【2026年最新版】放射線治療専門放射線技師 合格教材ガイド|標準テキスト第2版と計測プロトコル24

RTRS CERTIFICATION · TEXTBOOK STRATEGY 2026
放射線治療専門放射線技師 合格教材ガイド
市販の対策書が少ないこの試験で、何を買い、どの順に読むか。公式テキスト第2版・線量計測プロトコル・図解ノートの3本柱を、認定機構の一次情報と突き合わせて設計する。
- 軸は①の公式テキスト第2版。認定機構が監修し、機構の出版事業ページにも掲載される事実上の公式教材。
- 線量計測は「12だけ」では足りない。2024年3月にリニアック標準計測法24が制定され、第2版にも対応章が新設された。
- ③図解ノートは必須ではない。暗記より理解でつまずくタイプの保険。予算が限られるなら後回しでよい。
- 教材より先に日程を押さえる。申込は6月上旬のわずか6日間で、認定教育セミナーの受講が受験の前提。
この資格が「あると望ましい」で終わらない理由
放射線治療専門放射線技師は、日本診療放射線技師会・日本放射線技術学会・日本放射線腫瘍学会が協調して2005年に設立した機構を前身とする、一般社団法人日本放射線治療専門放射線技師認定機構が認定する専門資格です。
この資格を「持っていれば箔が付く」程度に捉えていると、価値を見誤ります。認定機構が明示しているとおり、制度側がこの資格を名指しで求めている場面が2つあります。
拠点病院要件/先進医療の実施体制
診療業務経験(通算)
受験は必須10単位以上/更新は必須5単位以上を含む
制度が名指しする2つの場面
- がん診療連携拠点病院等の整備指針(令和4年8月1日 健発0801第16号)で、拠点病院の指定要件として放射線治療に関する専門資格を有した診療放射線技師の配置が「望ましい」とされ、本認定資格がこれに該当します。
- 先進医療としての陽子線・重粒子線治療AIの実施体制について、平成28年3月25日 厚生労働省告示第九十号で放射線治療専門放射線技師の配置が「必要」とされています。「望ましい」ではなく必置です。
つまりこの資格は、個人の名刺の飾りではなく施設が算定・指定を維持するための人的要件に組み込まれています。だからこそ、施設側が受験を後押ししてくれるケースも多い。上司に相談する価値のある資格です。
教材より先に押さえる ─ 受験までの実務フロー
この試験の落とし穴は、勉強量ではなく手続きの窓の狭さにあります。令和8(2026)年度を例に、実際のスケジュールを一次情報から並べます。次年度も同じ骨格になる可能性が高いので、逆算の型として使ってください。
実質6日間。機構は「申請不備による再提出を含め、締め切り後は理由によらず対応できかねます」と明記しています。
書類審査に通った人だけが受験可能。結果はメール通知で、審査後にクレジットカード決済で受験手数料を納付します。
受講は必須で、受験申込に包含されます。令和4年度以降は受験者のみが対象。ここが実質的な出題範囲の宣言でもあります。
第1回(2005年8月)以降、毎年8月下旬〜9月上旬に実施されています。
見落とすと痛い ─ 関数電卓は使用不可
令和8年度の受験案内で、「関数電卓は使用できない」ことが明記されました。線量計測の計算に慣れた人ほど、普段は関数電卓を前提に手順を組み立てているはずです。
これは学習方法に直結します。補正係数の計算を「関数電卓なら一発」で処理する癖がついていると、本番で詰まります。普通電卓でも解ける形に式を分解しておく練習を、日頃の演習に混ぜておきましょう。指数や対数が絡む処理をどう回避・近似するかは、事前に手を動かしていないと当日には思いつきません。
※受験年度ごとに条件が変わり得ます。必ず自分の受験年度の受験案内で確認してください。
受験資格 ─ 4つの要件
- 診療放射線技師の免許を有すること
- 放射線治療の診療業務を通算5年以上おこなっていること(様式3の従事証明書は施設長の公印による証明が必要)
- 日本放射線腫瘍学会・日本放射線技術学会・日本診療放射線技師会のいずれかに入会して5年を経過していること
- 申請時から過去5年以内に認定単位を20単位以上取得していること(うち10単位以上は機構が定める必須単位である必要があります)
注意したいのが単位の数え方です。機構は「JRCの参加証明は算定不可。放射線治療部会への参加証明が必要」「都道府県技師会の学術大会は個別認定を除き対象外」「同じ研究会の年度内複数回算定は不可」と、よくある申請ミスを名指しで挙げています。単位は5年かけて積むものなので、受験を決めた年に慌てても間に合いません。今日から証明書を1か所に集める習慣をつけてください。
出題範囲は公表されている ─ 2階建ての試験構造
ネット上の対策情報は「物理・計測・治療計画・照射技術・QA」といった大づかみな5分野で語られがちです。しかし認定機構は試験科目を公表しています。しかもこの試験は2階建ての構造になっており、そこを理解しないまま教材を選ぶと勉強の重心を間違えます。
基礎的専門知識の考査
治療技術・計測・物理
大項目・中項目・小項目まで
1階:専門基礎領域(10科目)
まず、次の10科目について基礎的専門知識に関する考査が実施されます。
| 科目 | 性格 | 主軸となる教材 |
|---|---|---|
| 放射線腫瘍学 | 臨床・疾患 | ①標準テキスト/③図解ノート |
| 放射線生物 | 理論 | ③図解ノート/① |
| 放射線治療技術 | 実務の中核 | ①標準テキスト |
| 粒子線治療 | 専門領域 | ①+③図解ノート |
| 放射線物理 | 理論・計算 | ①標準テキスト |
| 放射線計測 | 計算・原典依存 | ②計測プロトコル+① |
| 放射線治療機器の品質保証・品質管理 | 実務直結 | ①標準テキスト |
| 放射線看護 | 多職種・患者対応 | ①標準テキスト |
| セーフティマネジメント | 医療安全 | ①+機構の安全関連資料 |
| 放射線安全管理 | 法令・防護 | ①+法令 |
出典:認定機構「認定制度」ページ掲載の試験科目(2020年11月2日更新の要件表記に基づく)。教材の対応づけは本記事による整理です。
2階:統合領域 ─ ここに重心がある
10科目の考査に加えて、放射線治療技術・放射線計測・放射線物理を中心に構成した統合領域の考査があります。つまりこの3科目は2回問われる。教材投資の重心をここに置くのが合理的です。
さらに機構は、統合領域の出題範囲を大項目・中項目・小項目のレベルまで公表しています。過去問が市販されていないこの試験で、これは事実上の設計図です。
| 大項目 | 公表されている中項目・小項目 |
|---|---|
| 放射線治療技術 | 治療装置の機械的精度/品質管理/患者セットアップと画像誘導/IMRT・定位放射線治療/陽子線・重粒子線治療/密封小線源治療/治療計画 |
| 放射線計測 | 不確かさ(計測値の有効数字/不確かさと不確かさの伝播)/線量分布(PDD, TMR, TPR/測定技術/荷電粒子平衡AI/照射法と等線量分布)/線量分布の解析(平坦度, 対称性/DVHAI)/吸収線量評価法(線質指標/X線と電子線の水吸収線量/加速器の出力評価と校正/等価照射野/MU・DMU値計算/小線源γ線の線量計算)/計測機器(取り扱い, 品質管理) |
| 放射線物理 | 放射線の相互作用(光子と物質の相互作用/荷電粒子と物質の相互作用/阻止能AI) |
出典:認定機構「認定制度」ページ「統合領域試験における出題範囲(知識・技能の細目)」。
- 計測は最優先。専門基礎領域の1科目であると同時に統合領域の柱でもあり、公表細目の分量も突出している。②の3,850円が最も効く理由がここにあります。
- 「不確かさ」が細目の筆頭に置かれている。標準テキスト第2版で章が新設されたことと符合します。偶然ではありません。
- ①標準テキストは10科目の大半をカバーする。だから軸になる。
- 放射線腫瘍学・放射線生物・放射線看護は①③頼み。物理計測に時間を吸われて無勉で迎える人が多く、対策コストが低いのに配点があるお得な領域です。
認定教育セミナーも同じ地図を使っています。受験者が必ず受講する令和8年度の認定教育セミナーは、放射線治療技術/放射線計測学(X線)/放射線計測学(電子線)/品質保証・品質管理(治療装置)/品質保証・品質管理(治療計画)/放射線治療概論/粒子線治療/放射線看護/セーフティマネジメント/放射線安全管理の10科目構成でした。計測とQAがそれぞれ2コマに分割されている点が、重心のありかを裏づけています。
軸となる1冊 ─ 放射線治療技術標準テキスト 第2版

- 監修
- 日本放射線治療専門放射線技師認定機構
- 編集
- 奥村雅彦・小口宏・川村愼二・清水秀年・辰己大作・中島大
- 発行
- 医学書院/2026年4月
- 体裁
- B5判・656頁(ISBN 978-4-260-06253-4)
- 価格
- 9,900円(本体9,000円+税)
この本を「第1位」に置く理由は、読みやすさでも網羅性でもありません。認定機構が監修し、機構自身が出版事業として案内しているという一点です。認定試験は原典準拠で出題されるため、他の教材で理解を深めても、最終的な答え合わせはここに戻ってくる。
第2版で何が変わったか
初版(2019年)から200頁以上増えて656頁になりました。単なる刷新ではなく、この7年間の制度・技術の変化を吸収した結果です。受験者にとって決定的な追加は次の2つです。
- 「放射線計測における不確かさ」の章が新設:不確かさ評価は、これまで標準計測法12の付録を自力で読み解くしかなかった領域です。公式テキスト側に章として立ったことは、出題比重が上がるサインと読むのが自然です。
- 「リニアック標準計測法24による水吸収線量評価」の節が新設:2024年制定の新プロトコルに公式テキストが対応しました。後述しますが、ここが今年から受験する人にとって最大の変更点です。
ほかにも外部照射技術・治療計画装置・小線源治療AI・品質保証/医療安全の記述が拡充され、序文では「より臨床的な内容を充実させることに重点を置いた」と述べられています。
中古の初版を買ってはいけない理由
フリマや古書で初版が安く出回っています。予算優先の判断としては理解できますが、この改訂に限っては勧められません。初版は2019年刊で、リニアック標準計測法24(2024年制定)も不確かさの新章も存在しません。つまり今の出題範囲の一部が物理的に載っていない。差分を自分で埋められる人だけの選択肢です。
656頁をどう攻略するか
- 通読しない:656頁を頭から読むと必ず途中で止まります。先に03章で示した試験科目と統合領域の細目を目次に書き込み、科目単位で章を割り当ててから読み始めてください。
- 計算は必ず手を動かす:読んで分かった気になる典型が線量計算です。関数電卓が使えない以上、紙と普通電卓で完走できるかを基準に演習します。
- 実務と接続する:受験者は全員が5年以上の実務者です。「これは昨日のQAでやった手順だ」と紐づけられる箇所は、そのまま長期記憶に入ります。この試験で最強の武器は現場経験です。
計測の原典 ─ 標準計測法12と、並び立った「24」

- 編集
- 日本医学物理学会
- 発行
- 通商産業研究社/2012年9月
- 価格
- 3,850円(税込)
- 守備範囲
- ⁶⁰Coγ線校正の線量計を用いる計測(光子線・電子線・陽子線・炭素線)
標準計測法12は、日本の外部放射線治療における水吸収線量計測の原典です。水吸収線量校正定数 ND,w、各種補正係数(kTP・ks・kpol・kelec)、線質変換係数 kQAI、そして不確かさの評価まで、計測2科目の核心がここに集約されています。3,850円という価格に対して、得られる得点は最も大きい1冊です。
ここが2026年最大の更新点です。「標準計測法12を買えば計測は万全」という説明は、2024年以降は正確ではなくなりました。
2024年、もう一つのプロトコルが制定された
2024年3月、日本医学物理学会が「医療用リニアック装置によって校正された放射線治療用線量計による水吸収線量の標準計測法(リニアック標準計測法24)」を公開しました。重要なのは、これが12の改訂版ではなく、並立する別ルートのプロトコルだという点です。
| 比較軸 | 標準計測法12(2012) | リニアック標準計測法24(2024) |
|---|---|---|
| 校正の線源 | ⁶⁰Coγ線源による校正 | 医療用リニアック装置による校正 |
| 使う場面 | ⁶⁰Co校正を受けた線量計を使う施設 | 高エネルギー光子線・電子線の水吸収線量標準に基づく校正を受けた線量計を使う施設 |
| 準拠 | IAEA TRS-398 系 | TRS-398 および標準計測法12に準拠 |
| 拡張不確かさ (k=2, 光子線) | 相対的に大きい | 1.9%(標準機関クラス)/2.0%(一般施設) |
| 位置づけ | 引き続き有効 | 相補的に運用し校正サービスの冗長性を高める |
出典:日本医学物理学会「リニアック標準計測法24」(2024年3月)本文および付録B。不確かさは相互校正されたフィールド線量計で高エネルギー光子線を計測した場合の見積もり。
プロトコル本文は、この整備の狙いを明確に述べています。⁶⁰Coガンマ線源を用いた校正サービスと医療用リニアック装置を用いた校正サービスを相補的に運用することで、国内の線量計校正サービスの冗長性を高めること。そして将来的にはJCSS校正事業者によって広く提供されることが見込まれています。実際、2025年2月には産総研AIと民間事業者の連携でJCSS校正サービスAIが開始されました。
受験者にとって何が変わるのか
- 公式テキスト第2版に対応節が新設された:出題範囲に入ったと考えるのが自然です。「12だけ読んで臨む」は、第2版が新設した節を丸ごと捨てることになります。
- 「どちらを使うかは校正ルートで決まる」が問われ得る:⁶⁰Co校正なら12、リニアック校正なら24。この分岐を説明できるかは、暗記ではなく理解の確認として出題しやすい形です。
- 不確かさが論点として前に出てきた:第2版の新章と合わせて考えると、不確かさ評価は今後の頻出テーマと見るべきです。数値そのものより、合成標準不確かさと包含係数AIの考え方を押さえてください。
- 機構自身が実習で扱っている:2026年10月の実習型講習会は、産総研で標準計測法24による電離箱校正方法を見学し、筑波大学附属病院で相互校正の実習を行う内容です。機構が力を入れている領域は、そのまま出題の関心領域と重なります。
買い方の現実解:24のプロトコル本文は日本医学物理学会のサイトでPDFが無料公開されています。つまり追加費用はゼロ。書籍として買うのは12だけでよく、24はダウンロードして読めば足ります。この記事で最もコスパのいい行動が、このPDFを今すぐ落とすことです。
.jpg)
違う違う、12は今も現役だよ。うちみたいに⁶⁰Co校正の線量計を使ってる施設は、これからも12で計測する。24は「リニアックで校正した線量計を使う場合の道」が新しく整備された、という話。どっちを使うかは校正ルートで決まる。そこが分かってれば怖くない。
理解の加速装置 ─ 放射線治療 基礎知識図解ノート 第2版

- 発行
- 金原出版/2021年3月(第2版)
- 体裁
- B5判・約430頁
- 価格
- 7,480円(税込)
- 役割
- 概論・粒子線・生物の理解を短時間で立ち上げる
3冊目は性格が違います。①が「答えの根拠」、②が「計測の原典」なら、③は理解に到達するまでの時間を縮める道具です。カラー図版を軸に、放射線生物学の4つのRAI、線量分布、リニアックの装置構造AIといった「文章だけでは像を結びにくい」領域を視覚的に処理してくれます。第2版では物理編の章が新設されました。
正直に書く ─ この本は必須ではない
7,480円は安くありません。そして③の守備範囲は①でも代替できます。この記事が3冊目として挙げているのは、「①だけでは理解が進まない人が一定数いる」という現実に対する保険としてです。次のどれかに当てはまるなら投資する価値があります。
- 文字中心の教科書で過去に挫折した経験がある
- 放射線治療部門の経験年数が要件ぎりぎりで、臨床像の蓄積が薄い
- 粒子線治療AIや小線源など、自施設にない領域が丸ごと弱点になっている
- 後輩指導や学会発表など、資格取得後も使い道がある
逆に、①を読み進められていて、自施設で高精度治療の経験が十分にあるなら、③を買わずにその予算を講習会の参加費に回すほうが合理的です。単位は5年で20必要なのですから。
予算から逆算する ─ 3つの買い方
| プラン | 構成 | 費用 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 最小構成 | ①標準テキスト第2版 +24プロトコル(無料PDF) | 9,900円 | 実務経験が十分にあり、計測も日常業務で触れている人 |
| 推奨構成 | ①+②標準計測法12 +24プロトコル(無料PDF) | 13,750円 | 大半の受験者。計測2科目を原典で固める最もコスパの高い形 |
| 万全構成 | ①+②+③図解ノート +24プロトコル(無料PDF) | 21,230円 | 基礎から積み直したい人・理解に図が要る人 |
価格は2026年8月時点の税込表示。リニアック標準計測法24は日本医学物理学会がPDFを無料公開しているため、どのプランでも追加費用は発生しません。
買う前に確認したい2つのこと
- 職場の図書費が使えないか:この資格は拠点病院の指定要件や先進医療の実施体制に関わります。施設側にも取得の利益があるため、部門の書籍として購入してもらえる可能性は十分にあります。まず上司に相談する価値があります。
- 電子版という選択肢:①は医書.jpで電子版が提供されています。656頁の紙は通勤には重い。検索性を取るなら電子、書き込みを取るなら紙。演習で手を動かす前提なら紙が扱いやすいでしょう。
試験日から逆算する12か月
試験は8月下旬。申込は6月上旬の6日間。この2つの固定点から逆算すると、勉強の開始時期より先に「単位と書類の準備」が来ることが分かります。働きながら受験する人向けに、現実的な12か月の型を示します。
学会在籍年数と単位取得状況を数える。足りなければこの時点で講習会に申し込む。単位は後から遡って取れません。①標準テキストを購入し、公表されている試験科目と統合領域の細目を目次に書き込む。
最も時間がかかる計測2科目から着手。②標準計測法12と24のPDFを並べ、校正ルートの違いを自分の言葉で説明できる状態にする。演習は普通電卓で。
様式3の従事証明書は施設長の公印が要ります。決裁に時間がかかるので4月に動き出す。並行してQA/QC 2科目と放射線安全管理を①で通す。
受付期間内に電子申請。単位取得証明は1ページ1イベントで、右上に区分-番号を明記。押印欄の押し忘れが不備の定番です。
受講は必須。10科目の講義が範囲の再確認なので、ここで自分の弱点を確定させる。受講後〜試験までの1か月半が最終仕上げ期間です。
放射線看護・セーフティマネジメントなど後回しにしがちな科目を回収。計算は関数電卓なしで完走できるか最終確認。
時間が取れない人へ ─ 3か月圧縮版
単位と学会在籍の要件をすでに満たしていて、申込も済んでいる人なら3か月でも間に合います。ただし優先順位を割り切ることが条件です。
- 1か月目:計測2科目に全振り。ここが最も配点を取りやすく、最も時間がかかる。
- 2か月目:QA/QC 2科目+放射線安全管理。実務でやっていることの言語化が中心なので進みが速い。
- 3か月目:概論・粒子線・放射線看護・セーフティマネジメントを①で一気に通す。知らないことを減らす作業で、深掘りはしない。
この試験は受験者全員が5年以上の実務者です。ゼロから覚える試験ではなく、やってきたことに名前と根拠を与える試験だと捉えると、圧縮は効きます。
よくある質問
ありません。必須は①標準テキスト第2版だけです。②標準計測法12(3,850円)は計測2科目に直接効くので費用対効果が高く、大半の人に勧められます。③図解ノートは理解の保険であり、後回しで構いません。なおリニアック標準計測法24は無料PDFなので、必ず入手してください。
古くなっていません。リニアック標準計測法24は12の改訂版ではなく、別の校正ルートに対応する並立プロトコルです。⁶⁰Coガンマ線源で校正された線量計を使う場合は、これまでどおり標準計測法12にしたがって計測します。24のプロトコル本文自身が、両者を「相補的に運用する」と述べています。試験対策としては両方の位置づけを説明できることが要点です。
これから受験するなら第2版を選んでください。第2版では「放射線計測における不確かさ」の章と「リニアック標準計測法24による水吸収線量評価」の節が新設され、初版比で200頁以上増えています。つまり初版には現行の論点が物理的に載っていない箇所があります。価格差を自力の情報収集で埋められる人以外には勧められません。
市販の公式過去問集はありません。ただし過去問の代わりになるものが公表されています。認定機構は試験科目(専門基礎領域10科目)に加え、統合領域の出題範囲を大項目・中項目・小項目まで公開しています。この細目を見出しにして①標準テキストの該当箇所を割り当て、小項目ごとに自分で問いを作るのが最も実践的な代替演習です。出題は原典準拠なので、原典の精読がそのまま過去問対策になります。
令和8年度は関数電卓が使用不可と機構から追記されました(2026年8月5日)。普通電卓での計算を前提に演習しておく必要があります。ただし条件は年度ごとに変わり得るため、必ず自分の受験年度の受験案内と受験票の記載で確認してください。
認定は5年ごとの更新で、前回認定日から5年以内に20単位以上(うち5単位以上は機構が定める必須単位)が必要です。受験時の必須10単位以上とは条件が異なる点に注意してください。更新審査手数料は11,000円(税込)。更新案内は有効期限の約6か月前に登録メールアドレスへ送られるため、キャリアメールではなくPCアドレスを登録しておくよう機構が呼びかけています。取得後も学び続ける前提の資格だと理解しておきましょう。
直前チェックリスト
- 計測(X線):ND,w から水吸収線量に至る式を、補正係数の意味とともに普通電卓で完走できるか
- 計測(電子線):R₅₀ の求め方、平行平板形電離箱を使う条件、クロスキャリブレーションの手順を説明できるか
- 校正ルートの分岐:標準計測法12とリニアック標準計測法24のどちらを適用するかを決める条件を言えるか
- 不確かさ:標準不確かさと拡張不確かさ、包含係数 k=2 が意味するものを区別できるか
- QA(装置):日常・定期点検の項目と許容値、逸脱時の対応を挙げられるか
- QA(計画):患者QAの目的と線量検証の考え方、ガンマ解析AIの解釈ができるか
- 照射技術:IMRT・VMAT・SBRT・粒子線それぞれの適応と特徴を区別できるか
- 安全管理:管理区域・線量限度AIと、治療部門特有の留意点を説明できるか
- 放射線看護/医療安全:有害事象への対応とインシデント報告AIの流れを、自施設の手順に沿って語れるか
資格を取った先を考えている方へ
この認定は、拠点病院の指定要件や先進医療の実施体制で名指しされる資格です。つまり採用側から見て価値が明文化されている数少ない専門資格でもあります。高精度治療や粒子線治療に本格的に関わりたいなら、その設備を持つ施設に移るという選択も現実的です。
すぐ転職するつもりがなくても、今の職場の条件が相場からどう見えるかを知っておくと、院内で待遇を交渉するときの材料になります。情報収集だけでも動く価値はあります。
- 教材より先に要件。5年分の学会在籍と20単位は当日には作れない。まず数えることから始める。
- 軸は①標準テキスト第2版(9,900円)。専門基礎領域10科目の大半をカバーし、答え合わせの戻り先になる。
- 計測は②+24の二本立て。12は現役、24は無料PDF。どちらを適用するかは校正ルートで決まる。
- ③図解ノートは任意。理解に図が要る人の保険で、予算が限られるなら講習会費に回すほうが合理的。
- 関数電卓は使えない(令和8年度)。普通電卓で完走できる形に演習を組み替えておく。
放射線治療専門放射線技師は、市販の対策書が少ないぶん「何を選ぶか」で差がつきにくく、「どう組み立てるか」で差がつく試験です。原典を軸に据え、計測を早めに片づけ、後回しにしがちな科目を最後に回収する。この順番さえ守れば、5年以上の実務経験というあなたの土台は、そのまま得点に変わります。
参考文献
日本医学物理学会:医療用リニアック装置によって校正された放射線治療用線量計による水吸収線量の標準計測法(リニアック標準計測法24),2024年3月
医学書院:放射線治療技術標準テキスト 第2版(日本放射線治療専門放射線技師認定機構 監修,2026年4月,B5判656頁)
厚生労働省:がん診療連携拠点病院等の整備について(令和4年8月1日 健発0801第16号)
日本医学物理学会 編:外部放射線治療における水吸収線量の標準計測法(標準計測法12),通商産業研究社,2012年9月





.jpg)