任者・ガンマ線透過写真撮影作業主任者は開始済み(労働安全衛生法に基づく免許)。放射線取扱主任者・作業環境測定士は技師と同じ令和9年4月以降。
- 学会認定資格(核医学専門技師など)は対象外。
- いま打てる手は電子証明書の期限確認・マイナポータルへのログイン確認・紙免許証の保管・氏名変更の未手続き解消。
参考文献
デジタル庁「国家資格等オンライン・デジタル化の開始について」2026年6月版(令和8年度以降の対応スケジュール=開始済み21資格/令和8年4月〜令和9年3月の28資格/令和9年4月以降の81資格※4に診療放射線技師)
デジタル庁・内閣府地方分権改革推進室・国家資格を所管する府省庁「国家資格等情報連携・活用システムの利用拡大に係る共通化推進方針」令和7年6月2日決定(デジタル資格者証の原本性の検討状況・経由事務の廃止方針)
デジタル庁「国家資格等オンライン・デジタル化の開始について」2026年1月版(令和7年度以降の対応スケジュール/令和7年番号法等改正の44資格=放射線取扱主任者を含む)
デジタル庁「国家資格等のオンライン・デジタル化」(デジタル資格者証の使い方・利用開始済み資格)
デジタル庁「国家資格等オンライン・デジタル化の開始について」2024年8月6日
厚生労働省「資格申請案内(医療関係国家資格)」(診療放射線技師の免許申請・籍訂正・書換え交付・再交付の手続き)
内閣府「国家資格等オンライン・デジタル化の概要」地方分権改革有識者会議 提案募集検討専門部会 資料











