レントゲン・CT・MRIは、何がちがうの?|検査のえらび方をやさしく解説
検査を受ける方へ
レントゲン・CT・MRIは、何がちがうの?
「どれが一番いい検査ですか」とよく聞かれます。じつは、どれか一つが万能ということはありません。3つのちがいを、やさしくご説明します。
- 検査に「一番いい」はなく、調べたいものによって使い分けること
- レントゲンは全体をすばやく見るのが得意なこと
- CTは体を輪切りにして、奥を数秒で調べるのが得意なこと
- MRIは放射線を使わず、やわらかい部分を見るのが得意なこと
「どれが一番いい」と言えないわけ
3つの検査は、カメラにたとえるとちがいがわかりやすくなります。
全体をすばやく見る
奥を数秒でくわしく
神経や筋肉を見分ける
骨折が心配なときは、骨がよく写るレントゲンやCTが「一番いい検査」になります。スポーツで靭帯(じんたい)を痛めたかもしれないときは、やわらかい部分が写るMRIが「一番いい検査」です。
時間も大切な条件です。救急車で運ばれた方には、数十分かかるMRIより、数秒で撮れるCTのほうが適しています。お医者さんは「何を調べたいか」「どれくらい急ぐか」「体内に金属がないか」を組み合わせて選んでいます。
- すべてが見える万能な機械はありません
- 調べたいものによって、選ぶ検査が変わります
- 急ぐかどうか、体内に金属がないかも判断の材料です
レントゲンが得意なこと
レントゲンのいちばんの強みは、一瞬で体の広い範囲を確認できることです。
息が苦しい、せきが出るというとき、まず胸のレントゲンを撮ります。1秒ほどの撮影で、肺に水がたまっていないか、肺炎の影がないか、心臓が大きくなっていないかを、1枚の写真で確かめられます。転んで腕を痛めたときも、骨が折れていないかをすぐ判断できます。
体への負担が少ないことも特長です。着替えを入れても数分で終わり、息を止めるのは数秒だけ。トンネルに入る必要もなく、費用もいちばん安く済みます。
苦手なのは、奥にあるものが重なって見えにくいことです。体は立体ですが、レントゲンは1枚の平らな写真にするため、心臓のうしろに隠れた小さな影などは見つけにくくなります。そこを補うのが、次のCTとMRIです。
CTが得意なこと
CTの得意技は、体を輪切りにして、奥に隠れたものを数秒で見つけることです。
体のまわりから放射線をあてながら回転し、そのデータから断面の画像を作ります。レントゲンでは重なって見えなかったところも、パラパラ漫画のように1枚ずつ引き出して見られます。とくに得意なのは、肺、骨、そして出血です。くわしい流れはCT検査を受ける方へでご説明しています。
もうひとつの強みは速さです。新しい機械なら、頭から足まで撮っても、息を止めるのは5〜10秒ほど。じっと寝ているのがつらい方や、急いで運ばれてきた方でも、すぐに体の中の様子を確かめられます。
気をつける点は放射線を使うことです。レントゲンより多くの放射線を使うため、必要なときにしぼって、できるだけ少ない量で撮るのが決まりになっています。

見た目は似ているけれど、中身はまったく違うんだ。CTはドーナツの幅がせまいから、顔が外に出ていることが多くて、圧迫感は少なめ。MRIは強い磁石を使うので土管のように長いトンネルになる。ここが少しつらいところなんだよ。
MRIが得意なこと
MRIの強みは、やわらかい部分のちがいを、くっきり見分けられることです。
CTは骨のような硬いものが得意でした。いっぽう、脳の神経、脊髄(せきずい)、筋肉、靭帯などのやわらかい部分は、CTではどれも似た灰色になってしまいます。MRIは強い磁石と電波を使って体の中の水分の様子を読み取るため、「ここは正常な筋肉」「ここは炎症を起こしている」といったちがいを、白黒の濃淡で見分けられます。
放射線をまったく使わないことも大きな利点です。被ばくを気にせず、くわしい断面の画像を撮れます。
いっぽうで、負担になる点もいくつかあります。まず時間がかかること。1か所撮るのに20〜40分ほどかかり、その間じっとしている必要があります。次に大きな音とせまさ。工事現場のような音が鳴るトンネルに入ります。そして金属が持ち込めないことです。当日の準備はMRI検査を受ける方へにまとめています。
3つをくらべてみる
受ける前に知っておきたいちがいを、表にまとめました。
| 項目 | レントゲン | CT | MRI |
|---|---|---|---|
| 得意なもの | 肺・骨の全体 | 骨・出血・肺のくわしい断面 | 脳・神経・筋肉・靭帯 |
| しくみ | 放射線 | 放射線 | 磁石と電波 |
| 被ばく | あり(ごく少ない) | あり(やや多い) | なし |
| かかる時間 | 1〜3分 | 5〜15分 | 20〜40分 |
| 音 | 静か | 静か | とても大きい |
| せまさ | ほぼなし | 少なめ | トンネルに入る |
| 体内の金属 | 問題なし | 問題なし | 受けられないことがある |
この表を見ると、なぜ「とりあえず全部MRIで」とならないのかがわかります。事故で運ばれた方に、20分かかって金属も持ち込めないMRIを最初に行うのは現実的ではありません。逆に、腰の痛みで神経を見たいときは、被ばくなしで神経がはっきり見えるMRIを1回受けるほうが、負担が少なくて済みます。
当日の流れのちがい
しくみが違うので、当日おねがいすることも変わります。
撮るところの服を脱ぐか検査着に着替えます。金属のボタン、ホック、湿布は白く写るので外します。息を数秒止めて終わりです。
着替えのきまりはレントゲンとほぼ同じです。検査台にあおむけに寝て、案内に合わせて「吸って、止めて」を数回くり返します。動くとぶれるので、力を抜いてじっとしていてください。
検査室は強力な磁石がいつも働いているため、金属は持ち込めません。時計・スマートフォン・鍵はもちろん、保温下着、カラーコンタクト、マスカラも外していただきます。体内に金属がないか(心臓ペースメーカーや手術で入れた金属など)も、問診票で事前に確認します。
- 撮るところの金属(ボタン・ホック・湿布)は外します
- CTは数秒の息止めが大切です。力を抜いて動かないでいてください
- MRIは化粧や下着まで確認します。心配なことは先にお伝えください
迷いやすいこと
造影剤(ぞうえいざい)は、血管や臓器を白く浮き上がらせて、病気を見つけやすくするお薬です。使ったあとは「お水をたくさん飲んでください」とご案内します。お薬を早く体の外に出すためです。ぜんそくや、以前に副作用が出たことがある方は、必ず前もってお伝えください。
予約と待ち時間について。レントゲンはその日にすぐ撮れますが、CTやMRIは1人あたりの時間が長いため、予約制のことがほとんどです。数週間待つこともありますが、これは「急いで撮らなくても大丈夫」と判断されているからです。
別の病院での撮り直しを不満に思う方もいらっしゃいます。これは、前のデータが古くなっていたり、手術に向けてもっと細かい画像が必要だったりするためです。負担をおかけしますが、安全に治療を進めるための判断です。
放射線について、よくあるご心配
日本で1年間に受ける放射線は、平均でおよそ4.7ミリシーベルトと推定されています。このうち2.1ミリシーベルトは自然に浴びるもの、2.6ミリシーベルトが医療によるものです(環境省の資料より)。
ミリシーベルトという単位のイメージがつかめると、数字の意味がわかりやすくなります。検査ごとに国内で目安がまとめられていて、必要な画像が得られる範囲で、できるだけ少ない量になるように調整しています。MRIと超音波は放射線を使わないため、被ばくはありません。
レントゲンだけですべてを見つけるのは難しいのが正直なところです。心臓や骨のうしろに隠れた小さなものは写らないことがあります。より早く見つけるためには、CTを使った検診を組み合わせることがすすめられています。
3割負担の場合、造影剤を使わないCTでおよそ4,000〜5,000円、MRIでおよそ6,000〜8,000円が目安です。MRIのほうが少し高くなります。撮る部位や造影剤の有無、病院によって変わります。
横が開いている「オープン型」のMRIがある病院なら、圧迫感が少なく受けやすくなります。ただしトンネル型にくらべて時間が長くなることがあります。事前に病院にご確認ください。手元のブザーはいつでも押せますので、つらいときは遠慮なく呼んでください。
歯科で使われるインプラント(チタン製)や銀歯、金歯は、磁石に強く引き寄せられる材質ではないため、基本的にそのまま受けられます。ただし口の周りを撮るときに画像が歪むことがあります。念のため問診票には必ずご記入ください。
妊娠している、またはその可能性があることを、必ず前もってお伝えください。おなかや骨盤のCTは、特別な理由がないかぎり避けます(胸や頭のCTはおなかから離れているため影響はごくわずかです)。MRIは被ばくがありませんが、妊娠初期は慎重に判断します。妊娠中・授乳中の検査が不安な方へもあわせてご覧ください。
急ぐ場合はその場で医師が確認します。通常の予約検査では、撮影した何百枚もの画像を専門の医師がていねいに確認して報告書を作り、それをもとに主治医から説明があるため、数日から1週間ほどかかるのが一般的です。
参考文献
- 環境省: 年間当たりの被ばく線量の比較(日本人の平均4.7ミリシーベルト/自然2.1・医療2.6ミリシーベルト)
- 公益社団法人 日本医学放射線学会: 市民の皆様へ|放射線科の紹介(X線写真・CT・MRI・超音波・核医学の説明)
- 一般社団法人 日本磁気共鳴医学会: 安全性情報(MRI検査の安全に関する情報)













