REIMBURSEMENT 2026 · RADIOTHERAPY · お金と制度

IMRT緩和と寡分割の一連評価|「地方格差の是正」か「集約化の加速」か、技師が読む改定の二面性

令和8年度の診療報酬改定で、IMRTは遠隔の支援施設と組めば常勤医1名でも届け出られるようになり、全乳房照射と前立腺IMRTは回数ではなく一連で算定する形に変わりました。地方でも高精度治療ができると歓迎する声がある一方、支援する側は大きな病院であり、集約化を進める仕組みにもなりえます。告示と通知で中身を確かめ、両面から読みます。

IMRT STAFF 2→1名 遠隔の支援施設と組む場合の、実施施設の常勤医の要件。対象は人口減少地域の拠点病院等に限られる[2]
PROSTATE IMRT 96,500点 前立腺照射のIMRTは一連の評価。腫瘍の位置情報によるIGRT加算も一連で9,000点[3]
WHOLE BREAST 41,500点 乳癌の全乳房照射も一連の評価。IGRT加算・呼吸性移動対策加算は一連でそれぞれ2,400点[3]
CONTENTS

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01 · WHAT CHANGED

改定で何が変わったか

令和8年度の改定率は、診療報酬本体で令和8・9年度の2年度平均+3.09%です[1]。放射線治療で大きいのは次の2つです。

IMRTの常勤医1名特例

IMRTの施設基準は、放射線治療を専ら担当する常勤医師2名以上(うち1名は経験5年以上)が原則です。令和8年度は人口減少地域の提供体制を守るため、条件を満たせば常勤医1名で届け出られる規定ができました(施設基準通知 第83の3 1(3))[2][4]。

項目従来令和8年度の特例
実施施設の常勤医2名以上(1名は経験5年以上)1名(経験5年以上)
対象の施設制限なし地域がん診療連携拠点病院、または体外照射が年間200症例以上の地域がん診療病院。同じがん医療圏にIMRTの届出施設がないこと
支援する側―特定機能病院・都道府県がん診療連携拠点病院・地域がん診療連携拠点病院で、常勤医3名以上(うち2名以上が経験5年以上)。支援する医師1名につき2施設まで
設備と運用―セキュリティ対策をした遠隔放射線治療システム、第三者機関による出力線量の評価、支援施設の医師と常に連絡がとれる体制

出典:特掲診療料の施設基準等通知(令和8年3月5日 保医発0305第8号)第83の3[2]。

全乳房照射と前立腺IMRTの一連評価

前回まで1回ごとに算定していた照射料が、乳癌の全乳房照射と前立腺癌のIMRTに限って、分割の回数にかかわらず一連の定額になりました。あわせて一回線量増加加算(全乳房690点・前立腺IMRT1,400点)は廃止です。寡分割照射(全乳房は1回2.5Gy以上、前立腺は1回3Gy以上)で行う場合は、別に施設基準の届出が要ります[3][4]。

区分一連の点数IGRTなどの加算
M001 2イ 乳癌の全乳房照射41,500点IGRT加算・呼吸性移動対策加算は一連でそれぞれ2,400点
M001 3イ 前立腺癌の前立腺照射(IMRT)96,500点腫瘍の位置情報によるIGRT加算は一連で9,000点

このほか、粒子線治療には15歳未満への小児放射線治療加算7,000点が新しく付きました[3]。改定全体の読み方は診療報酬改定2026 放射線部門ガイドにまとめています。

TALK

地方の中規模病院で働くLINAと、ラッコ先輩が、改定の受け止め方を対話形式で整理します。

LINA
LINA

うちは地方の中規模病院なので、IMRTの緩和はうれしいニュースだと思ったんです。でも先輩たちは「結局、大病院頼みでは」と言っていて……。

ラッコ先輩
ラッコ先輩

どちらも当たっているんだよ。表向きは地方でもIMRTを使えるようにする改定。でも支援する側は大きな病院だから、集約を前提にした仕組みとも読める。一連の点数になったのも、回数を減らせる施設ほど回転がよくなる設計だね。両方の面を数字で見ていこう。

02 · VOICES ON X

改定直後の現場の声

答申の公表直後、Xには放射線治療に関わる人の反応が相次ぎました。寡分割の方向性への理解と、集約化への懸念が入り混じっています。

01 「寡分割推し、IMRTは遠隔+施設限定で医師1名」 @YSIKSK のポスト。乳癌と前立腺は一連で1回の算定、IGRTの項目から体表照合16回・腫瘍照合20回のイメージと読んでいる。ポストを見る
02 「人口減少地域でのIMRT施設基準を緩和」 @shimoi_oncology のポスト。個別改定項目の該当ページを示し、条件付きで常勤1名+遠隔共同を可とする点を整理。ポストを見る
03 「田舎限定的緩和」 @NaoK_RAD のポスト。CTの128列の区分とあわせ、IMRT要件の緩和を率直にこう表現。ポストを見る
04 「集約化前提の施設基準」 少人数で地域医療を支える地方の中小病院は想定していないように見える、という声(@dance_ameame)。ポストを見る

歓迎する側は「寡分割の標準化は合理的で、地方の治療へのアクセスがよくなる」と見ています。懸念する側は「緩和は大病院に頼る入り口で、地方の中小病院は結局取り残される」と見ています。

03 · TWO SIDES

二面性を技師目線で読む

格差の是正につながる3つの要素

導入のハードルが下がる

常勤医1名でもIMRTを届け出られれば、患者が治療のために都市部へ移る負担が減ります。通院距離が短くなることは、高齢の患者の生活に直結します。

治療期間が短くなる

寡分割を採れば、前立腺は通常分割の37〜39回前後から20回程度、全乳房は25回前後から16回程度に減らせます(回数は施設のプロトコルによる)。遠くから通う患者には大きな違いです。

計画の力が見える

遠隔支援のつながりの中で、技師の計画立案や線量管理の力が、施設の実力として見えるようになります。

集約化を進める4つの構造

01 支援先への依存
支援する側は特定機能病院や拠点病院。実施施設は計画の判断を外に頼る形になり、事実上のサテライトになりうる
02 対象が限られる
特例を使えるのは拠点病院等で、しかも同じがん医療圏に他のIMRT施設がない場合だけ。拠点病院の指定を保てなければ特例の受け手にもなれない
03 件数の少ない施設に重い
一連の定額は回数を減らした施設ほど効率がよくなる。症例が少ない施設では、装置と人の固定費を回収しにくい
04 技師のスキル差が開く
IMRTの計画、線量管理、遠隔支援への対応ができる技師とそうでない技師で、求められ方の差が大きくなる

2〜4は本記事の見立てです。施設ごとの症例数や地域の事情で結論は変わります。

LINA
LINA

「田舎限定的緩和」「集約化前提」……現場の人が感じている違和感がそのまま出ていますね。

ラッコ先輩
ラッコ先輩

だから「いい改定か悪い改定か」で止まらないこと。うちの施設の症例数と地域の事情で、特例を使うのか、寡分割で回転を上げるのか、それとも別の強みを伸ばすのか。選ぶのは施設と私たち自身だよ。

04 · NEXT ACTIONS

自施設で確かめること

項目を押すと、進み具合がこの端末に保存されます。

改定を自施設に当てはめる 0 / 5 完了
✓ 特例の対象か 拠点病院等に当たるか、同じがん医療圏にIMRTの届出施設がないか
✓ 支援を受けられる施設があるか 常勤医3名以上の特定機能病院・拠点病院と、遠隔の体制を組めるか
✓ 寡分割の届出が要るか 全乳房1回2.5Gy以上・前立腺1回3Gy以上で行う予定があるか
✓ 一連評価での収支 年間の症例数と分割回数で、前回の算定と比べてどう変わるか
✓ 計画を支える人の育成 IMRTの計画補助を学ぶ機会を確保できているか
5項目を確かめました。数字で比べたいときは、経営戦略の記事のシミュレーターを使ってください。

施設の戦略を3つの型で比べ、収支を試算する方法は放射線治療の経営戦略2026で扱っています。計画を支える人の育成には、IMRT照射計画補助作業研修会が使えます。

SUMMARY

本記事のまとめ

  • IMRTの常勤医1名特例:拠点病院等で、同じがん医療圏に他のIMRT施設がなく、遠隔の支援施設と組む場合に限る
  • 一連評価:全乳房照射41,500点・前立腺IMRT96,500点。一回線量増加加算は廃止
  • 二面性:地方の治療アクセスを広げる一方、支援する大病院を中心にした集約の仕組みにもなりうる
  • 技師に求められること:自施設の症例数と地域の事情から、どの道を選ぶかを数字で考える
REFERENCES

参考文献

  1. [1]厚生労働省:診療報酬改定について(令和7年12月24日 予算大臣折衝・改定率と内訳)
  2. [2]厚生労働省:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号)第83の2・第83の3
  3. [3]厚生労働省:診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 別表第一 医科診療報酬点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)
  4. [4]中央社会保険医療協議会 総会:個別改定項目について(令和8年2月13日)人口減少地域におけるIMRTの施設基準の見直し

確認日:2026年11月6日。点数と要件は告示・通知の原本で確かめています。

RadiTech FIRE · 治療計画も、人生計画も IMRT緩和と寡分割の一連評価
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